本ページでは、FP相談を通じて老後生活(年金生活)が始まる前に住宅ローンの完済をしておきたいと思えた理由について紹介します。
はじめに、住宅ローンを抱えている人で、子育てをしている人からしますと、老後生活資金や教育資金などさまざまなお金の悩みがあると思います。
また、住宅ローンの毎月返済にかかる家計負担を考えますと、老後生活(年金生活)に漠然とした不安を抱える人も多いことでしょう。
今回は、FP相談を通じて、このような人に対して老後生活(年金生活)が始まる前に住宅ローンの完済をしておきたいと思えた理由を綴っていきます。
目次
【高齢であるからこそ】老後生活(年金生活)が始まる前に住宅ローンの完済をしておきたいと思えた理由
まず、老後生活(年金生活)が始まる前に住宅ローンの完済をしておきたいと思えた理由は、高齢であるからこその不測の事態です。
今回、当事務所が対応したFP相談事例においては「配偶者の大病と重度の要介護認定・特別養護老人ホームの入所」がこれにあたります。
はじめに、高齢であるかどうかを問わず、大病を患い、入院・手術をしますと高額な医療費負担を強いられます。
次に、重度の障害を負ったことで介護が必要になりますと、介護費用を毎月多く負担していかなければなりません。
これらの金銭負担と住宅ローンの返済が重なったとしたらあなたは率直にどのように感じますか?
さらに、老後生活(年金生活)で十分な貯蓄がなかったとしたらどうでしょう?
加えて、年金収入が少なかったとしたら?
上記のような条件が重なり、高齢であるからこその不測の事態が起こりますと、平穏な老後生活が一変してしまいますよね?
私たちは、年齢を重ねて高齢になりますと、死亡するリスクはもちろん、医療や介護にかかるお金の負担が多くなる可能性を十分予測できます。
【重要なのはキャッシュフロー】年金収入が多くても懸念されるお金の問題
高齢であるからこそ、不測の事態が起こってしまいますと、医療や介護にかかるお金の負担は重くなる場合があります。
人による個人差はあるものの、場合によっては、毎月の住宅ローンの返済金額よりもこれらにかかるお金の負担が多くなってしまうことも十分考えられます。
つまり、いくら年金収入が多かったとしても、家計の収支が赤字(マイナス)に転じてもおかしくはありません。
仮に、貯蓄(資産)があっても、年数の経過と共に徐々に目減りしていきます。
このとき、家計収支が赤字(マイナス)のままですと、いつかは貯蓄が枯渇し、生活を維持することができなくなってしまいますよね?
この流れを考えますと、老後生活(年金生活)が始まる前に住宅ローンを完済していることは、家計支出を抑えられる大きなメリットが得られます。
【ライフイベントの変化】節税とキャッシュフローの改善対策について
今回、当事務所が対応したFP相談事例では「配偶者の大病と重度の要介護認定・特別養護老人ホームの入所」があったことをお伝えしています。
この大きなライフイベントの変化があったことにより「障害者控除の適用」と「医療費控除の適用」によって、今後、節税対策が図れることを容易に予測できます。
【重度の要介護認定】障害者控除が適用できる理由
重度の要介護認定を受けますと、障害者控除の適用が受けられ、結果として所得税および住民税の納税負担を減らすことができます。
納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。
出典:国税庁 No.1160 障害者控除 概要より引用
今回のFP相談事例では、同一生計配偶者(日常生活を共にしている配偶者)が重度の要介護認定を受けています。
次に、相談対応およびヒアリングによって、以下の条件にあてはまることも確認できました。
(4)身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人。このうち障害の程度が1級または2級と記載されている人は、特別障害者になります。
出典:国税庁 No.1160 障害者控除 障害者控除の対象となる人の範囲より一部引用
これらの理由によって、障害者控除の適用を受けられ、今後、節税対策を図ることができるわけです。
なお、当事務所では、関連記事として障害者控除にかかる情報公開をしています。
障害者控除にかかる詳細や内容が気になる人は、上記関連記事も合わせて読み進めてみることをおすすめします。
【特別養護老人ホームの入所】医療費控除が適用できる理由
特別養護老人ホームへ入所しますと、医療費控除の適用が受けられ、結果として所得税および住民税の納税負担を減らすことができます。
その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
出典:国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)概要より一部引用
今回のFP相談事例では、同一生計配偶者(日常生活を共にしている配偶者)が大病によって入院および手術をしています。
これに加え、医療費控除の対象となる医療費として忘れてはならないものがあります。
指定介護老人福祉施設または指定地域密着型介護老人福祉施設から提供を受ける施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額の2分の1に相当する金額が医療費控除の対象となります。なお、指定介護老人福祉施設または指定密着型介護老人福祉施設が発行する領収証には、医療費控除の対象となる金額が記載されることになっています。
出典:国税庁 No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価 指定介護老人福祉施設または指定地域密着型介護老人福祉施設から受ける施設サービスの対価より一部引用
上記解説にある「指定介護老人福祉施設」は、特別養護老人ホームのことです。
したがいまして、特別養護老人ホームに対して介護費用などのお金を支払い、同施設から受け取った領収書を基に医療費控除の適用が受けられるわけです。
たとえば、1月1日から12月31日までの1年間で、特別養護老人ホームから受け取った領収書の総額が96万円だった場合、医療費控除の対象となる医療費はそれだけで96万円あることを意味します。
なお、当事務所では、関連記事として医療費控除にかかる節税対策の情報公開をしています。
上記関連記事では、今回の入院や介護に限らず、ファイナンシャルプランニングにおいて、あてはまりそうなものを紹介しています。
そのため、いつかどこかで役立つ可能性が高い内容なのではないか?と個人的に思っています。
【やはりあった!】納めすぎている所得税と還付申告について
FP相談の依頼を受け、相談内容や経緯、これまでの過去の状況についてメールでのやり取りを行いました。
このとき、気になる点があり、相談日当日に世帯すべての人の源泉徴収票や確定申告書を2期分持参してもらいました。
これらの書類を確認した結果、やはり今回もあった納めすぎている税金。
還付申告で医療費控除の適用をすることによって、納めすぎた所得税の還付が2期分とも受けられることをお話させていただきました。
【おわりに】老後生活(年金生活)と住宅ローンの完済を考える
老後生活(年金生活)が始まる前に住宅ローンの完済をしておきたいと思えた理由を紹介しました。
年金生活をしながら住宅ローンの返済をすることは、家計の大きな負担になることはいうまでもありません。
これに加え、介護費用や医療費の増加が重なりますと、老後生活が一変してしまうことをご理解いただけたと思います。
そして、本ページを通じて、住宅ローンの完済を老後生活(年金生活)が始まる前にしておきたいと思えた人も多いことでしょう。
仮に、会社員や公務員の人で、退職金を充てて住宅ローンをすべて完済しようと考えている人もいると思われます。
このとき、退職金のほとんどを住宅ローンの完済に充て、少ない年金生活を強いられる場合、はたしてどうなのか?
介護度合いが重くなり、介護費用が多く強いられる場合、お金のやりくりが可能なのか?
改めて自分たちはどうなのか?考えてみる必要性があるのではないでしょうか?
私は独立系ファイナンシャルプランナーとして、そのように感じたからこそ、今回このページを作成して公開しています。
ちまたでは、老後生活資金の準備として「iDeCo」や「つみたてNISA」をすすめています。
もちろん、これらを活用して老後資金準備をすることはとても大切です。
ただし、もう一歩踏み込む必要性があると思います。
具体的には、単にまとまったお金を準備するだけでなく、不測の事態になったとき、準備したお金と年金収入で足りるのか?
足りないとしたらどのようにするのか?
いまからできる対策は?
何をしておくべきか?
高齢になりますと、まとまったお金を借入することも難しくなります。
また、お住いの地域や所有している不動産によっては、リバースモーゲージを活用したお金の借入もできません。
このように幅広い視野で老後生活を考えますと、安心してお金に困らない、困りにくい状況を作るためには事前対策が重要です。
人によって考え方、価値観が異なり、型にはまった事前対策方法はありません。
しかしながら、老後生活が始まり、実際に不測の事態になってからできることは限られます。
そして、事前対策をしなかった後悔をするかもしれません。
私個人もそうですが、今回のFP相談において、老後生活の在り方について改めて考えさせられました。
下世話な話ではありますが、将来の老後生活が心配な人は、本ページを通じて改めて自分はどうなのか?自問自答してみてはいかがでしょう?
内容がよかったと思った人は、SNSでのシェアや当事務所フェイスブックのフォローをいただければ励みになります。
ご相談も随時受付しておりますので、ご検討をよろしくお願いいたします。