本ページでは、クレジットカードのポイントやマイナポイント・ポイ活などで得たポイントと所得税の取り扱いについて紹介していきます。
なお、本ページの内容は、令和4年度の税法に対応しております。
はじめに、本ページは令和4年7月20日に作成・公開しておりますが、昨日、マイナポイントを複数回申し込める問題がニュースになりました。
これを見たとき、マイナポイントをはじめとして各種ポイントと所得税の取り扱いについて公開してみようと思いました。
私も含め、多くの人は、毎日の生活において、何気にポイントを得たり、ポイントを使用したりすることがあると思います。
本ページを最後まで読み進めていただくことで、今後の参考になることがあるかもしれません。
目次
【結論】ポイントと税金の取り扱いについて
まずは、本ページの結論を簡単にお伝えします。
クレジットカードのポイントと所得税の取り扱い
クレジットカードを使用して得たポイントは、一時所得として所得税の課税対象になります。
この理由について、以下、国税庁のWEBサイトで公開している情報を引用しながら要点を紹介します。
34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(5)法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)
出典:国税庁 法第34条《一時所得》関係 (一時所得の例示)(5)より引用
今回の場合、解説にある「法人」は、クレジットカード会社のことです。
「取得する金品」は、クレジットカードを使用して得たポイントのことです。
「法人からの贈与」は、クレジットカード会社から私たちに対するポイントのプレゼントと考えるとわかりやすいでしょう。
そもそも、なぜ、ポイントがプレゼントされるの?
それは、クレジットカードのしくみを見ると簡単にわかります。
出典:三井住友カード クレジットカード決済の仕組みとは?メリットや手数料についても解説 クレジットカードで決済を行うしくみより引用
クレジットカードを私たちが使用すると、クレジットカード会社は、店側(カード加盟店)が販売・提供した顧客の支払代金を立て替えます。
このとき、代金の立て替えにかかる手数料を店側(カード加盟店)から取ることによってカード会社は儲けているわけです。
つまり、カード会社が私たちにポイントを付与(贈与)することは、「儲けさせてくれてありがとう」といった意味で考えるとイメージがわきやすいと思います。
【素朴な疑問】法人からの贈与は「贈与税」がかからないの?
「贈与」という言葉を見聞きしますと、贈与税がかかるのではないか?と感じる人もおられると思います。
結論から申し上げて、法人からの贈与に贈与税はかかりません。
贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。
会社など法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。
出典:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 概要より引用
贈与税がかかる場合は、生存している人(個人)が、生存している人(個人)へ現金・ポイント・不動産などの財産をあげなければそもそも対象になりません。
つまり、法人と個人の関係において、贈与税がかかることはありません。
マイナポイントと所得税の取り扱い
マイナンバーカードを作成し、マイナポイントを受け取った場合、その付与されたマイナポイントは所得税が課される対象になります。
この理由についても、以下、国税庁のWEBサイトで公開している情報を引用しながら要点を紹介します。
マイナンバーカードを新規に取得した方等に付与されるマイナポイントや、マイナンバーカードの健康保険証としての利用申込みまたは公金受取口座の登録を行った方に付与されるマイナポイントは、「通常の商取引における値引き」とは認められませんので、その経済的利益は一時所得として所得税の課税対象となります。
出典:国税庁 No.1490 一時所得 Q&A マイナポイントの課税関係より引用
国税庁の解説より、受け取ったマイナポイントは、一時所得として所得税の課税対象になることがわかります。
このとき、マイナポイントを受け取った人からすると「いくら税金がかかるの?」と気になる人も多いと思います。
【特殊事情ありは注意】受け取ったマイナポイントに所得税が「ほぼ」かからない理由
マイナポイントを受け取った場合、受け取ったマイナポイントは、一時所得として所得税の課税対象でした。
しかし、国税庁では、この一時所得について以下のように解説をしています。
一時所得は、所得金額の計算上、特別控除額50万円を控除することとされており、他の一時所得とされる所得との合計額が年間50万円を超えない限り、確定申告をする必要はありません。
出典:国税庁 No.1490 一時所得 Q&A マイナポイントの課税関係 ※より引用
上記、国税庁の解説について、当事務所で補足をしながら大切なポイントをざっくりまとめます。
・一時所得が、受け取ったマイナポイントだけの場合、年間50万円の特別控除額を超えないため税金がかかりません。
・「年間」というのは、1月1日から12月31日までの1年間です。
・一時所得が、受け取ったマイナポイントだけの場合、税金がかからないため確定申告をする必要もありません(収入が給与のみや年金収入のみなどで特殊事情がない場合)
・生命保険の満期保険金や解約返戻金の受け取りをマイナポイントを受け取った年と同じ場合は、合計50万円を超えていないか注意が必要です。
・マイナポイントを受け取った年と競馬や競輪といった公営ギャンブルによって利益を得た年が同じ場合は、合計50万円を超えていないか注意が必要です。
・クレジットカードを使用して得たポイントがある場合は、そのポイントも合わせて年間で合計50万円を超えていないか確認してください。
【運よくラッキーに注意】ポイント付与キャンペーンに当選した場合
クレジットカードで使用した代金の全額がポイントとして還元されるキャンペーンをはじめ、ポイント付与キャンペーンは多く存在します。
このとき、たまたま運よくポイント付与キャンペーンに当選した場合は要注意です。
ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられませんので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
出典:国税庁 No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い 概要 答(注)より引用
運よくポイント付与キャンペーンに当選した場合、その付与されたポイントは、一時所得として所得税の課税対象になります。
ただし、この付与されたポイントは、付与されたときではなく、実際にその付与されたポイントを使用したときに税金が課されます。
たとえば、ポイント付与キャンペーンに当選し、5万円分のポイントを「令和4年」に付与されたとします。
この5万円分のポイントを「令和4年」に使用した場合は、令和4年の課税対象になるという意味です。
つまり、年をまたいで「令和5年」に使用した場合は、令和5年の課税対象となります。
ただ、これまで紹介しましたように、重要なのは、一時所得が年間で50万円の特別控除額を超えるかどうか?です。
つまり、運よくキャンペーンに当選し、多くのポイントをもらったとしても、一時所得が年間50万円を超えなければ税金の心配をする必要はありません。
【所得区分に注意】ポイ活で得たポイントと所得税の取り扱い
ポイ活で得たポイントは、基本的に税金がかかる対象です。
ただし、どのようにしてポイ活でポイントを得たのか?によって、所得税の所得区分が変わるため注意が必要です。
ポイ活で得たポイントが一時所得になる場合
ポイ活で得たポイントが一時所得になる場合は、主に以下の通りです。
・すでに紹介したように、ポイントキャンペーンに当選してポイントを得た場合
・買い物をしたことによってポイントを得た場合(注)
ポイ活で得たポイントが雑所得になる場合
ポイ活で得たポイントが雑所得になる場合は、主に以下の通りです。
・副業やアフィリエイトなどによってポイントを継続的に得た場合
・アンケートに回答したことによってポイント得た場合
ポイ活で得たポイントが事業所得になる場合
ポイ活で得たポイントが事業所得になる場合は、主に以下の通りです。
・事業を営んでおり、この営んでいる事業に付随してポイントを得た場合
・事業を営んでおり、この事業にかかる物を購入してポイントを得た場合
・事業を営んでおり、この事業にかかる必要経費をポイントを使用して支払った場合
もらったポイントに税金がかからない場合
私たちは、日常生活において食料品や生活にかかる必要なものを購入します。
このとき、これらを購入した店(企業)が発行しているポイントを得ることもあるはずです。
実のところ、このようなポイントについては、税金がかからないポイントとして取り扱われています。
以下、国税庁が公開しているタックスアンサーを読み進めますと、イメージがわきやすいでしょう。
問
私は、ドラッグストアで商品を購入する際に、同ストアが発行するポイントの付与を受けました。このポイントは、次回以降の買い物の際に、1ポイント1円に換算して、決済代金の値引きや景品との交換などに使用できるものです。
その後、そのポイントを商品購入の際に使用しましたが、私が取得または使用したポイントについて、所得税の確定申告は必要になりますか。
答
原則として、確定申告をする必要はありません。
商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っています。
一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられますので、こうしたポイントの取得または使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしています。
出典:国税庁 No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い 概要より引用
ポイントはポイントでも、そのポイントをどのようにして得たのか?によって、ポイントと税金の関係は大きく変わります。
【おわりに】ファイナンシャルプランニングから考えるポイントと税金の関係
ファイナンシャルプランニングにおいて、家計の収入や支出に「ポイント」が関係してくることも多いと考えられます。
しかしながら、今回紹介したポイントと税金の取り扱いを見ますと、余程の特殊事情が重ならない限り、ポイントに対する税金はかからないと言い切れます。
なぜならば、一般の人が年間で50万円を超えるようなポイントを得ることは、まずもってないと思われるからです。
その一方で、副業や趣味の一環でポイ活を行っている人は注意が必要ともいえます。
これは、すでに紹介しましたように、受け取ったポイントが一時所得ではなく雑所得になると想定されるからです。
本ページでは、一時所得、雑所得、事業所得が登場しましたが、それぞれの所得には計算式が設けられています。
極端な例えですが、ポイ活で年間40万円のポイントを得たとき、50万円以下だから税金はかからないといった考えは大きな間違いです。
なぜならば、重複しますが、一般の人がポイ活で得たポイントは雑所得になると考えられるからです。
ちなみに、1年間で雑所得が20万円以下であれば確定申告が不要などといった情報もありますが、これにも注意が必要だと私はいつも思っています。
これは、すべての人を上記の要件にあてはめて税金計算をするのは不適切だからです。
ファイナンシャルプランニングを考えるとき「ライフイベント」があり、このライフイベントの発生によってお金の流れは大きく変化します。
税金のかかり方も大きく変わることも多々あります。
つまり、ケースバイケースとはいえ、ポイントと税金の関係も変わる可能性だってあるはずです。
今回、私はこの記事を作成したとき、ファイナンシャルプランニングって奥深いなあって思いました。
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ご相談も随時受付しておりますので、ご検討をよろしくお願いいたします。