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【令和4年度対応】所得税法の障害者控除と適用要件・障害者区分について。区分判定方法や控除額もわかりやすく紹介

今回のFPブログでは、所得税法で定められている障害者控除の概要や適用要件、障害者区分のほか、区分判定方法や控除額もわかりやすく紹介していきます。

はじめに、数日前、当事務所のブログで「自賠責保険」について加筆・修正した記事を公開しました。

そして、これに関連する内容として、「交通事故などで受け取った治療費・慰謝料・損害賠償金・保険金にかかる税金の取り扱い」も公開しています。

これら2つの記事より、ファイナンシャルプランニングを考えたとき、場合によっては、交通事故をはじめ、病気やけがなどによって障害を負ってしまうこともあると思いました。

このようなことから、今回は関連する内容として、所得税法で定められている障害者控除の概要や適用要件など、知っていて損はない内容を幅広くブログへ綴っていきたいと思います。

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所得税法で定められている障害者控除の概要

国税庁では、所得税法で定められている障害者控除について、以下のように解説しています。

納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。

なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。

出典:国税庁 No.1160 障害者控除 概要より引用

上記、国税庁の解説より大切なポイントを簡単にまとめます。

1.本人だけでなく、日常生活を共にしている配偶者や子ども、両親といった扶養親族が所得税法上の障害者にあてはまる場合に障害者控除を受けることができる

2.障害者控除の適用に、年齢制限は設けられていない

佐藤 元宣
佐藤 元宣
以下、2つの大切なポイントを簡単に解説します

1つ目のポイント:障害者控除の対象は、本人に限らない

所得税法の障害者控除は、本人に限らず、日常生活を共にしている配偶者や子ども、両親といった扶養親族が所得税法上の障害者にあてはまっている場合に適用することができます。

ここで「所得税法上の障害者って何?」と疑問を感じる人が多いと思います。

こちらにつきましては、次項の見出し「所得税法上の障害者とは?障害者控除の適用要件」で解説していきます。

2つ目のポイント:年齢は何歳でも問題なし

所得税法の障害者控除には、年齢制限が設けられていません。

そのため、16歳未満のいわゆる「年少扶養親族」であっても、「所得税法上の障害者」にあてはまっていれば、お父さんまたはお母さんは、障害者控除の適用を受けられることになります。

なお、障害者控除は、年末調整または確定申告で適用することができ、これによって、所得税や住民税の負担を減らすことができます。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
国税庁の解説では、16歳未満の年少扶養親族の場合、扶養控除を適用することはできないけれども障害者控除は適用することができると言っているわけです

所得税法上の障害者とは?障害者控除の適用要件

障害者控除の適用を受けるためには、本人・配偶者・扶養親族のいずれかが、所得税法上の障害者にあてはまっている必要があります。

なお、国税庁では、この所得税法上の障害者について、以下のように解説しています。

障害者控除の対象となるのは、次のいずれかに当てはまる人です。

(1)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人

(2)児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人

(3)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人

(4)身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人

(5)精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人

(6)戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人

(7)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人

(8)その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人

出典:国税庁 No.1160 障害者控除 障害者控除の対象となる人の範囲より引用

大切なポイントとして、障害者控除の適用を受けるためには、本人・配偶者・扶養親族のいずれかが、上記8つある適用要件のどれかにあてはまっていなければなりません。

当事務所では、正しく障害者控除を適用するためには、あくまでも「詳細な精査・確認が必要である」と前置きし、上記8つの適用要件をわかりやすく簡単にまとめます。

1.精神障害者である人

2.知的障害者である人

3.精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人

4.身体障害者手帳の交付を受けている人

5.満65歳以上の人で、何かしらの障害によって市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人

6.戦傷病者手帳の交付を受けている人

7.原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている人

8.寝たきりの状態などで、常に介護を受けている人

佐藤 元宣
佐藤 元宣
上記8つのいずれかにあてはまる人は、障害者控除の対象になる人です

障害者控除の区分と控除額

所得税法の障害者控除は、3つの区分が設けられており、それぞれの区分によって控除額が異なります。

具体的には、「障害者(控除額27万円)」「特別障害者(控除額40万円)」「同居特別障害者(控除額75万円)」です。

年末調整や確定申告で障害者控除の適用を受けるためには、上記3つの区分のうち、どれにあてはまるのか判断(判定)する必要があります。

そこで以下、国税庁の解説を基として、当事務所で簡単に判断(判定)できるようにまとめました。

1.精神障害者である人 → 特別障害者

2.知的障害者である人 → 重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者。それ以外は障害者

3.精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人 → 障害等級が1級の人は、特別障害者。それ以外は障害者

4.身体障害者手帳の交付を受けている人 → 障害の程度が1級または2級の人は、特別障害者。それ以外は障害者

5.満65歳以上の人で、何かしらの障害によって市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人 → 1・2・4のいずれかと同じ判断(判定)です

6.戦傷病者手帳の交付を受けている人 → 障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者。それ以外は障害者

7.原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている人 → 特別障害者

8.寝たきりの状態などで、常に介護を受けている人 → 特別障害者

上記内容を見ることで、障害者と特別障害者のどちらにあてはまるのか?判断(判定)することができます。

次に、特別障害者と同居特別障害者の判断(判定)となります。

同居特別障害者とはどのような人?判断(判定)方法

同居特別障害者について、国税庁では以下のように解説しています。

同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況としている人です。

出典:国税庁 No.1160 障害者控除 障害者控除の金額(注)より引用

同居特別障害者にあてはまるためには、まずもって特別障害者に該当していなければなりません。

つまり、先に紹介した障害者と特別障害者の判定において、特別障害者に該当している必要があります。

そして、普段の日常生活で同居しており、特別障害者に該当している人が「同居特別障害者」となります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
これが「基本形」です。次項の注意点は例外パターンですが、とても大切です

【要注意】同居になる場合と同居にならない場合の例

「同居」という言葉を見聞きしますと、「一緒に住んでいる」とイメージをする人が多いと思います。

しかしながら、税法では、一緒に住んでいない場合であったとしても「同居しているものとみなす」ことがあります。

本ページで紹介している障害者控除について、国税庁のWEBサイトに関連性の高い質疑応答事例がありますので、紹介とポイントの解説をしていきます。

【照会要旨】

同居老親等の「同居」については、病気の治療のため入院していることにより所得者等と別居している場合であっても、同居に該当すると聞きましたが、1年以上といった長期入院の場合にも同居に該当しますか。

【回答要旨】

病気の治療のための入院である限り、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えありません。
ただし、老人ホームなどへ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえません。

出典:国税庁 「同居」の範囲(長期間入院している場合)より引用

本来は、同居している状態であるものの、病気の治療といった特殊事情によって別居している場合、国税庁では「同居しているものとして差し支えない」と回答しています。

つまり、今回の障害者控除において、仮に、病気の治療のために入院している人が「特別障害者」であった場合、「同居特別障害者」として取り扱って差し支えないことを意味します。

なお、老人ホームへ入所している場合、同居しているとはいえないと国税庁は回答をしています。

そのため、仮に、障害者控除の適用要件を満たした老人ホームへ入所している人がいる場合、「同居特別障害者」とはならず、「障害者」または「特別障害者」のいずれかが適用されることになります。

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ファイナンシャルプランニングから障害者控除の適用を考える

本ページの最後に、ファイナンシャルプランニングから障害者控除の適用を受けられそうな場合を独立系ファイナンシャルプランナーとして考えてみます。

・交通事故や災害などによって、身体に障害を負ってしまった

・パワハラ・セクハラ・その他、過度なストレスによって精神病を患ってしまった

・大きな病気やけがによって、身体に障害を負ってしまった など

上記は、ファイナンシャルプランニングの観点から考えますと「大きなライフイベントの発生」といえます。

つまり、長い人生の中で、上記に関係するような何かしらの大きなライフイベントが本人や家族などに発生した場合、所得税法上の障害者控除を適用できる可能性があります。

加えて、障害年金の請求ができるのかどうか?をはじめ、障害にかかる助成制度で使えるものがないかどうか?なども調べておくことが望ましいでしょう。

今回のFPブログでは、所得税法上の障害者控除について紹介しましたが、「大きなライフイベントの発生」があったときは要注意です。

独立系ファイナンシャルプランナーとして、FP相談に応じておりますと、このような時こそ、使えるものを使わずにロスをしている相談者様が多い印象を受けています。

実際、今回の障害者控除についても、当事務所ではFP相談事例があり、障害者控除の適用がわからなかったため年末調整で適用できず、確定申告で適用したというものがあります。

当然のことながら、確定申告によって所得税の還付を受け、住民税が少なくなったことはいうまでもありません。

大きなライフイベントの発生や大きなライフイベントが発生しそうな兆しがあるときは、これからを改めて考えて対策する時期でもあります。

仮に、このような状況に置かれているときは、一度、当事務所へ相談されてみてはいかがでしょうか?

佐藤 元宣
佐藤 元宣
ご検討をよろしくお願いします

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