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本人名義の土地や建物を売却(譲渡)したときの税金と取り扱いについて【1500文字くらいのFPブログ】

今回の「1500文字くらいのFPブログ」は、本人名義の土地や建物を売却(譲渡)したときの税金と取り扱いについてです。

はじめに、当事務所で公開している記事コンテンツを一通りみたとき、「不動産」にかかるものが圧倒的に少ないことがわかりました。

そのため、不動産にかかるコンテンツをコツコツ充実させようと思い、まずは簡単な内容から公開していくことにしました。

本人名義の土地や建物の売却は、人生において、何度か経験する人もおられると思いますので、今回は、基本的な税金の取り扱いについてわかりやすくまとめます。

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本人名義の土地や建物を売却(譲渡)したときの税金

本人名義の土地や建物を売却(譲渡)したときの税金は、「譲渡所得」として所得税や住民税の課税対象になります。

ちなみに、譲渡所得について、国税庁では以下のように解説しています。

譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。

出典:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) 概要より引用

土地や建物などの資産を譲渡(売却)することによって、利益(所得)が生じた場合、その利益(所得)に対して所得税や住民税が課されることになります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
利益(所得)が生じたかどうかは、次項の計算方法や計算式によって判定します。

譲渡所得の計算方法と計算式

土地や建物などの資産を譲渡(売却)することによって、利益(所得)が生じたかどうかは、以下の計算式によって判定します。

収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額

出典:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) 計算方法・計算式より引用

計算式にあるそれぞれの言葉の意味は以下の通りです。

収入金額とは

収入金額とは、土地や建物を売却(譲渡)した金額のことをいいます。

たとえば、土地を1,000万円で買主に売却した場合、収入金額は1,000万円となります。

取得費とは

取得費とは、売却した土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費などで支出したお金のことをいいます。

ちなみに、取得費には、上記のほか、以下の支出したお金も取得費として認められています。

(1)土地や建物を購入したときに納めた登録免許税・登記費用・不動産取得税・特別土地保有税(取得分)・印紙税

(2)借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料

(3)土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用

(4)土地の取得に際して支払った土地の測量費

(5)所有権などを確保するために要した訴訟費用

(6)建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用

(7)土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子

(8)既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

参考:国税庁 No.3252 取得費となるもの

土地や建物を売却したときの取得費は、上記の通り、幅広い特徴があります。

また、計算式を考慮しますと、取得費をもれなく計算することが利益(所得)を少なくさせ、納めるべき税金も少なくさせる効果が期待できます。

譲渡費用とは

譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかったお金のことをいいます。

なお、国税庁では、以下の内容で支出したお金を譲渡費用として認めています。

(1)土地や建物を売るために支払った仲介手数料

(2)印紙税で売主が負担したもの

(3)貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料

(4)土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額

(5)既に売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金

これは、土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のことです。

(6)借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など

出典:国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの 概要より引用

特別控除額とは

特別控除額とは、一定の要件を満たすことによって適用することができる控除額のことをいいます。

ちなみに、土地や建物を売却したときの特別控除額には以下のようなものがあります。

(イ) 収用等により土地建物を譲渡した場合 ・・・ 5,000万円

(ロ) マイホームを譲渡した場合 ・・・ 3,000万円

(ハ) 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合 ・・・ 2,000万円

(ニ) 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合 ・・・ 1,500万円

(ホ) 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合・・・1,000万円

(ヘ) 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 ・・・ 800万円

(ト) 低未利用土地等を譲渡した場合 ・・・ 100万円

出典:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) 計算方法・計算式より引用

土地や建物を売却したときの特別控除額には、適用するための要件がそれぞれ定められています。

また、売却するときの事情も関係するものの、特別控除額の適用が受けられるか否かは、納めるべき税金に大きな影響を与えることはいうまでもありません。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
土地や建物を売却する予定がある場合は、あらかじめ特別控除額の適用有無も含めて税負担があるかないかを専門家へ相談するのが望ましいでしょう

土地や建物を売却したときの税額計算について

土地や建物を売却したときの税金は、先に解説した計算式で計算した結果、「0円またはマイナスにならなかった場合」に発生します。

たとえば、本人名義のマイホームを以下の条件で売却した場合を考えてみます。

・売却金額:7,000万円

・取得費および譲渡費用:3,500万円

・特別控除額:3,000万円

・譲渡所得:500万円【7,000万円-3,500万円-3,000万円=500万円】

上記の場合、500万円の譲渡所得に対して所得税および住民税が課されることになります。

なお、土地や建物を売却したときの税額計算は、給料や賞与の支給を受けた場合の「給与所得」や年金の支給を受けた場合の「雑所得」など、ほかの所得と合わせて計算しません。

これを「申告分離課税制度」といいます。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
土地や建物を売却した場合の申告分離課税制度は、一時的な要因によって、極端な税負担を避けられる制度になっています。

【所有期間5年】がポイント!長期譲渡所得と短期譲渡所得の判定

土地や建物を売却したときの譲渡所得には、長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つの種類に分けられる特徴があります。

ちなみに、長期譲渡所得と短期譲渡所得の判定は以下の通りです。

長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物を、また、短期譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物をそれぞれ譲渡したことによる所得をいいます。

出典:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) 計算方法・計算式より引用

土地や建物を売却した年の1月1日現在で、土地や建物の所有期間が5年を超える場合は、長期譲渡所得、5年以下は短期譲渡所得となります。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税額計算

長期譲渡所得なのか短期譲渡所得なのかによって、課される税率が全く異なります。

長期譲渡所得:課税長期譲渡所得金額×15%(住民税は5%)

短期譲渡所得:課税短期譲渡所得金額×30%(住民税は9%)

仮に、譲渡所得が500万円だった場合、上記の計算式にあてはめると、長期と短期および所得税と住民税の税額に以下の違いが生じます。

長期譲渡所得:課税長期譲渡所得金額×15%(住民税は5%)→ 所得税75万円・住民税25万円・合計100万円(復興特別所得税2.1%は考慮しておりません)

短期譲渡所得:課税短期譲渡所得金額×30%(住民税は9%)→ 所得税150万円・45万円・合計195万円(復興特別所得税2.1%は考慮しておりません)

長期譲渡所得なのか短期譲渡所得なのかによって、納めるべき税金に大きな違いが生じていることを確認できます。

本人名義の土地や建物を売却するときの税金にかかるポイント

土地や建物を売却するときは、まず、譲渡所得が生じるのかどうか?を確認しなければなりません。

特に、特別控除額の効果は極めて大きいため、これが使えるのか?使えないのか?は、売却前にあらかじめ確認しておきたいものです。

なお、住宅(マイホーム)を売却した場合に節税対策として有効活用できる「3,000万円の特別控除の特例」は、以下のリンクから確認することができます。

住宅(マイホーム)など居住用不動産(居住用財産)を売却したときの【3,000万円の特別控除の特例】について【FPブログ】

佐藤 元宣
佐藤 元宣
関連性が高い内容ですので、本ページと合わせて上記リンクの記事を読み進めていただくことをおすすめします

次に、長期譲渡所得になるのか、短期譲渡所得になるのかも確認する必要があります。

これは言うまでもなく、負担する税額に大きな違いが生じるからです。

ちなみに、特別控除額の適用をするためには、要件を満たしていることに加え、所得税の確定申告をすることが必要です。

つまり、普段と比べてなれない手続きが必要になるため、正しい申告と手続きのミスを避ける意味においては、専門家の協力を得ながら進めるのが望ましいといえそうです。


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