トップページ > 住宅 > 【新型コロナウィルスから学ぶ】住宅ローンの返済計画について独立系ファイナンシャルプランナー(FP)が思うこと
【新型コロナウィルスから学ぶ】住宅ローンの返済計画について独立系ファイナンシャルプランナー(FP)が思うこと

本ページでは、新型コロナウィルスの影響から感じたこれからの住宅ローンの返済計画について、現役の独立系FPが思うことを綴っています。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
独立系FPの佐藤元宣(さとうもとのぶ)です
住宅ローンの返済計画は、これまで通りの考え方で大丈夫なのか、一緒に考えてみましょう

本ページは、2016年11月9日に初回投稿したものを、新型コロナウィルスの影響を踏まえて2020年8月27日に大幅に改編したものになります。

はじめに、住宅購入をする際、銀行などの金融機関を通じて住宅ローンの申し込みをされる方が多いと思います。

一般的に、住宅ローンは1,000万円単位の借金を何十年もかけて返済し続けていく人が多いことを考えますと、新築住宅、中古住宅などを問わず、まずもって無理のない住宅ローンの返済計画や資金計画を立てておくことは極めて重要です。

ただし、これは「そもそも当たり前」のことであり、本当に重要なのは、今回の新型コロナウィルスの影響といった予期せぬ事態に今後遭遇した時の事前対策や準備をどのようにするのか?といったことを住宅ローンの申し込み前から考えておくことだと筆者は感じてます。

そこで本ページでは、新型コロナウィルスの影響から感じたこれからの住宅ローンの返済計画について、現役の独立系FPが思うことを綴っていきます。

スポンサーリンク

住宅ローンの返済計画・資金計画を立てることはそもそも当たり前

住宅ローンを申し込みする前に、無理のない返済計画や資金計画を立てることは重要だと言われています。

しかしながら、これは「そもそも当たり前」のことにあたり、現状、金融機関や不動産業者などでは無料サービスの一環として行っているところが大半です。

加えて、住宅ローンの返済シミュレーションは、ネットで誰でも無料で簡単に試算できるため、ある意味、住宅ローンの返済計画や資金計画を立てることは、そもそも当たり前に行われていると考えても良いと筆者は感じています。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローンの返済計画や資金計画を立てるのは当たり前!重要なのは「その後」です

【コロナから学ぶ】重要なのは住宅ローンを組んだ後

夢のマイホームを購入したい人の多くは、おそらく、住宅ローンの返済計画や資金計画を立て、住宅ローンの審査に無事通過することを切実に願っている人も多いと思います。

とはいえ、今回の新型コロナウィルスのような予期せぬ事態が起こった時、はたして本当にこれで良いと言い切ることができるのでしょうか?

たとえば、予期せぬ解雇、予期せぬ勤務先の倒産、予期せぬ収入減少などがあったとします。

この時、当初立てた住宅ローンの返済計画や資金計画は、計画通りの想定内で進むことになるのでしょうか?

仮に、不測の事態が発生し、住宅ローンの返済計画や資金計画が計画通りではない「想定外」となった場合、そもそも当たり前に立てた計画が当たり前のものではなくなることを意味します。

つまり、当初立てた住宅ローンの返済計画や資金計画は、役に立たないものへ変わってしまうことになります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローンの返済計画は「想定外」も考慮することが重要!

安心できる住宅ローンの返済計画について考えていきましょう

【コロナから学ぶ】無理のない住宅ローンの返済計画

住宅ローンの返済計画は、毎月の返済が無理をせずに行っていける金額であれば良いといった考え方が一般的です。

しかしながら、前項の内容を考慮しますと、これだけでは足りず、不測の事態が発生した場合であったとしても、住宅ローンの返済を引き続き継続していけることが求められます。

これが本当の意味での無理のない住宅ローンの返済計画であると筆者は考えます。

したがって、たとえば、金融機関や不動産業者などで住宅ローンの返済計画を作成してもらったり、ご自身で住宅ローンの返済シミュレーションを行うだけでは不十分です。

本当に安心できる住宅ローンの返済計画を立てるためには、不測の事態が発生した場合の対策や準備も行っておくことが重要です。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローンの返済計画を立てるだけでは不十分。
もう一歩踏み込んだ対策と準備を考えることが重要!

無理のない住宅ローンの返済計画を立てるための対策と準備

これから住宅ローンを組みたいと考えている人にとって、無理のない住宅ローンの返済計画を立てるためには、具体的にどのように対策や準備をしたら良いのか知りたいことと思います。

独立系FPの立場としては、率直に相談される人が置かれている状況下によって、対策方法や準備方法が異なるというのが本音です。

ただし、「この部分は共通して言える」といったこともありますので、本項では、一般的に考えられる無理のない住宅ローンの返済計画を立てるための対策と準備について紹介します。

緊急予備資金が十分ある状態で住宅ローンを申し込む

緊急予備資金とは、不測の事態が生じた場合に、生活をしていく上で必要となるお金のことを言います。

たとえば、自然災害によって損害を受けた場合や新型コロナウィルスの影響によって、解雇や収入減などに陥った場合などに生活していくためのお金とイメージするとわかりやすいでしょう。

緊急予備資金は、目安金額がネットで公開されているものの、重要なのはその金額ではありません。

あくまでも、ご自身が不測の事態に置かれた時、住宅ローンの返済を継続しながら生活できる十分な緊急予備資金があるかどうかといった部分が重要なのです。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
緊急予備資金は、住宅ローンの返済も含め、少なくとも「1年以上」繋げるくらいの金額をあらかじめ準備しておきたいものです

頭金よりも緊急予備資金の確保を優先

住宅ローンの申し込みにあたり、頭金があることによって、住宅ローンの審査に通過しやすくなったり、返済金額を少なく抑えられることは確かです。

しかしながら、まとまったお金を頭金に充てて、緊急予備資金が全くないといった状況は確実に避けなければなりません。

そのため、仮に、緊急予備資金が全くないのであれば、頭金がない状態での住宅ローンを申し込みするか、緊急予備資金もしっかりと準備してから住宅ローンの申し込みをするように心がけましょう。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローンの返済は長期間に渡って続きます
低確率の大きなリスクを被った時の影響は多大!

将来のキャッシュフロー表を作成

無理のない住宅ローンの返済計画を立てるためには、十分な緊急予備資金の準備に加え、将来のキャッシュフロー表も作成しておきたいものです。

特に、緊急予備資金をさらに貯えるための資金計画をはじめ、住宅ローンの繰り上げ返済にかかる資金計画、子供の教育資金やご自身の老後資金の準備なども視野に入れた将来のキャッシュフロー表があると安心です。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
キャッシュフロー表は、無料で自分なりに作成可能!
合理性や確実性を求める場合は、独立系FPなどの専門家へ依頼することも検討しておきたいものです

【コロナから学ぶ】住宅ローンの返済が困難になった場合の対応策

新型コロナウィルスに限らず、大きな地震や台風といった自然災害などによって、時として予期せぬ大きな損害を被ってしまうことがあります。

仮に、このような不測の事態が発生した場合、多くの金融機関では、住宅ローンの返済を一時的に猶予してくれる場合があります。

一例として、フラット35で有名な住宅金融支援機構が行っている新型コロナウィルスの影響における対応策は、以下の通りです。

住宅ローンの返済期間を延長

出典 住宅金融支援機構 今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへより引用

新型コロナウィルスの影響によって収入が減少し、これによって住宅ローンの返済が困難になった場合、住宅ローンの返済期間を延長してくれる場合があります。

住宅ローンの返済金額を軽減

出典 住宅金融支援機構 今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへより引用

新型コロナウィルスの影響によって収入が減少し、これによって住宅ローンの返済が困難になった場合、一定の期間に渡って住宅ローンの返済金額を軽減してくれる場合があります。

住宅ローンのボーナス返済の見直し

出典 住宅金融支援機構 今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへより引用

新型コロナウィルスの影響によって収入が減少し、これによって住宅ローンの返済が困難になった場合、住宅ローンのボーナス返済を見直ししてくれる場合があります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
紹介した3つの対応策は「一時的な猶予」です
重要な注意点は、次で解説します

【コロナから学ぶ】住宅ローンの返済が困難になった場合の注意点

重要なポイントであるため、解説が重複しますが、新型コロナウィルスに限らず、大きな地震や台風といった不測の事態が発生した場合、多くの金融機関では、住宅ローンの返済を一時的に猶予してくれる場合があります。

ただし、この猶予制度を活用する際に、あらかじめ知っておかなければならない大切な注意点があります。

住宅ローンの返済を猶予してもらうための条件を満たしていなければならない

出典 住宅金融支援機構 今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへより引用

上記画像は、新型コロナウィルスの影響によって住宅金融支援機構が住宅ローンの返済を猶予する場合に定めている条件です。

この条件をすべて満たしていなければ住宅ローンの返済を猶予してもらうことができません。

住宅ローンの返済が必ず猶予されるわけではない

新型コロナウィルスをはじめとした不測の事態が起こったことによって住宅ローンの返済が困難になったとしても、必ず住宅ローンの返済が猶予されるとは限りません。

返済方法変更のご利用に当たっては、返済方法変更中及び変更期間終了後についてご返済の継続が可能であることを確認させていただきます。
審査の結果、お客さまのご希望に添えない場合もありますので、あらかじめご了承ください。

出典 住宅金融支援機構 今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへ ご注意より引用

住宅ローンの総返済金額が多くなる

住宅ローンの返済を一時的に猶予してもらった場合、結果として、住宅ローンの総返済金額が多くなってしまいます。

返済期間の延長につきましては、毎月の返済額が少なくなることにより毎回のご返済の負担は軽減されます。
しかしながら、返済期間を延長することにより利息負担額が増加し、その結果、総返済額は増加します。

出典 住宅金融支援機構 今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへ ご注意より引用

住宅ローンの返済計画やライフプランに大きな影響を与える

住宅ローンの返済を一時的に猶予してもらった場合、当初立てた住宅ローンの返済計画や将来のライフプランに大きな影響を与えます。

これらの注意点も考慮しますと、住宅ローンの返済計画を立てるだけでは足りず、不測の事態が起こったことも考えた住宅ローンの返済計画を立てることが重要な意味をご理解いただけるのではないでしょうか?

佐藤 元宣
佐藤 元宣
不測の事態も考慮した住宅ローンの返済計画を立てる重要性について、ご理解いただけたのではないでしょうか?

無理のない住宅ローンの返済計画を立てるためのアドバイス

ここでは、ちょっと下世話な話ではありますが、無理のない住宅ローンの返済計画を立てるためのアドバイスを紹介していきます。

あくまでも筆者個人の主観となるものも含まれますが、おそらく、無理のない住宅ローンを組むためのヒントになるものと思います。

予算オーバーや予算不足ならば、住宅ローンの返済計画と資金計画を練り直す

住宅ローンの申し込みを行う予定がある人は、理想の住宅をイメージし依頼をする不動産業者はすでに決まっていることと思います。

この時、仮に、不動産業者から提示された見積書の金額が、予算オーバーや予算不足である場合、住宅ローンの返済計画や資金計画を必ず練り直すことが重要です。

当然のことながら、無理に話を進めて住宅ローンを組んでしまいますと、長い期間に渡って苦しい住宅ローンの返済に負われることにつながります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
思い描いた理想の住宅を購入したい気持ちはよくわかります

ただ、住宅ローンの返済に負われる人生って何がおもしろいのでしょう?

無理な住宅ローンは、子供や自分たちの将来に悪影響を及ぼす可能性があることもしっかりと考えておきたいものです

住宅ローンの借入可能額はシミュレーションしない

住宅ローンのシミュレーターには、「返済金額をシミュレーションするもの」と「借入可能額をシミュレーションするもの」があります。

この時、仮に、ご自身で住宅ローンのシミュレーションを行う場合、住宅ローンの借入可能額をシミュレーションすることは避けるようにして下さい。

この理由は、すでに解説をしましたように、住宅ローンは無理のない返済金額で申し込む必要があるためです。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローンの借入可能額は、全くあてになりません
仮に、住宅ローンを借入できても返していけなければ、土地や建物は競売にかけられ住む場所を失います

私はいくら借りられるのか?は、NG

筆者の実務経験上、住宅購入や住宅ローンの相談に応じておりますと、「私は、いくら借りられますか?」といった質問をよく受けます。

何度も同じことを解説するのですが、仮に、限度額いっぱいで住宅ローンを借入することができても、完済まで継続して返済できなければ何も意味がないのです。

いくら借入できるのか?ではなく、いくらなら無理なく返済していけるのかを最低でも考えておかなければなりません。

スポンサーリンク

おわりに

本ページでは、新型コロナウィルスの影響から感じたこれからの住宅ローンの返済計画について、現役の独立系FPが思うことを綴らせていただきました。

住宅ローンの返済計画は、これまでのように、ただ立てれば良いといったものではなく、不測の事態が起こった場合でも返済計画が崩れることのないものであることが求められます。

住宅ローンの融資が決定し、最後に「判を押す」のは、ユーザーの皆さまです。

つまり、新型コロナウィルスの影響をはじめとした不測の事態が起こったとしても、完済まで借りたローンをしっかりと返済する意思決定を証していることを意味します。

この先、どのような不測の事態が起こるのか誰にもわかりません。

しかしながら、どのような不測の事態が起こったとしても、対応策や準備をあらかじめ考えて行っておくことは誰にでもできるはずです。

それをするのか、面倒だからしないのか、どっちの選択も個人の自由です。

筆者は、新型コロナウィルスの影響より、これからの住宅ローンの返済計画について、どのようにしたらお客様に対してもっと良いものをご提案できるのかを学びました。

これから住宅ローンを申し込みする人、すでに住宅ローンを組んでいる人は、新型コロナウィルスの影響で何を学びましたでしょうか?

いま一度、これからの在り方を考えてみたいものです。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
最後まで読み進めていただきありがとうございます

本ページが良かったと感じていただけた場合、「いいね」や「SNSで発信」いただけたら励みになります


スポンサーリンク
スポンサーリンク