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相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの税金と特別控除(特例)の取り扱いについて【FPブログ】
不動産

今回のFPブログは、相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの税金と特別控除(特例)の取り扱いについてです。

今回紹介する内容は、昨日、一昨日に公開したブログ内容と関連性が高いものとなります。

加えて、相続で実家などの空き家を取得するケースも多く、これを売却したときの税金について気になる人もおそらく多いと思われます。

そのような人、これからそのような立場になりそうな人にとっては、役立つ内容になるかもしれません。

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相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの税金の取り扱い

相続で取得した居住用財産(空き家)を売却した場合、譲渡所得として、所得税および住民税の課税対象になるのが原則です。

ただし、譲渡所得には計算式が設けられており、計算式にあてはめて計算した結果、利益(所得)が生じた場合に税金が課されます。

なお、譲渡所得の計算式や計算方法は、以下、当事務所が公開している記事内で確認することができるため、本ページでは解説を割愛します。

本人名義の土地や建物を売却(譲渡)したときの税金と取り扱いについて【1500文字くらいのFPブログ】

佐藤 元宣
佐藤 元宣
過去のブログの流れに沿って記事作成しています。
そのため、上記内容をまだ目通ししていない人は、一通り読み進めてから本ページを読み進めるのが望ましいと思っています。

相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの特別控除(特例)

相続で取得した居住用財産(空き家)を売却した結果、利益(所得)が生じた場合は、所得税および住民税が課されます。

ただし、相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したとき、一定の要件を満たすことで特別控除(特例)を適用できる場合があります。

これによって、納めるべき税金を無くしたり、税額を少なくできる節税効果が得られます。

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。

出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 概要より引用

本特例は、令和5年12月31日までの措置になっていることが、国税庁の解説からわかります。

ただし、法改正によって、引き続き特例制度が延長され、令和5年12月31日以降も本特例を使える場合も十分考えられます。

そのため、ご自身が相続によって居住用財産(空き家)を取得して売却する場合、この特例制度が使えるのかどうか?まずは、期間を確認しておくことが極めて重要です。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
特例の対象となる家屋や敷地について次項からポイント解説をしていきます。

特例の対象となる【被相続人居住用家屋】とは

特例の対象となる【被相続人居住用家屋】について、国税庁では、以下のように解説しています。

特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいいます。

イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。

ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。

ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 特例の対象となる「被相続人居住用家屋」および「被相続人居住用家屋の敷地等」より引用

上記、国税庁の解説をざっくりわかりやすくまとめると、被相続人居住用家屋とは、以下の3つをすべて満たしているものになります。

・昭和56年5月31日以前に建築された古い住宅(建物)であること

マンションではないこと

死亡した人以外に、相続した古い住宅(建物)に住んでいる人がいないこと

佐藤 元宣
佐藤 元宣
相当古い住宅(建物)でなければ、本特例が使えない点はネックになるかもしれません。

ちなみに、死亡した人が、生前に要介護認定などを受けて老人ホームなどに入所していた特殊な事情がある場合で一定の要件を満たすときは、「被相続人居住用家屋」に該当する場合があります。

こちらにつきましては、国税庁でも同様の解説をしております。

そのため、該当する場合や該当しそうな場合がある人は、以下、リンク内容も合わせて確認されてみることをおすすめします。

参考:国税庁 No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋

特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは

特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」について、国税庁では、以下のように解説しています。

特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の上に存する権利をいいます。

出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 特例の対象となる「被相続人居住用家屋」および「被相続人居住用家屋の敷地等」より引用

上記、国税庁の解説をざっくりわかりやすくまとめると、被相続人居住用家屋の敷地等とは、以下の通りです。

・先に解説した被相続人居住用家屋があった土地であること

・先に解説した被相続人居住用家屋があった土地に設定されている権利

佐藤 元宣
佐藤 元宣
こちらについては、あまり難しく考えずに、被相続人居住用家屋があった土地をイメージするとわかりやすいでしょう

相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの特別控除(特例)を受けるための適用要件

相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの特別控除(特例)を受けるための適用要件は、全部で7つあり、これらをすべて満たしていなければなりません。

(1)売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。

(2)特定の条件の下、売却を行ったこと(後述します)

(3)相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(4)売却代金が1億円以下であること。

(5)売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(6)同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

(7)親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。

出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 特例の適用を受けるための要件より一部引用

上記解説のうち、特定の条件での売却は以下の通りです。

1.相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

2.相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 特例の適用を受けるための要件より引用

佐藤 元宣
佐藤 元宣
国税庁の解説を簡単にまとめると、以下のいずれかにあてはまる売却をした場合はOKです

・被相続人居住用家屋を売却した場合:OK

・被相続人居住用家屋と被相続人居住用家屋の敷地等をどちらも一緒に売却する場合:OK

・被相続人居住用家屋を取り壊して更地にした後、その土地を売却する場合:OK

特別控除(特例)を受けるための手続きと必要書類

相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの特別控除(特例)を受けるためには、一定の書類を添えて所得税の確定申告をしなければなりません。

なお、ここでいう「一定の書類=必要書類」は、以下の通りです。

・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用] → 「e-tax」で簡単に作成できる。税理士へ依頼をした場合、税理士で作成

・売却した建物や土地の登記事項証明書 → 法務局で取得

・売却した建物や土地の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」 → 売却した建物や土地があった役所で取得

・耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し → 紛失などで手元にない場合は、建築士へ問い合わせてみる

・売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの → 不動産業者など

佐藤 元宣
佐藤 元宣
必要書類の取得先を参考までに

疑問や不安をどうしても解消したい場合は専門家の協力を

相続で取得した居住用財産(空き家)を売却したときの税金と特別控除(特例)の取り扱いについて紹介しました。

相続が開始した場合や相続が開始した後に、さまざまなことで疑問や不安を抱えてしまう場合というのは、誰にでも大いにあり得ることだと思われます。

そのようなとき、今回の税金にかかる取り扱いに関わらず、スムーズ、かつ、確実に問題解決するには、時として専門家の協力を得た方が望ましいこともあるでしょう。

あくまでも、その人の考え方にもよるものの、費用をかけずにご自身で調べながら手続きを取ることも可能です。

ただし、今回紹介した特例のように、手続きをするための期間が設けられているものも多々あります。

そのため、期間が過ぎてしまったことによって、有利に物事を進めていけないような事態にならないよう、細心の注意を払うことが大切だといえるでしょう。


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