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住宅ローンの返済方法は元金均等返済と元利均等返済のどちらがよい?違いと効果をFPが解説

本ページでは、住宅ローンの返済方法である元金均等返済と元利均等返済の違いや効果を紹介し、どのような方がどちらの返済方法を選ぶのが適しているのかについて独立系ファイナンシャルプランナー(FP)が解説を進めていきます。

(本ページは、2019年10月6日に初回投稿した記事を2020年8月23日に大幅に改編して公開しています)

はじめに、住宅ローンの借入条件は、住宅ローンを借り入れする金融機関をはじめ、選んだ金利、選んだ返済方法、完済までの返済期間、ボーナス払いがあるのかないのか、など様々な条件によって、毎月の返済金額や完済までに返済することになる元金と利息を合わせた総返済金額が全く異なります。

そのため、住宅ローンの申し込みをする前は、これらの借入条件をどのようにするのかが極めて重要になるわけですが、本ページでは、住宅ローンの借入条件の内、返済方法にあたる元金均等返済と元利均等返済の違いと効果を中心にわかりやすく解説していきます。

これから住宅ローンの申し込みを検討しているユーザーの皆さまにとってみますと、本ページを最後まで読み進めていただくことによって、自分にはどちらの返済方法が適しているのかご理解いただけるものと思います。

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住宅ローンの返済方法【元金均等返済】とは

住宅ローンの返済方法である元金均等返済とは、毎月返済しなければならない住宅ローンの返済金額の内、返済元金が毎月一定となる返済方法のことを言います。

元金均等返済の特徴を簡単に知るには、住宅ローンのシミュレーションをしたものを見るとすぐにわかりますので、以下、元金均等返済で大まかにシミュレーションしたものと、毎月の返済金額の関係性について紹介します。

住宅ローンシミュレーションの前提条件:借入金額2,500万円、金利1.5%、ボーナス払いなし、返済期間35年

参考 知るぽると 資金プランしっかりシミュレーション 借入返済額シミュレーションを基に筆者試算

上記画像の返済予定表を見ますと、毎月の住宅ローンの返済金額の内、元金分が59,523円と毎月一定金額になっていることがわかります。

これが元金均等返済の大きな特徴にあたり、元金分と利息分を合わせた1ヶ月の返済金額は、毎月異なるものの、月日が経過するごとに返済金額が徐々に減っていく住宅ローンの返済方法が元金均等返済です。

元金均等返済で住宅ローンを返済する時の主なポイント

元金均等返済で住宅ローンを返済する時の主なポイントを以下、2つ紹介します。

・住宅ローンの返済金額が、毎月一定にならないため毎月の返済に余裕を持たせる必要がある

・住宅ローンの返済当初は、毎月の返済金額が大きくなる

元金均等返済で住宅ローンの返済を行う場合、返済当初は、毎月の返済金額が大きくなってしまう特徴があります。

そのため、無理なく住宅ローンを返済していくためには、元金均等返済で住宅ローンを返済する際、その金額を毎月返済するのに余裕を持てる範囲に留めていなければなりません。

たとえば、毎月の生活費、貯蓄、子供の教育資金、ご自身の老後資金など将来を考慮してもなお、元金均等返済で余裕を持った返済ができるのかどうかが1つのポイントとなります。

住宅ローンの返済方法【元利均等返済】とは

住宅ローンの返済方法である元利均等返済とは、住宅ローンの返済金額の内、返済元金と支払利息を合わせた返済金額が毎月一定となる返済方法のことを言います。

こちらの返済方法につきましても、住宅ローンのシミュレーションをしたものを見るとすぐに特徴がわかりますので、以下、元利均等返済で大まかにシミュレーションしたものと、毎月の返済金額の関係性について紹介します。

住宅ローンシミュレーションの前提条件:借入金額2,500万円、金利1.5%、ボーナス払いなし、返済期間35年(先に紹介した元金均等返済と同条件)

参考 知るぽると 資金プランしっかりシミュレーション 借入返済額シミュレーションを基に筆者試算

上記画像を見ますと、毎月の住宅ローンの返済金額の内、元金分と利息分を合わせた毎月の返済金額が76,546円と一定金額になっていることがわかります。

これが元利均等返済の大きな特徴です。

元利均等返済で住宅ローンを返済する時の主なポイント

元利均等返済で住宅ローンを返済する時の主なポイントを以下、2つ紹介します。

・住宅ローンの返済金額が、毎月一定になるため返済計画が立てやすい

・住宅ローンの総返済金額は、元金均等返済に比べて多くなる

元利均等返済で住宅ローンの返済を行う場合、返済金額が、毎月一定になるため返済計画が立てやすい特徴があります。

そのため、元利均等返済でシミュレーションした金額が、毎月の生活費、貯蓄、子供の教育資金、ご自身の老後資金など将来を考慮してもなお、無理なく住宅ローンを返済していける範囲であれば、まずは大きな問題がないと言い切ることができます。

ただし、先に紹介した元金均等返済に比べて元利均等返済は、住宅ローンの完済までに支払うお金(総返済金額)が多くなってしまう特徴は大きなポイントの1つです。

こちらにつきましては、次項でわかりやすく解説を進めます。

元金均等返済と元利均等返済の違いと効果

前項では、元金均等返済と元利均等返済の特徴やポイントについて紹介しましたが、ここでは、住宅ローンの完済までに支払うお金(総返済金額)の違いについて紹介します。

住宅ローンシミュレーションの前提条件:借入金額2,500万円、金利1.5%、ボーナス払いなし、返済期間35年

元金均等返済の場合における総返済金額

参考 知るぽると 資金プランしっかりシミュレーション 借入返済額シミュレーションを基に筆者試算

住宅ローンを元金均等返済で行った場合、2,500万円の借り入れに対して、完済までの35年間で支払うお金は、元金と利息を合わせて約3,157万円という結果になりました。

では、元利均等返済の場合における総返済金額はいくらになるのか次項で確認していきましょう。

元利均等返済の場合における総返済金額

参考 知るぽると 資金プランしっかりシミュレーション 借入返済額シミュレーションを基に筆者試算

住宅ローンを元利均等返済で行った場合、2,500万円の借り入れに対して、完済までの35年間で支払うお金は、元金と利息を合わせて約3,214万円という結果になりました。

この結果を踏まえて、元金均等返済と元利均等返済の特徴を簡単にまとめます。

住宅ローンの返済方法元金均等返済元利均等返済ポイント
1回目の住宅ローン返済金額90,772円76,546円住宅ローンの返済当初は、元金均等返済の方が元利均等返済に比べて毎月の返済金額は多くなる
完済までに支払う総返済金額31,577,486円32,149,320円35年の完済時点では、元利均等返済の方が元金均等返済に比べて総返済金額が多くなり、長い目で見ると、元金均等返済の方が元利均等返済に比べて支払うお金を少なくさせられる結果となる

本ページの冒頭では、住宅ローンを借り入れする際、住宅ローンを借り入れする金融機関をはじめ、選んだ金利、選んだ返済方法、完済までの返済期間、ボーナス払いがあるのかないのか、など様々な条件によって、毎月の返済金額や完済までに返済することになる元金と利息を合わせた総返済金額が全く異なることをお伝えしました。

今回のシミュレーション結果を踏まえますと、住宅ローンの返済方法が元金均等返済なのか元利均等返済なのかだけの違いによって、トータルで571,834円(32,149,320-31,577,486円)の差が生じる結果となりました。

元利均等返済ではなく元金均等返済を選ぶことによって得られる効果

通常、住宅ローンの利息は、残っている残債務に対して発生するものになります。

そのため、元金均等返済のように、返済元金が元利均等返済に比べて年数の経過と共に減少するのが早い返済方法を選択することによって、ある一定年数が経過すると、毎月の返済金額が逆転現象を起こすことになります。

参考 知るぽると 資金プランしっかりシミュレーション 借入返済額シミュレーションを基に筆者試算

今回の計算例ですと、大まかな例となりますが、住宅ローンの返済から16年6ヶ月程度の期間が経過すると、元利均等返済(毎月の返済金額76,546円)に比べて元金均等返済の方が、毎月の返済金額が少なくなっていく結果になっていることがわかります。

元利均等返済の総返済金額は繰り上げ返済で減らすことが可能

元金均等返済と元利均等返済では、元金均等返済の方が、総返済金額を少なく抑えられます。

ただし、住宅ローンの返済期間中に住宅ローンの繰り上げ返済を行うことで、元利均等返済であったとしても、結果として元金均等返済よりも総返済金額を減らすことができるのも確かです。

そのため、以下、当事務所が公開している繰り上げ返済にかかる記事内容や次項で解説する将来のライフプランも含めて、総合的に住宅ローンの借入について考えることがとても大切です。

住宅ローンの繰り上げ返済とは?繰り上げ返済の種類や効果、活用の考え方をシミュレーションと共に紹介

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住宅ローンの返済方法を選ぶ時は、将来のライフプランも考慮して決定しよう

一般に、住宅ローンを組んで住宅を購入しようと考えている方は、子供が誕生した場合や、今、住んでいる家が手狭になったなど様々な理由があると思われます。

この時、たとえば、小さな子供がいたとして、新たに住宅ローンを組むとした場合、元金均等返済と元利均等返済のどちらを選ぶのかによって、家計のお金の管理や使い方も大きく変わる原因の1つになると考えられます。

この理由として、解説が重複致しますが、子供の教育資金準備や自分たちの老後資金準備など、住宅ローンの返済をしながら対策を取っておかなければならない重要事項がたくさんあるからです。

単に、お金が多くかかる、多くかからないといった比較だけで住宅ローンの返済方法を選ぶとすれば、元金均等返済の方が元利均等返済に比べて「有利」と簡単に判断することができます。

しかしながら、家計のお金を考慮し、限られたお金の中で将来の様々なお金を準備し、対策を取る必要があることを踏まえますと、目に見える部分だけで解決するのは難しいことを理解しておく必要があると言えます。

住宅ローンの返済方法は、元金均等返済と元利均等返済のどちらを選べばよい?

ここまで、元金均等返済と元利均等返済の特徴について解説を進めてきましたが、結局、住宅ローンの返済方法は、元金均等返済と元利均等返済のどちらを選べばよい?と疑問が解決できでいない方もおられるかもしれません。

前項でもお伝えしましたように、住宅ローンの返済方法は、将来のライフプランを考慮して決定する必要性は高いと筆者は考えておりますが、以下、大まかに元金均等返済が向いている人と元利均等返済が向いている人を紹介します。

元金均等返済が向いている人

・家計にゆとりがある人(住宅ローンを返済しても、家計のあまるお金に余裕がある人)

・収入が比較的高い人

・賞与(ボーナス)が、ほぼ確実に支給される人

・早く住宅ローンの返済を終えたいと考えている人

・夫婦共働きをしている間に多くの住宅ローンを返済したいと考えている人

元金均等返済は、住宅ローンの返済が開始となってからしばらくの間は、多くのお金を返済し続けていかなくてはなりません。

そのため、家計にゆとりがある人や収入が比較的高い人をはじめ、会社員や公務員などで、賞与(ボーナス)が、ほぼ確実に支給される人は、元金均等返済に向いている人と考えられます。

また、早く住宅ローンの返済を終えたいと考えている人や夫婦共働きをしている間に多くの住宅ローンを返済したいと考えている人も元金均等返済に向いている人とも考えられます。

重要ポイントとして、元金均等返済は、すべての金融機関で取り扱っているとは限らないこと、自分から金融機関に対して元金均等返済での返済が希望であることを伝えることもあげられ、これらのポイントもあらかじめしっかりと知った上で住宅ローンの返済方法を選ぶことが大切です。

元利均等返済が向いている人

・計画的に住宅ローンを返済していきたい人

・家計のお金にあまりゆとりが持てない人

・自営業者やフリーランスなど、収入が安定していない人

元利均等返済は、毎月の住宅ローンの返済金額が同額となるため、計画的に住宅ローンの返済をしていきたいと考えている人には向いている返済方法と言えます。

また、収入がどちらかと言えば変動するような人であれば、元利均等返済のように、毎月返済する金額が決まっている方が返済しやすくなることを考慮しますと、自営業者やフリーランスなども元利均等返済の方が向いている返済方法とも言えるでしょう。

住宅ローンの返済計画は、金融機関や不動産会社の言いなりにならないように注意したい

現在、住宅ローンのシミュレーションは、無料で公開されているシミュレーターを活用することで、誰でも簡単に行うことができるようになっており、金融機関や不動産会社でもごく当たり前のサービスとして提供しています。

しかしながら、本ページで紹介しましたように、住宅ローンの返済方法1つをとっても、住宅ローンを完済するまでの総返済金額や毎月の返済金額が異なり、これに、選んだ金融機関、選んだ金利、選んだ返済期間なども絡めていきますと、さらに返済金額が大きく異なってくることになります。

そのため、住宅ローンの返済計画を立てる時は、少なくとも金融機関や不動産会社の言いなりになるのではなく、提供された情報を一度持ち帰り、自分たちでしっかりと再検討をすることが極めて重要です。

ちなみに、住宅ローンの返済期間を短く設定することによって、元金均等返済よりも元利均等返済の方が、毎月の返済金額を少なくすることもでき、住宅ローンの返済を考えるということは、極めて「奥が深いもの」だと筆者は自身の仕事を通じて感じています。

少なくとも、個々のライフプランや懐事情を知った上で行う住宅ローンのプランニングと懐具合を知らない上で行う住宅ローンのプランニングには、おそらく、相談者の納得具合に大きな差が生じるのは確かなのではないかとも思います。

おわりに

本ページでは、住宅ローンの返済方法である元金均等返済と元利均等返済の違いや効果を紹介し、どのような方がどちらの返済方法を選ぶのが適しているのかについても紹介させていただきました。

何度もお伝えしておりますように、住宅ローンは、本ページで紹介した返済方法の違いだけではなく、金融機関、金利、返済期間なども絡めて総合的にプランニングしますと、その違いがもっと顕著に表れてきます。

根本的なお話となりますが、住宅ローンは、毎月の返済を滞ることなく完済までの長い期間に渡って継続していかなければならないものです。

そのため、目に見える部分だけでは「真相が見えてこない」ものでありますから、この辺をよく理解した上で行動し、納得した住宅ローンを組まれる人は、おそらく賢い人であり、大切なお金をしっかりと考えられている人なのではないかとも思います。

住宅購入は、人生で最も高い買い物と言われますが、住宅ローンの組み方が適切でなければ、最も高い買い物をさらに割高で買い物していると考えることができるはずです。

これから住宅ローンを組まれる予定がある人や、後は、契約をするだけの人は、いま一度、住宅ローンの返済方法も含めて再確認されてみるのが望ましいでしょう。


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