本記事は、2016年11月20日に公開していたものを2018年6月17日に追記修正したものとなります。
というのも、平成30年の税制改正によって、配偶者控除および配偶者特別控除の適用される年収に大きな改正があったことに加え、本記事を閲覧してくれているユーザー様も多いことがわかったため、急遽、追記修正した運びとなります。
以下、冒頭分などは、修正を加えず、税制改正で変わった内容などについて、おもに追記修正しておりますので、最後まで目通しいただくことをおすすめします。
年末調整が近くなると、今年はいくら税金が還付されるのかな?などと気になっている人も多いのではないでしょうか。
とかくいう私も税金について学習するまでは、12月の給料で還付される手取金と少々の冬のボーナスに心を踊らされる時代がありまして、今思うと、安定した給料もまた悪くないなと常々感じる時があります。
さて、年末調整といえば多くの方が適用している所得控除に「生命保険料控除」「配偶者控除」「扶養控除」などがあると思われますが、本記事では、年末調整や確定申告で配偶者控除および配偶者特別控除を受けられる場合について詳しく解説するほか、共働き世帯が配偶者控除や配偶者特別控除を適用できる場合について私自身の事例を下に紹介していきます。
配偶者控除が適用できるか、適用できないかは、所得税の税金還付のほか、翌年度からの住民税の金額にも大きな影響を与えることとなるため、しっかりと押さえておきたい内容です。
目次
そもそも配偶者控除って何?
年末調整で配偶者控除の適用を受けるためには、12月31日の現況で以下の4つの要件にすべてあてはまる必要があり、これらの要件を満たしている場合に配偶者控除の適用が受けられることになります。
民法の規定による配偶者であること
婚姻届を提出しており、戸籍上で夫婦関係が成立していればOKです。
なお、事実婚は配偶者控除の適用が受けられませんので注意が必要です。
納税者と生計を一にしていること
「生計を一にする」とは、必ずしも同居しているだけとは限らず、たとえば、単身赴任や病院への入院などで離れて暮らしていたとしても生活費や療養費といったお金が送金されている場合などは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
年間の合計所得金額が38万円以下であること
収入が給与のみの場合は、給与収入が103万円以下であれば合計所得金額が38万円以下となります。
私の様に、事業を営んでいる場合やその他の収入がある場合は、ケース・バイ・ケースとなりますので、専門家である税理士をはじめ税務署、FPなどへ確認してみることをおすすめ致します。
事業専従者ではないこと
家族間で自営業を営んでいる方も多いと思いますが、配偶者に対して給料を支払う場合や配偶者が事業専従者として仕事の手伝いをする場合もあります。
このような立場の配偶者は、配偶者控除の適用が受けられないことになっているため注意が必要です。
平成30年の税制改正によって配偶者控除および配偶者特別控除の範囲はこのように変わった!
出典 国税庁 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて 2 各種パンフレット 平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて(毎月(日)の源泉徴収のしかた)より引用
本項の解説は、配偶者の収入が給与所得のみである場合を想定して紹介しておりますので、他の所得がある場合や特殊な事情がある場合は、当事務所をはじめ、専門家である税理士や税務署へ尋ねるようにして下さい。
これまで、多くの専業主婦のみなさんは、ご主人が配偶者控除の適用を受けるために、年収が103万円以内に収まるように調整しながら働いてきた方が非常に多いと思いますが、今回の税制改正によって、年収が150万円以内であれば、配偶者控除と同じ金額の所得控除が適用されるようになりました。
配偶者控除は、年収103万円以下であれば引き続き適用され、年収150万円までは、配偶者特別控除と控除名称は異なるものの、いずれも同額の所得控除が受けられるため、結果として、適用される所得控除金額は変わらないこととなります。
ただし、健康保険の扶養に該当するための年収と配偶者特別控除が受けられる年収とは金額が違うため注意が必要です。
配偶者控除を適用できる人をざっくりとまとめると・・・
ニュースや新聞を見ていつも思うのですが、配偶者控除を適用できる条件の説明について何だかよくわかりづらいと度々思います。
前項の解説も、読んでくれた人からすると「・・・でどういうこと??」って感じる人が多くてもおかしくないと私自身も感じますが、まずは「正確」な情報を伝える必要があるということでこちらは勘弁していただきたいと思っています。
とりあえず、配偶者控除を付けられるだろうと予測される人をざっくりとまとめるとこんな感じです。
マイナンバー制度が導入され、源泉徴収票の様式が変更になっておりますが、新様式であろうと旧様式であろうと関係なく、まずは、上記「支払金額」(赤の塗りつぶし)に記載されている金額が「103万円以下」であるかどうかを確認してください。
いわゆる年収103万円以下とは、源泉徴収票の支払金額が103万円以下であることを意味しているため、ここが103万円以下であれば配偶者控除が適用可能と予測されます。
ここで予測とした理由の1つとして、たとえばパートを掛け持ちしている場合が考えられ、2ヶ所からそれぞれ60万円の給料を年間で受けていたとすると、年収は60万円+60万円で120万円となるため、配偶者控除の適用は受けられないことになります。
このようなことから、配偶者控除の適用を受けるためには、年間の給料の合計が103万円以下であることがポイントです。
なお、平成30年の税制改正によって、次項から解説する配偶者特別控除に大きな変更がありますので、引き続き目通しをしていただき、誤った解釈をされないようにご注意ください。
税制改正によって、給与年収2,015,999円以下なら税負担の軽減が受けられる
国税庁では、前項まで解説した「配偶者控除」のほか「配偶者特別控除」という所得控除も認めています。
配偶者控除は、仮に妻の給与年収103万円以下であれば、夫が一律38万円の所得控除が受けられるという税制度ですが、配偶者特別控除は、平成30年の税制改正によって仮に妻の給与年収が103万0001円以上201万5999円以下であれば、妻の給与年収に応じた配偶者特別控除を夫が受けられるといった制度になっています。
上記、源泉徴収票の支払金額(黄色の塗りつぶし)が「103万0001円以上201万5999円以下」であれば、配偶者特別控除が受けられるといった仕組みになっており、配偶者控除の例のような2ヶ所から給与を60万円ずつもらっている人であれば、給与年収が120万円となるため、配偶者控除は受けられませんが、「配偶者特別控除は受けられる」ことになるのです。
これ、意外と適用忘れの人が多いです!ついでにもう1つ。
配偶者控除の解説は妻が給与年収103万円以下の場合を例に解説する場合が多く、意外と夫はNGと思われている方も多いようですが、夫も給与年収が103万円以下であれば適用が可能です。
誤解を招かないようにするためにも、一言、妻に限らず夫も適用できますと申し添えておいた方が良いのではと常々感じております。
共働き世帯が配偶者控除・配偶者特別控除の適用ができる場合
ケース・バイ・ケースではありますが、共働き世帯が配偶者控除・配偶者特別控除が適用できる場合は、年齢が高い低いに関わらず、実はさまざまあります。
その中の1つの事例として、我が佐藤家(私)が平成30年度に配偶者控除の適用が受けられる事例について紹介していきます。
出産手当金・育児休業給付金は収入とみなされない
我が佐藤家は、共働き世帯でありますが、平成30年に3人目の子どもが誕生し会社員の妻は、育児休業を取得しております。
平成30年中は、育児休業を明けて職場へ復帰するかどうかは現時点で未定ではありますが、その間、支給を受けていた「育児休業給付金」は所得税や住民税の計算をする上で「非課税(収入とみなしません)」という規定になっています。
つまり、平成30年における私の家内の収入は、税法上、ほとんどないため、私が配偶者控除の適用が受けられるといった仕組みになるわけです。
配偶者控除が受けられるかどうかのイメージ図
ポイントは、職場復帰してから12月31日時点で「合計収入がいくらになっているのか?」になります。
上記図では、給与年収が30万円となっておりますが、これが103万円以下なら「配偶者控除」、「103万0001円以上201万5999円以下」なら配偶者特別控除が受けられるといったことになるわけです。
まとめ
平成30年の年末調整は、今回の税制改正によって多くの方が、配偶者控除または配偶者特別控除の適用が多くなることが十分予測されます。
そのため、本記事の内容を再度確認していただきまして、来るべき今年の年末調整に備えていただきたいものと感じます。
また、万が一、年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除の適用をし忘れてしまったとしても、確定申告をすることでこれらの控除は可能ですので、極端に神経質になる必要もないと思われますが、手間になりますので、あらかじめ確認し職場が行う年末調整で1回で済ませてしまう方が無難でしょう。
わからない場合やどうしても気になる場合は、職場の経理担当者、勤務先で顧問している税理士などに確認してみるのもよいでしょう。
当事務所は相談報酬がかかりますので・・・。