つみたてNISAは、平成30年1月より新たに始まった少額投資非課税制度のことをいい、子どものための教育資金や将来のまとまったお金を資産形成するために無理なく始められる制度であることは確かです。
当事務所では、つみたてNISAを活用することによって、どのようにお金が増えるのかといった大まかなイメージについて、すでにホームページ上で公開しておりますが、本記事では、投資初心者の方でもわかるように、「つみたてNISA」で資産形成がしやすい理由について要点を絞って紹介していきたいと思います。
なお、つみたてNISAの制度や概要につきましては、すでに知っている前提での紹介をさせていただきますので、そもそもつみたてNISAがどのようなものなのかについてわからない方は、一度、当事務所が公開しているつみたてNISAの制度や概要などを大まかにご理解いただいてから、本記事を読み進められることをおすすめします。
「つみたてNISA」で資産形成がしやすい理由
つみたてNISAで将来のまとまったお金を資産形成しやすい理由は、「長い時間をかけて量を増やす」ところにあります。
つみたてNISAは、金融庁が指定している「投資信託」もしくは「ETF(上場投資信託)」のいずれかを毎月一定金額ずつ積立投資する仕組みになっており、毎月購入する数の多少に関わらず、積立投資をすることによって毎月少しずつ「投資信託」もしくは「ETF(上場投資信託)」の保有する量が増え続けていくことになります。
この部分だけの説明では、イメージが付きづらいと思いますので、実際につみたてNISAを始めているイメージを紹介しながら「長い時間をかけて量を増やす」解説を進めさせていただきます。
長い時間をかけて量を増やすとは
長い時間をかけて量を増やすイメージは、以下の通りです。
ここでは仮に、つみたてNISAを毎月10,000円ずつ新たに始めたものとし、購入した投資信託における毎年の分配金および再投資額については加味しないものとします。
購入月 | 基準価額 | 保有口数 |
1月 | 14,891円 | 6716口 |
2月 | 14,828円 | 6744口 |
3月 | 14,872円 | 6724口 |
4月 | 14,769円 | 6771口 |
5月 | 14,724円 | 6792口 |
6月 | 14,891円 | 6716口 |
7月 | 14,828円 | 6744口 |
8月 | 14,769円 | 6771口 |
9月 | 14,724円 | 6792口 |
10月 | 14,828円 | 6744口 |
11月 | 14,893円 | 6715口 |
12月 | 14,700円 | 6803口 |
合計 | - | 81,032口 |
※ 保有口数は、小数点以下切り上げ処理としています
通常、投資信託の保有単位は、「口」で表され、1口1円単位で計算されることになるため、1年間で保有している口数は、81,032口であることがここではわかります。
仮に、子どもが大学等へ進学する時期に合わせて18年後に投資信託を売却して現金化するものとし、毎年の値動きが表と全く同じであったとすると、18年後の保有口数は、1,458,576口(81,032口×18年)になります。
この時、売却した時の基準価額が15,500円だったとしますと、現金化される金額と18年間で得た利益の関係は以下の通りです。
18年間の積立投資金額:2,160,000円(10,000円×12ヶ月×18年)
18年後に現金化される金額:2,260,793円(15,500円÷10,000円)×1,458,576口)
18年間の運用益:100,793円(非課税)
「長い時間をかけて量を増やす」とは、毎月ご自身で決めた一定金額の投資信託等を積立購入することで保有口数を増やすことをいい、多くの保有口数があればあるほど、必要な時期に多くのまとまったお金を準備できる仕組みになっています。
1つだけ誤った解釈をして欲しくない点として、本記事で紹介したシミュレーションには、つみたてNISAを活用することによって得られる分配金の再投資や複利効果といったものが加味されていないため、毎月10,000円のつみたてNISAをしたとしても、たったこれしかお金が増えないのか!と思わないでいただきたいことがあります。
ここからは、私個人の主観となってしまうのであくまでも参考程度に留めていただきたいと思っているのですが、子どもが誕生した親御さんは、将来の子どものための教育資金として学資保険に加入されている方も多いと思われます。
現状では、学資保険の満期保険金は残念ながら期待できず、はっきりと申し上げますと、学資保険料を毎月支払うよりであれば、その学資保険料相当金額をつみたてNISAへ回した方が多くの教育資金を用意することができると正直なところ私は思っています。
私は、1人目と2人目の子どもに対しては学資保険に加入しておりますが、その時々において時代の流れは変化するわけでありますから、平成30年5月現在において、正に、つみたてNISAは、子どもの教育資金を確保するための現在のトレンドと言っても決して過言ではないと思います。
実際のところ、私は、3人目の子どもが誕生して、1人目、2人目と同じように子どものための教育資金を準備しなければならない状況に現在立たされておりますが、今回は学資保険に加入せず、つみたてNISAを活用した子どものための教育資金準備作りをしていることは確かです。
せっかくですので、これから子どもの教育資金を確保したいと考えている親御さんに、もしかしたら有益になるかもしれない方法を次項では紹介しておきたいと思います。
参考 つみたてNISAで子どもの教育資金を効率的に用意するには
これまで私は、NISAを活用した資産運用をしておりましたが、平成30年1月からつみたてNISAが始まったことやすでにこの時点で3人目の子どもが誕生することがわかっていたことから、NISAではなくつみたてNISAへ切り替えて現在、つみたてNISAを活用した子どものための教育資金作りを始めています。
つみたてNISAを始めるには、証券会社・インターネット証券会社・銀行などの金融機関を通じてNISA口座の開設を行わなければならないのですが、NISA口座の開設は、1人1口座のみの開設で、かつ、複数の金融機関で口座開設をすることはできません。
そこで、つみたてNISAを活用して将来の子どもの教育資金を準備するのであれば、夫婦それぞれがNISA口座の開設をされてみることをおすすめします。
夫婦がそれぞれNISA口座を開設して計画的に子どものための教育資金を準備することは非常に効果的なのですが、なぜ、夫婦がそれぞれNISA口座を開設しなければならないのか?
その理由は、つみたてNISAには、1年間の投資金額が40万円以内(月額約33,000円)といった上限が設定されているためです。
そのため、たとえば、仮に世帯で33,000円以上のお金を子どものための教育資金の準備としてお金を回すことができる場合、1人だけでは投資上限金額を超えてしまうことになるため、効率的に教育資金を準備することができないことになります。
このような時は、たとえば、夫20,000円、妻15,000円といったようなイメージでそれぞれ分けてつみたてNISAを活用すると夫婦いずれも非課税の恩恵を受けながら子どもの教育資金を準備できるわけです。
すでに、当事務所でつみたてNISAのご相談をされたお客様の中には、このような方法を実践されている方も多数おられますし、我が佐藤家でもこのような方法を選択することになるでしょう(4月に産まれてバタバタしていることからまだやれていませんが・・・)
おわりに
つみたてNISAで資産形成がしやすい理由とは、毎月投資信託等を積立購入することによって長い時間をかけて保有口数を増やしていくところにあります。
おそらく、子どものための教育資金作りのために積立預金やタンス預金をされている方も大勢おられると思いますが、ご自身のお金を工夫して活用することで効率的にお金を増やしたりまとまったお金を準備することができることは確かです。
つみたてNISAは、すべての方に平等に与えられている時間をお金に変えるものでありますから、活用した方と活用しなかった方では将来に大きな差が生じることは確かだと私は思います。
もちろん、つみたてNISAには、気を付けなければならない注意点や知っておかなければならないこともたくさんありますので、これからつみたてNISAを活用しようと検討されている方は、この辺も含めて学ばれてみることをおすすめします。