住民税は、昨年の所得を基に計算され、課される地方税です。
大まかなイメージとして、たとえば、令和4年度に課される住民税は、令和3年度の所得を基に計算され課される税金といったイメージです。
さて、本ブログは、令和4年6月に作成・投稿しておりますが、一般に毎年6月は、住民税の納税金額が変わる節目の月でもあります。
そのため、仮に、昨年よりも多くの住民税を納めなければならない人にとっては、少しでも住民税を少なくできないか?と思うことでしょう。
そこで今回の「1500文字くらいのFPブログ」では、FP相談事例より、住民税を少なくするために確認しておきたい節税対策をざっくり紹介していきます。
住民税を少なくするために確認しておきたい節税対策
はじめに、厳密には異なると前置きし、住民税の計算は所得税の計算と似ているところがあります。
そのため、住民税を少なくするための節税対策を考えるには、所得税の節税対策がしっかりと行われているのかどうか?も確認する必要があります。
以下、あくまでも当事務所のFP相談事例ですが、該当する場合は、住民税を少なくするための節税対策を行える可能性があるでしょう。
・世帯の医療費が多額であるのにも関わらず、医療費控除を適用していない
・保険適用と保険適用外の医療費を医療費控除の対象となる医療費とならない医療費を混在して考えている
・「医療費控除の適用=支払った医療費が総額10万円超え」という考えに凝り固まっている(これは大きな誤り)
・配偶者が産前産後休暇や育児休暇を取得した
・収入が減少したことによる配偶者控除や扶養控除の適用忘れ
・ふるさと納税をした後の申告ミス
・節税対策が大幅に見込めるものの、その対応を実行していない(iDeCo未加入など)
・非課税所得を課税所得と勘違いしている
・還付申告または更正の請求によって節税対策が図れるもののそれをしていない
相談するお客様の現状確認や収入状況など、さまざまなことを確認しなければ明確に節税できるのかどうかを判断することはできません。
とはいえ、FP相談対応の中で、毎年必ずといってよいほど複数該当している傾向が見られます。
住民税の節税にかかる興味深い国税庁の注意喚起
国税庁のWEBサイトには、住民税の節税にかかる興味深い注意喚起が公開されています。
具体的には、ふるさと納税にかかるものとなり、詳細は以下の通りです。
所得税の確定申告書は、個人住民税の申告書も兼ねています(注)ので、「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄などが記載されていない場合には、個人住民税の賦課決定の際に控除されないこともありますので、ご注意ください。
(注) 地方税法上、所得税の確定申告書が提出された日に個人住民税の申告書が提出されたものとみなされており、また、所得税の確定申告書に、個人住民税の賦課決定に必要な事項(確定申告書第二表の「住民税に関する事項」)を附記しなければならない旨規定されています(地方税法45の3、317の3、地方税法施行規則2の3)。
出典:国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除) 注意事項より引用
返礼品をもらい節税対策として効果が見込まれるふるさと納税をしている人は多いと思います。
このとき、国税庁では、正しく、記載するべき箇所へ記載するべき内容を記載しないで申告を行った場合、本来得られる節税効果が得られない場合があると注意喚起していることがわかります。
ちなみに、ふるさと納税にかかる「ワンストップ特例」を活用している人も多くおられます。
しかしながら、ほかの所得控除も合わせて適用して申告するなど、特殊事情があった場合は、取り扱いが異なるケースもあることから、この辺も合わせて注意が必要といえるでしょう。
FP相談事例を振り返って改めて考える住民税の節税対策
住民税は、収入(所得)が増加したり、所得控除や税額控除が減少したりすることによって、増減します。
とはいえ、本来納めるべき適正金額以上に納めることはロスにつながることは言うまでもありません。
ファイナンシャルプランニングを考える上で、住民税をはじめとした節税対策は、長期的なお金のロスを避ける大切な対策にもあたります。
つまり、現状からロスをしていることに気が付けるということは、長期的にみたとき、今後多くのロスを避けられるきっかけになるとも言い切れます。
6月になりますと、住民税の決定通知が手元に届き、1年で納めるべき住民税がわかることから、これを機に、改めてご自身や世帯にとってロスを少なくする対策が取れないか?再確認しておきたいものですね。