今回のFPブログは、学生が税金控除の対象となる勤労学生控除についてです。
ただし、今回の内容は、学生だけではなく親の税金にも大きく関係する扶養控除との注意点にも触れています。
そのため、学生とその親の双方にとって重要な内容になるため、できる限り最後まで読み飛ばさないことをおすすめします。
ちなみに、本ページは、令和4年度の税法に対応しているため、学生やその親が年末調整や確定申告で活用できる内容です。
これから大学などへ進学する予定がある人やその親、すでに在学中の学生とその親に該当する場合、役立つ内容になるものと思われます。
目次
【簡単にわかりやすく】勤労学生控除とは
まずは、勤労学生控除について、簡単にわかりやすくポイントの紹介をしていきます。
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます。
出典:国税庁 No.1175 勤労学生控除 概要より引用
勤労学生控除は、学生(勤労学生)の場合に税金を減らすことができる制度です。
ただし、勤労学生と呼ばれる学生は、後述する3つの要件をすべて満たしてなければならない点に注意が必要です。
勤労学生って何?は次で紹介します
そもそも「勤労学生」ってどんな人?勤労学生控除の対象となる人の条件
勤労学生にあてはまるためには、その年の12月31日の現況で、以下、3つの要件にすべてあてはまっていなければなりません。
なお「その年の12月31日の現況」について、たとえば、令和4年度であれば、「令和4年12月31日時点」ということになります。
1.給与所得などの勤労による所得があること
2.合計所得金額が75万円以下(令和元年分以前は65万円以下)で、しかも「1」の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
3.特定の学校の学生、生徒であること
出典:国税庁 No.1175 勤労学生控除 勤労学生控除の対象となる人の範囲より引用
1.アルバイトなどをして働き収入を得た学生であること
2.アルバイトなどで得た収入が1年間(1月1日から12月31日まで)で130万円以下である学生。左記以外の収入もある場合は、その収入(所得)が1年間で10万円以下
3.小学生、中学生、高校生、大学生、短大生、専門学校生のいずれかであること
【学生対象】副収入に要注意
勤労学生に該当するためには、先に紹介した3つの要件をすべて満たしていなければなりません。
このとき、特に、大学生、短大生、専門学校生などは、副収入に注意が必要です。
たとえば、アルバイトをしながら、副業による収入も得ている場合、その副業収入(所得)が1年間で10万円以下でなければ勤労学生に該当しません。
つまり、勤労学生控除の対象外です。
また、副業だけでなく、投資によって利益を得た場合など、アルバイトなどによる勤労収入以外の収入(所得)が1年間で10万円を超えた場合も同様です。
ちなみに、投資の利益というのは、12月31日時点での純利益(1月1日から12月31日までの利益と損失を加減算した結果)が10万円を超えたかどうか?で判定します。
したがって、一度に10万円を超える利益をたまたま投資で得たからといって、ただちに勤労学生控除の対象外とはなりません。
【親が対象】親の税金に関係する扶養控除との注意点
子どもが高校を卒業して大学などへ進学する場合、その子の親は、これまで通り扶養控除の適用を受けられる場合がほとんどです。
しかしながら、その子どもがアルバイトなどで多くの収入を得たり、ほかの方法で多くの収入を得た場合、扶養控除の対象から外れてしまうことも考えられます。
そのため、ここでは子どもが扶養控除の対象になるためのポイントをいくつかわかりやすく紹介します。
子どもの勤労収入が103万円以下のみの場合、扶養控除の対象
仮に、進学した子どもがアルバイトなどで収入を得たとしても、子どもの1年間の勤労収入が103万円以下で、ほかの収入がない場合、扶養控除の対象です。
ただし、勤労収入のみであったとしても、子どもの1年間の勤労収入が103万円を超えている場合、扶養控除の対象外となります。
ちなみに、子どもが12月31日時点で、19歳以上23歳未満の場合、特定扶養親族に該当します。
つまり、高校生のときに適用していた扶養控除よりもさらに多くの控除が受けられ、結果として所得税および住民税の負担が大幅に減るわけです。
この適用が受けられない親からしますと、税負担が増すきっかけになるため、要注意といえます。
子どもの勤労収入はなし、その他の収入(所得)が48万円以下の場合、扶養控除の対象
仮に、進学した子どもがアルバイトなどによる勤労収入がなかったとしても、ネットを活用したクラウドソーシングやその他の方法で収入を得る場合も考えられます。
このような場合、子どもの収入(所得)が48万円以下であれば、扶養控除の対象です。
ただし、勤労収入がなかったとしても、子どもの1年間の収入(所得)が48万円を超えている場合、扶養控除の対象外となります。
【情報共有が大切】正しく扶養控除の適用をするために
正しく扶養控除を適用するためには、子どもと情報共有することが大切です。
これは、仮に、誤った申告をしてしまった場合、修正申告をする手間がかかるほか、無駄に多くの税金を納めることにつながるからです。
このようなリスクを避けるためにも、子どもと情報共有することが大切だと言い切れます。
実際、私の中学3年(本ページ作成時)になる息子との会話において、「雑所得」または「一時所得」になると思われる収入を息子が得ていることを確認できたことがあります。
なぜ確認することができたのか?
これは、言うまでもなく普段からコミュニケーションが取れていることに加え、私自身が会話の中から雑所得または一時所得と判定できたからです。
ただし、金額が少額であることやそもそも年少扶養親族に該当し、扶養控除の対象外のため、何ら問題が生じることはありませんでした。
現在、勤労によらず、さまざまな方法で収入を得られやすくなっているからこそ、成年である子どもとの情報共有は扶養控除を適用する上で大切といえます。
ちなみに、以下、当事務所で公開している扶養控除にかかる関連記事がありますので、親のみなさまは、合わせて読み進めてみることをおすすめします。
【学生対象】勤労学生控除の適用(申請)方法について
勤労学生に該当する3つの要件をすべて満たしている場合、勤労学生控除の適用を受けることができます。
なお、勤労学生控除の適用を受けるためには、年末調整もしくは確定申告といった税金精算手続きで行います。
年末調整で勤労学生控除を適用(申請)する場合
年末調整で勤労学生控除を適用するには、勤務先から渡される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の該当箇所にレ点チェックを入れることで足ります。
なお、勤労学生控除を適用する場合、年末調整を行う勤務先に対して「勤労学生に該当する旨を証する書類を1部添付」する必要があります。
確定申告で勤労学生控除を適用(申請)する場合
確定申告で勤労学生控除を適用する場合というのは、年末調整で勤労学生控除の適用を忘れた場合や勤労学生控除がそもそもわからなかった場合などが考えられます。
ここでは、e-taxを利用して確定申告書を作成し、勤労学生控除を適用する場合をわかりやすく紹介します。
手順1.勤労学生控除の「入力する」をクリック
手順2.「該当する」にチェックを入れる
手順3.それぞれの質問に回答をして「次へ進む」を押す
手順4.勤労学生控除が適用される【無事完了】
当事務所でも税金の相談をすることができます
本ページでは、学生やその親の人を対象に勤労学生控除や扶養控除の注意点などについて紹介しました。
ファイナンシャルプランニングにおいて、節税できるケースというのはさまざまあります。
また、税金についてよくわからない場合や迷う場合など疑問を抱える場合もあると思います。
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独立系FP(ファイナンシャルプランナー)は、税金に関わらず、さまざまなお金の相談をすることもできますので、相談する機会が生じたときは、ぜひ当事務所に相談することを検討いただければ幸いです。