トップページ > 税金・年金・介護 > 所得税の還付申告と更正の請求の違いとは?手続きの方法やポイントもわかりやすく解説
所得税の還付申告と更正の請求の違いとは?手続きの方法やポイントもわかりやすく解説
税金・年金・介護

本ページでは、所得税の還付申告と更正の請求の違いとは、どのようなところにあるのかについて解説し、合わせて、それぞれの手続きの方法やポイントについてもわかりやすく解説していきます。

はじめに、「所得税の還付申告」や「所得税の更正の請求」は、いずれも納めすぎた所得税を返してもらう手続きのことを言います。

つまり、「所得税の還付申告」や「所得税の更正の請求」の手続きをしますと、お金が戻ってくることになるわけですが、これらの手続きを行うためには要件があり、その要件を満たしている必要があります。

そこで本ページでは、そもそも、所得税の還付申告と所得税の更正の請求とはどのような制度なのかをはじめ、それぞれの制度の違い、手続きの方法やポイントなどについてわかりやすく解説していきます。

所得税の還付申告とは

所得税の還付申告は、冒頭でもお伝えしましたように、納めすぎた所得税を返してもらう手続きのことを言いますが、国税庁のWEBサイトでは、所得税の還付申告について以下のように解説しています。

確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

出典 国税庁 No.2030 還付申告 1 還付申告とはより引用

上記解説の中で「確定申告書を提出する義務がない人」というのは、ざっくり言ってしまえば、会社員や公務員などのように、勤務先から給与や賞与の支給を受け、それ以外の収入がない人などがあてはまります。

このような人は、勤務先が行う年末調整で1年間の税金の精算手続きが完了するわけであり、特別の事情がない限り確定申告をする必要がありません。

また、重要なポイントとして、所得税の還付申告には手続きをすることができる期限が設けられており、「その年の翌年1月1日から5年間提出することができる」とされています。

これは、遡って還付申告をすることができるのは「5年間」までといった意味になります。

たとえば、現在、令和元年であった場合、所得税の還付申告ができるのは、「平成26年分から平成30年分までの5年間」といったイメージです。

なお、国税庁の解説にある「確定申告期間」とは、原則として、翌年の2月16日から3月15日となりますが、還付申告をする場合、左記の期間中に行わなくてもよく、あくまでも遡って5年間の期間にあてはまっているのであれば、いつでも還付申告を行うことができることを意味する点も押さえておきたいポイントと言えます。

まずは、所得税の還付申告についての大まかなポイントについて解説をしましたが、実際に、所得税の還付申告をすることができる場合とは、どのような場合なのでしょう?

所得税の還付申告ができる場合とは

所得税の還付申告ができる場合は、様々な理由が考えられるのですが、国税庁のWEBサイトでは、還付申告の具体例として以下のような場合を紹介しています。

給与所得者は、次のような場合には、原則として還付申告をすることができます。

1.年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき

2.一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき

3.マイホームに特定の改修工事をしたとき

4.認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)

5.災害や盗難などで資産に損害を受けたとき

6.特定支出控除の適用を受けるとき

7.多額の医療費を支出したとき

8.特定の寄附をしたとき

9.上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき

出典 国税庁 No.2030 還付申告 2 還付申告の具体例より引用

上記解説をざっくり紹介しますと、たとえば、「2」から「4」のように住宅ローン控除や認定住宅新築等特別税額控除にかかる手続きを忘れてしまったことによる場合、「5」のように雑損控除を確定申告によって適用忘れをしてしまった場合、「7」のように医療費控除を確定申告によって適用忘れをしてしまった場合、「8」のように寄附金控除を確定申告によって適用忘れをしてしまった場合などは、還付申告によって納めすぎた所得税を還付してもらうことができるとわかります。

なお、国税庁の解説は具体例として紹介しており、筆者の実務経験上としては、年末調整で扶養控除や配偶者控除または配偶者特別控除の適用を忘れてしまったり、寡婦控除や寡夫控除の適用を忘れてしまったりといったケースも非常に多く見受けられます。

少し語弊のある表現になってしまい、ユーザーの皆さんには不快な思いをさせてしまうかもしれませんが、前述した内容は、適用忘れというよりは、適用できることをわからずに適用していないことの方が圧倒的に多くなっています。

そのため、所得税の各種所得控除は、どのような場合に適用できるのかを知ることが大切です。

また、事務所の宣伝をしているわけではありませんが、自分たちは、どのような場合にどのような所得控除の適用を受けられる可能性があるのか、将来のお金のことを考えながら納めるべき所得税を必要最小限に抑える対策として、時には、当事務所のような独立系ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみることも望ましいのではないかと筆者は考えます。

所得税の還付申告の手続き方法と補足

これまでの解説を踏まえまして、所得税の還付申告の手続き方法と補足解説をしていきます。

1.所得税の還付申告の手続きをするには、確定申告をする必要がある

2.所得税の還付申告には期限が設けられており、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間であればいつでも行うことができる

3.所得税の還付申告は、確定申告をしていない人が対象となる

4.所得税の還付申告は、還付される所得税が生じている必要がある

上記ポイントの「1」および「2」は、これまでの解説の通りです。

「3」の「所得税の還付申告は、確定申告をしていない人が対象となる」とは、次項で解説をしていきますが、会社員や公務員などのように、年末調整で1年間の税金精算手続きが完了し、確定申告をしていない人が対象となります。

したがいまして、たとえば、筆者のように個人事業主で、毎年、確定申告をしている人が所得税の還付申告をする場合は、手続きの方法が異なり、還付申告ではなく「更正の請求」と呼ばれる手続きをしなければなりません。

「4」の「所得税の還付申告は、還付される所得税が生じている必要がある」とは、勤務先から交付された源泉徴収票を確認し、源泉徴収税額に金額が記載されていることが必要です。

上記図のように、勤務先から交付された源泉徴収票を確認し、源泉徴収税額(赤枠箇所)に金額が記載されているかどうかを確認します。

仮に、源泉徴収税額(赤枠箇所)に金額が記載されている場合、還付申告をすることによって還付される所得税があることを意味しますが、この部分が「0円」の場合、還付される所得税はないことになるため、還付申告をしたとしても意味がない可能性が極めて高いことを確実に知っておく必要があります。

なお、前述した解説で、「還付申告をしたとしても意味がない可能性が極めて高い」とした理由は、時として、納めるべき住民税に好影響を与える可能性もあるため、ケース・バイ・ケースであるといった意味合いでこのような表記としております。

少なくとも筆者としては、相談される人の事情や税効果を検証しなければ、還付申告が意味のあるものなのか、意味のないものなのか判断をすることができないといった意味があることを申し添えておきます。

ちなみに、源泉徴収税額に記載されている金額は、還付申告によって還付される所得税の最大金額を表しており、たとえば、上記図の国税太郎さんの場合、還付申告をして還付される最大の金額は、10,420円といった見方をすることもできます。

所得税の更正の請求とは

所得税の更正の請求とは、確定申告を行って確定申告書を税務署に対して提出した人が、申告内容に誤りがあり、所得税の還付を受けられる場合などに行う手続きのことを言い、更正の請求書および必要書類を添えて税務署へ行う手続きです。

確定申告期限後に申告書に書いた税額等に誤りがあったことを発見した場合や確定申告をしなかったために決定を受けた場合などで、申告等をした税額等が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める場合の手続です。

出典 国税庁 [手続名]所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続[概要]より引用

本ページの冒頭でもお伝えしましたように、すでに解説した「所得税の還付申告」も「所得税の更正の請求」も、いずれも納めすぎた所得税を返してもらう手続きであることに変わりはないものの、手続きをする対象となる人が異なる点がポイントになります。

具体的には、確定申告を行って確定申告書を税務署に対して提出した人で、確定申告によって年税額が発生している人が更正の請求をする対象となる人です。(次項で解説)

なお、所得税の更正の請求も所得税の還付申告と同じように、期限が設けられており「5年以内」です。

国税に関する法律の規定に従っていなかった場合又はその計算に誤りがあった場合は、法定申告期限から5年以内に提出してください。

※ 確定申告の必要のない方が確定申告の必要があるとした場合の法定申告期限後に、還付を受けるための申告をしている場合はその提出した日から5年以内です。

出典 国税庁 [手続名]所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続[提出時期]より引用

上記解説の「法定申告期限」とは、確定申告の期間を指しており、原則として、翌年の2月16日から3月15日までのことを言います。

たとえば、令和元年の確定申告における法定申告期限とは、原則として令和2年の2月16日から3月15日までといったイメージです。

国税庁では「※印」の補足解説もしておりますが、重要なポイントは、やはり「5年」の部分にあり、所得税の還付申告のように、5年間に遡って更正の請求手続きをすることができると簡単に覚えておくことが望ましいでしょう。

所得税の更正の請求の手続き方法

所得税の更正の請求の手続き方法は、以下の通りです。

1.所得税の更正の請求の手続きをするには、更正の請求書を作成して税務署へ必要書類と共に提出する必要がある

2.所得税の更正の請求には期限が設けられており、法定申告期限から5年以内であればいつでも行うことができる

3.所得税の更正の請求は、更正の請求をする対象となる年に確定申告をしたことがある人が対象となる

4.所得税の更正の請求は、確定申告によって年税額が発生している必要がある

上記ポイントの「1」、「2」および「3」は、これまでの解説の通りです。

「4」の「所得税の更正の請求は、確定申告によって年税額が発生している必要がある」とは、税務署に対して提出した確定申告書を見て年税額が発生しているか確認することで足ります。

出典 国税庁 申告書の記載例より引用

年税額が発生しているかどうかは、上記図の赤枠で囲われた箇所となり、画像の場合、214,500円の年税額が発生していると確認することができます。

つまり、所得税の更正の請求をして所得税の還付が受けられるかどうかは、先の赤枠に囲われた部分に金額が記載されており、0円でない場合に効果が得られるといったことになります。

所得税の還付申告と更正の請求の違いとは

これまで解説した「所得税の還付申告」と「所得税の更正の請求」の違いをわかりやすく表にまとめておきます。

手続きの名称 所得税の還付申告 所得税の更正の請求
対象となる人 確定申告をしていない人で、源泉徴収票の源泉徴収税額に金額が記載されている人は効果あり 確定申告をして税務署に確定申告書を提出した人で年税額が発生している人は効果あり
手続きの期限 確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間 法定申告期限から5年以内
提出書類 還付申告をする年の確定申告書および還付申告に必要な書類 更正の請求書および更正の請求に必要な書類

「所得税の還付申告」と「所得税の更正の請求」の違いを簡単に表へまとめましたが、提出書類の内、必要書類は申告をする内容によって異なります。

たとえば、確定申告をしていない人が、多額の医療費を支払ったことによって所得税の還付申告で医療費控除の適用を受けるのであれば、医療費控除を適用するために必要となる書類(医療費控除の明細書など)がありますし、寄附金控除の適用を受けるのであれば、寄附をした時の領収書などが必要書類にあたるといったイメージです。

そのため、所得税の還付申告や所得税の更正の請求をご自身で行う場合で必要書類がわからない場合は、申告する内容を伝えた上で、必要書類を税務署へあらかじめ尋ねておくことが望ましいと言えます。

所得税の還付申告や更正の請求は、e-tax(イータックス)で簡単に書類が作成できる

国税庁では、国税電子申告・納税システム(e-tax(イータックス)を無料で提供しており、このシステムを使うと、わざわざ手書きの確定申告書や更正の請求書を作成する必要がありません。

加えて、各種書類の書き間違えを防止でき、源泉徴収票や確定申告書をあらかじめ手元に用意しておくことで、より正確な書類の作成をすることができるメリットもあります。

確定申告書を確定申告書等作成コーナーから作成する方法とは?医療費控除の申告例も合わせて紹介

上記の記事は、当事務所が、医療費控除を確定申告で行い、かつ、国税電子申告・納税システム(e-tax(イータックス)を使って確定申告書などを作成する方法を紹介しているものとなります。

ポイントは、「所得税の還付申告」を行う場合、確定申告をする必要があり、かつ、確定申告書を作成して税務署に提出しなければならないところにあります。

つまり、たとえば、所得税の還付申告で医療費控除の適用を受けるのであれば、上記記事の内容の通りに行えば、国税電子申告・納税システム(e-tax(イータックス)を使って簡単に還付申告に必要な書類が作成できると考えることもできるわけです。

より確実な方法は、専門家である税理士へ依頼して書類の作成と税務申告をしてもらうことですが、お金をかけずに、ご自身で行いたいといったユーザーの方であれば参考になると思われます。

おわりに

所得税の還付申告と更正の請求の違いについて解説をさせていただきましたが、いずれも、納めすぎた税金をかえしてもらう手続きです。

そのため、所得税の還付を受けることでキャッシュが増加し、かつ、納めるべき税金が少なくなるということは、言うまでもなく世帯の家計に対するキャッシュフローがプラスに転じる効果が得られることにつながります。

重要なポイントとして、「5年」といった手続きの期限が設けられているため、いわば、早い段階で多くの税金を納めすぎていることに気が付けた場合、前述した効果が直接得られることにもつながるわけです。

特に、1月1日から12月31日までの1年間を通じて、たとえば、大病で入院した、災害で大きな損害を被った、子供が誕生した、両親と同居することになった、障害を患った、産休に入った、育休に入った、育休が明けたなど、様々な特殊事情が生じた年ほど、適用できる所得控除が適用できていなく、多くの税金を納めすぎている人もおそらく多いのではないかと筆者は感じています。

私たちは、生きている以上、お金や税金との関係を断つことができません。

だからこそ、お金や税金のことをもっと知り、賢く活用できる「術」を知っておきたいものです。


スポンサーリンク
スポンサーリンク