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投資信託の手数料とは?つみたてNISA(積立nisa)やiDeCo(個人型確定拠出年金)にも使える重要ポイント

本ページでは、投資信託を選ぶ上で絶対に欠かすことができない手数料の種類やポイントについて、独立系ファイナンシャルプランナー(FP)がわかりやすく紹介していきます。

なお、投資信託の手数料についてあらかじめ知っておくことは、つみたてNISA(積立nisa)やiDeCo(個人型確定拠出年金)で長い期間に渡って大きなお金を貯めながら増やす上でも極めて重要なポイントになります。

はじめに、投資信託の主な手数料には、購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額といった3つの手数料があり、これらの内、購入時手数料と信託報酬は、投資信託の「二大手数料」と呼ばれることもあります。

これらの投資信託の手数料は、目に見える部分だけで見ていきますと、極めて少額のイメージを持たれる方も多いのですが、投資信託の手数料を考えずに資産運用を始めますと、将来受け取ることになるお金に大きなロスが生じてしまう懸念が生じます。

そこで本ページでは、このようなロスを防ぐために、投資信託を選ぶ上で絶対に欠かすことができない手数料の種類やポイントについての解説を進めていきます。

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投資信託の主な手数料は、大きく3種類に分けられる

冒頭でもお伝えしましたように、投資信託の主な手数料は、購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額といった3つの手数料に分けられます。

以下、それぞれの手数料にはどのような特徴があって、投資信託を選ぶ上で、どのようなポイントを押さえておく必要があるのか、それぞれ個別に解説を進めていきます。

購入時手数料(販売手数料)

購入時手数料とは、投資信託を買付する都度かかる手数料のことを言い、販売手数料と呼ばれることもあります。

この購入時手数料は、投資信託を銀行や証券会社を通じて買付した場合、買付した投資信託の銘柄に応じた購入時手数料が発生することになりますが、実際に販売されている投資信託では、購入時手数料が無料の投資信託から5.25%程度かかる投資信託まで実に様々です。

ちなみに、投資信託の内、購入時手数料が無料の投資信託のことを「ノーロード投資信託」と言いますが、投資信託を選ぶ上で重要なポイントとして、ノーロードの投資信託(購入時手数料が無料(なし)の投資信託)を選ぶことが極めて重要です。

この理由として、購入時手数料として私たちが負担したお金は、投資信託を販売した金融機関の儲け(利益)になるのと同時に私たち投資家にとってのロスになってしまうためです。

たとえば、購入時手数料が1%の投資信託を10,000円分、買付したとします。

この時、10,000円の1%にあたる100円が購入時手数料として、投資信託を販売した銀行や証券会社の儲け(利益)にあたり、私たち投資家が実際に投資に回すことができるお金は、購入時手数料を差し引いた後の金額となります。

つまり、10,000円を投資信託に投資したつもりが、実際には、9,900円(10,000円-100円)分が投資信託で投資に回されていることを意味するため、購入時手数料として私たちが負担したお金は、投資信託を販売した金融機関の儲け(利益)になるのと同時に私たち投資家にとってみますと単なるロスになってしまうお金であることをご理解いただけると思います。

なお、投資信託の購入時手数料は、直接支払う場合があるほか、まれに、投資信託を換金する時に支払う場合もあり、選んだ投資信託や金融機関(販売会社)によって異なります。

解説が重複しますが、いずれにしましても、購入時手数料は、投資信託を買付する都度かかる手数料であるため、たとえば、積立投資のように、毎月一定の日に投資信託を買付して資産運用をする場合、その都度、無駄なお金を負担していることにつながるため、投資信託で資産運用をする場合は、購入時手数料が無料のノーロード投資信託を選ぶことが重要になるわけです。

つみたてNISA(積立nisa)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、購入時手数料がかからない

つみたてNISA(積立nisa)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった投資制度におきましては、前項で解説した投資信託の購入時手数料は、いずれもかからないことになっています。

つまり、人生三大資金と呼ばれる「教育資金」「住宅資金」「老後資金」を準備する上で、購入時手数料のようなロスを確実に防ぎ、大きなお金を貯めながら増やすことができることを意味します。

ただし、当然のことながら、つみたてNISA(積立nisa)やiDeCo(個人型確定拠出年金)で、これらのお金を準備するためには、それぞれの投資制度の特徴を知り、向き・不向きをはじめ、資産運用の仕方やルールをあらかじめ知っておくことが成功への近道になることは言うまでもないでしょう。

【現役FP解説】つみたてNISA(積立nisa)とは?制度の特徴とおすすめの活用方法も解説

【iDeCoで老後資金対策】老後資金対策にiDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめできる理由

なお、次項からは、投資信託の手数料を知る上で極めて重要な信託報酬についての解説を進めていきます。

信託報酬(運用管理費用)

信託報酬とは、投資信託で資産運用をしている間、毎日、純資産総額から差し引かれる手数料のことを言い、別に、運用管理費用とも呼ばれます。

なお、ここで言う投資信託で資産運用をしている間というのは、買付した投資信託を保有している間と考えることもでき、買付した投資信託における運用成績の良し悪しに関係なく、毎日、投資信託の純資産総額から差し引かれることになります。

ざっくり解説しますと、信託報酬は、投資信託を買付して保有している間、毎日かかる手数料になりますので、先に解説した購入時手数料のように、買付の都度、一度、負担すれば終わりとなるものではなく、長い期間に渡ってかかり続けていく手数料であるとも言えます。

そのため、投資信託を選ぶ上におかれましては、信託報酬ができる限り低いものを選ぶことが極めて重要となり、後述する信託財産留保額を含めて考えても、信託報酬が、投資信託の中で最も手数料負担が大きくなることを知っておく必要があります。

なお、実際に販売されている投資信託の内、信託報酬は、年0.1%程度のものから年2.5%程度のものまで様々です。

ちなみに、信託報酬は、つみたてNISA(積立nisa)やiDeCo(個人型確定拠出年金)で、投資信託を活用して資産運用をする場合においても必ずかかる手数料にあたり、いずれも、長い期間に渡って積立しながら資産運用を行う特徴があることを踏まえますと、できる限り信託報酬が低いものを選ぶように心がけておきたいものです。

信託報酬は、負担している実感がわきづらいデメリットがある

信託報酬は、実際に、手元にあるお金を直接支払って負担するのではなく、いわば、保有している投資信託の財産から間接的に負担することになるため、目に見えづらく、手数料を負担している実感がわきづらいデメリットがあります。

したがいまして、たとえば、対面型の銀行や対面型の証券会社を通じて投資信託の買付を行った場合、これらの担当者が良いと勧めた投資信託が、実は、手数料が高く、パフォーマンスや運用実績が優れていないといったことも「ざらにある」話です。

正に、投資信託の手数料を直接支払っていないからこその「盲点」とも言えるでしょう。

また、こちらは筆者の相談経験上のお話となりますが、投資信託で資産運用を希望している人の目的や資産運用方法が、実際に買付している投資信託と合致していないことも多々見られており、どちらかと言えば、投資家よりではなく自分たち(投資信託を販売する金融機関)よりになっている場合もあります。

このようなことを防ぐ意味においても、ご自身が、投資信託を選ぶ上で重要な手数料について、しっかりとポイントを押さえておくことが、資産運用を成功するためであり、かつ、無駄なロスを防ぐための必然対策とも言えるでしょう。

信託財産留保額

信託財産留保額とは、投資信託を買付し保有しているものを売却(解約)した時にかかる手数料のことを言います。

ざっくり説明しますと、投資信託を現金化する時にかかる手数料が信託財産留保額にあたり、いわば換金手数料と考えるとわかりやすいでしょう。

実際のところ、保有している投資信託を売却(解約)して現金化することによって、これまで保有していた投資信託の純資産総額が下がる要因になってしまい、いわば、同じ投資信託に投資をしている投資家に対して迷惑をかけてしまうことになることから、信託財産留保額は換金手数料と言うよりも、他の投資家に対する迷惑料としての性質があるという見方もできます。

ただし、信託財産留保額で負担する手数料は、ロスであることに変わりはないため、言うまでもなく、せっかく長い時間をかけて築き上げた資産が、信託財産留保額によって差し引かれるということは、購入時手数料と同じように無駄なロスにつながってしまいます。

そのため、このような事態は、あらかじめ投資信託選びの時点で避けるようにすることが望ましいと言え、できる限り、信託財産留保額がかからない無料の投資信託を選ぶようにしたいものです。

投資信託の手数料をわかりやすくまとめます

ここまで投資信託の購入時手数料(販売手数料)、信託報酬(運用管理費用)、信託財産留保額といった3つの手数料について解説をさせていただきましたが、この3つの手数料を「習い事を始める場合」に例えてわかりやすくまとめます。

たとえば、2つのスイミングスクールがあったとして、それぞれのスイミングスクールにおける入会金、月額会費、脱退金が以下のような場合、ユーザーの皆さんはどちらを選びますか?

スイミングスクール名称AスイミングスクールBスイミングスクール
入会金無料(なし)5,000円
月額会費8,000円10,000円
脱退金無料(なし)5,000円

おそらく、すべてのユーザーの皆さんは、Aスイミングスクールを選ぶのではないかと思うのですが、これは、ご自身が負担する費用が少ないからであると予測することができます。

投資信託を選ぶ上での手数料の考え方も上記と全く同じであり、入会金を購入時手数料、月額会費を信託報酬、脱退金を信託財産留保額に置き換えますと、いかに、手数料負担が少ない投資信託を選ぶことが大切なことなのかご理解できるのではないでしょうか?

もしかしたら、Bスイミングスクールの方がAスイミングスクールよりも評判や実績が良いから一概にAスイミングスクールが良いとは言い切れないといった人もおられるかもしれません。

確かに、その考え方も一理あるのですが、投資信託の手数料は、私たち投資家にとって、確実にマイナスの影響を与えてしまうため、パフォーマンスや実績といった目に見える一時的な不確定要素にこだわる前に、確実にロスを避けられる部分を優先してから、パフォーマンスや運用実績がより優れている投資信託を選んで資産運用をすることが大切なのです。

投資信託の手数料には、消費税がかかるものとかからないものがある

2019年10月より消費税率が、8%から10%に引き上げされましたが、これまで解説をした3つの手数料には、消費税がかかるものとかからないものがあります。

具体的には、購入時手数料と信託報酬には消費税がかかるのですが、信託財産留保額には消費税がかかりません。

出典 イオン銀行 消費税率の変更に伴う投資信託購入時手数料等の変更についてより引用

ノーロードの投資信託を選んだ場合、そもそも購入時手数料がかからないため、消費税がかかることもありませんが、信託報酬につきましては、高い信託報酬率の投資信託を買付した場合、消費税も多く負担することになってしまうことをあらかじめしっかりと押さえておく必要があると言えます。

もちろん、消費税にかかるロスも、将来の資産形成金額に影響を及ぼすことになるため、これまで解説をした手数料の内容を基に、投資信託選びをしっかりと吟味して行うことが大切になってきます。

【簡単で失敗しない】投資信託のシンプルな選び方とは?つみたてNISA(積立 nisa)やiDeCoでも使える選び方を紹介

おわりに

投資信託の手数料について解説をさせていただきましたが、本ページの要点をまとめますと、購入時手数料および信託財産留保額が無料(なし)のもので、信託報酬が、できる限り低い投資信託を選ぶことで、より確実に負担する投資信託のロスを防げることは確かだと言えます。

本ページでは、解説しませんでしたが、投資信託には、インデックスファンド、アクティブファンド、バランスファンドなどの種類があり、これらのファンドは、投資目的や投資目標金額によって、選ぶべきものが異なることになりますが、それらの中でも、購入時手数料および信託財産留保額が無料(なし)のもので、信託報酬が、できる限り低い投資信託を選ぶことを心がけるだけで、将来の資産形成金額は大きく変わります。

投資信託での資産運用は、決して難しいものではなく、シンプルに基本的な部分を押さえておくことが大切であり、専門的なことは、長い時間をかけて資産運用をしている最中に少しずつ学ぶことでも十分足りると筆者は感じています。

まずは、基本を知り、自ら資産運用を始める行動に移すこと。

これが、投資信託で大きな資産形成を築くための第一歩であると筆者は思います。


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