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年末調整で配偶者と離婚や死別した人が適用できる所得控除とは?男女間による違いや条件・ポイントも合わせて解説
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本ページでは、年末調整で配偶者と離婚や死別した人が適用できる所得控除とはどのようなものがあるのかを紹介し、合わせて男女間による違いや適用条件およびポイントについて独立系ファイナンシャルプランナー(FP)が解説をしていきます。

はじめに、年末調整で配偶者と離婚や死別した人が適用できる所得控除として「寡婦控除」または「寡夫控除」があります。

ただし、寡婦控除と寡夫控除は、読んで字のごとく、女性が対象の「寡婦控除」と男性が対象の「寡夫控除」に分けられており、男女間で適用するための条件が異なっている特徴があります。

また、前述した特徴のみならず、配偶者と離婚や死別をした場合による取り扱いや子供を扶養をしているのかどうかなどによっても適用条件が異なります。

このようなことを踏まえまして本ページでは、年末調整で配偶者と離婚や死別した人が適用できる所得控除として、寡婦控除および寡夫控除についてポイントの解説を進めていきます。

女性が対象になる寡婦控除とは

寡婦控除とは、その年の12月31日の現況で、配偶者である夫と離婚や死別をした女性が一定の条件を満たした場合に適用することができる所得控除のことを言います。

寡婦控除の適用条件は、次項で解説を進めますが、前述した「その年の12月31日の現況」とは、たとえば、令和元年中に配偶者である夫と離婚や死別をした女性の場合、令和元年12月31日時点において別の男性と再婚をしていない状況であることを言います。

なお、年末調整で寡婦控除を適用することによって、納めるべき所得税や住民税が少なくなる効果が得られるため、仮に、ご自身があてはまる可能性がある場合、次項で解説する寡婦控除の適用条件を確認して適用忘れがないように心がけておきたいものです。

寡婦控除の適用条件とは

寡婦控除の適用条件について、国税庁のWEBサイトでは、以下のように解説しています。

納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる人です。

1.夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。

2.夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。

(注)「夫」とは、民法上の婚姻関係にある者をいいます。

まずは、上記解説の内、「1」または「2」にあてはまっていれば、寡婦控除の適用が受けられますが、重要なポイントとして、離婚または死別した夫は、民法上の婚姻関係にある人でなければなりません。

ざっくり説明しますと、婚姻届を市区町村の役所へ提出し、戸籍上で婚姻関係が分かる状態でなければならず、いわゆる事実婚の場合、寡婦控除の適用条件を満たしていない点に注意が必要です。

また、配偶者である夫と離婚または死別した後に再婚していない女性が「寡婦」にあたるため、離婚後や死別後に再婚をした場合は、そもそも寡婦控除の適用条件を満たしていない点にも要注意です。

なお、「夫の生死が明らかではない一定の人」とは、失踪をイメージするとわかりやすく、たとえば、何も言わずにどこかへ行ってしまって連絡が全く取れない夫をはじめ、地震、津波、台風、海や川の氾濫や土砂崩れによる自然災害などによって、行方不明になっている夫をイメージするとわかりやすいでしょう。

寡婦控除の適用条件をわかりやすくまとめます

前項の国税庁の解説ですと、何が何だかわからないといった声も多く聞こえてきそうですので、寡婦控除の適用条件をわかりやすくまとめます。

1.配偶者である夫と死別した女性で、合計所得金額が500万円以下の人(合計所得金額については、後述します)

2.配偶者である夫の生死が明らかではない女性で、合計所得金額が500万円以下の人

3.配偶者である夫と死別した女性で、扶養している親族や日常生活を共にしている子がいる人(扶養親族や子は低所得者または無収入である必要がある)

4.配偶者である夫と離婚した女性で、扶養している親族や日常生活を共にしている子がいる人(扶養親族や子は低所得者または無収入である必要がある)

上記「1」から「4」のいずれかに該当する女性の場合、寡婦控除の適用条件を満たしていると判定することができます。

ポイントは、配偶者である夫と「死別」した場合と「離婚」した場合では、適用条件の範囲が異なっており、離婚した女性の場合、扶養している親族や日常生活を共にしている子がいなければ寡婦控除の対象にならない点に注意が必要です。

合計所得金額が500万円以下とは、どのように調べればよいのか?

言葉は難しいですが、合計所得金額が500万円以下であるかどうかを調べるのは、とても簡単です。

まずは、ご自身が、年末調整で1年間の税金精算手続きを終えているのか、確定申告によって1年間の税金精算手続きを終えているのかを確認します。

仮に、年末調整で1年間の税金精算手続きを終えており、勤務先から源泉徴収票の交付を受けている場合は、源泉徴収票から確認します。

一方、確定申告を行い、確定申告書を税務署へ提出している人は、控えの確定申告書から確認します。

源泉徴収票で合計所得金額が500万円以下なのかを確認する方法

年末調整で1年間の税金精算手続きを終えている人は、一部の例外を除き、基本的に給与所得のみであることが考えられます。

そのため、上記図の赤枠箇所が合計所得金額にあたり、この金額が500万円以下であれば、寡婦控除の適用をするための所得にかかる条件を満たしていることになります。

確定申告書で合計所得金額が500万円以下なのかを確認する方法

確定申告で1年間の税金精算手続きを終えている人は、上記図にある赤枠箇所で合計所得金額が500万円以下であるかどうかを確認することで足ります。

寡婦控除には、「特別の寡婦」と呼ばれる種類の控除もある

実のところ、寡婦控除には、「特別の寡婦」と呼ばれる種類の控除もあり、具体的には、以下の条件をすべて満たしている女性は、特別の寡婦として、さらに所得税や住民税が少なくなります。

一般の寡婦に該当する人が次の要件の全てを満たすときは、特別の寡婦に該当します。

1.夫と死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人

2.扶養親族である子がいる人

3.合計所得金額が500万円以下であること

出典 国税庁 No.1170 寡婦控除 3 寡婦控除(特別の寡婦)の対象となる人の範囲より引用

大きなポイントは、「2」にある扶養親族である子供がいる場合にあたり、特別の寡婦に該当する可能性が極めて高いと考えられるとてもわかりやすいQ&Aが国税庁のWEBサイトにありましたので、引用して紹介しておきます。

Q2.私は給与所得者ですが、平成23年12月に夫と離婚して、現在、14歳と10歳の子供2人(いずれも所得なし)と3人で暮らしています。寡婦控除を受けることができますか。

 

A2.夫と離婚した後再婚をしていない人で、扶養親族又は総所得金額等が38万円以下の生計を一にする子(他の納税者の同一生計配偶者や扶養親族を除きます。)を有する場合には、寡婦控除の適用を受けることができます。年齢が16歳未満の扶養親族については、扶養控除の対象になりませんが、この扶養親族又は生計を一にする子の年齢に制限はありません。あなたの2人のお子さんは、あなたと生計を一にし、かつ、所得がないことから、離婚した夫が養育費等を継続して負担し、2人のお子さんと生計を一にしていると認められる場合において、2人のお子さんがいずれも夫の扶養親族に該当するときを除いて、あなたの扶養親族に該当するものと考えられます。よって、あなたは扶養控除の適用を受けることはできませんが、寡婦控除の適用を受けることができます。なお、この場合、あなたは、夫と離婚した後再婚しておらず、また、扶養親族である子を有していますので、合計所得金額が500万円以下であれば、特別の寡婦に該当しますので寡婦控除として35万円(合計所得金額が500万円超であれば27万円)を控除することができます。

出典 国税庁 No.1170 寡婦控除 年少扶養親族と寡婦控除との関係より引用

一般に、扶養親族である子は、扶養控除の対象になる子供をイメージしてしまいがちですが、寡婦控除の適用にあたっての扶養親族である子供には年齢制限が設けられていない部分が重要なポイントです。

そのため、大まかなイメージとなりますが、たとえば、配偶者である夫と死別や離婚をした後に小さな子供や学生である子供を引き取った再婚していない女性が、合計所得金額が500万円以下であれば、特別の寡婦として大きな税優遇が受けられることになります。

男性が対象になる寡夫控除とは

寡夫控除とは、その年の12月31日の現況で、配偶者である妻と離婚や死別をした男性が一定の条件を満たした場合に適用することができる所得控除のことを言います。

寡夫控除の適用条件は、次項で解説を進めますが、これまで解説した寡婦控除と異なり、男性の場合は、女性に比べて適用条件がかなり厳しくなっています。

なお、「その年の12月31日の現況」とは、たとえば、令和元年中に配偶者である妻と離婚や死別をした男性の場合、令和元年12月31日時点において別の女性と再婚をしていない状況であることを言い、前項で解説した寡婦控除と考え方は同じになります。

寡夫控除の適用条件とは

寡夫控除の適用条件は、以下で紹介する3つの条件をすべて満たしている必要があります。

寡夫とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。

1.合計所得金額が500万円以下であること。

2.妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。

3.生計を一にする子がいること。(この場合の子は、総所得金額等が38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます)

(注)「妻」とは、民法上の婚姻関係にある者をいいます。

出典 国税庁 No.1172 寡夫控除 2 寡夫控除の対象となる人の範囲より引用

女性の場合との大きな違いは、男性の場合、上記3つの条件をすべて満たしていなければならず、その中でも「生計を一にする子」がいなければ適用条件を満たさない部分が大きなポイントです。

生計を一にする子とは、日常生活を共にしている子供にあたり、たとえば、配偶者である妻と死別した男性に子供がいない場合、寡夫控除の適用条件を満たしていないことになります。

男性は、女性と異なり、配偶者である妻と「死別」したとしても、「離婚」したとしても、寡夫控除の適用条件が変わらない特徴があります。

寡婦控除・特別の寡婦・寡夫控除の違いまとめ

これまで解説した寡婦控除、特別の寡婦、寡夫控除の違いを表にまとめます。

なお、表の記載において、寡婦控除は、特別の寡婦と比較できるように一般の寡婦としても表記しておきます。

所得控除名称 寡婦控除(一般の寡婦) 寡婦控除(特別の寡婦) 寡夫控除
適用対象になる人 その年の12月31日の現況で寡婦である女性 その年の12月31日の現況で寡夫である男性
適用条件

以下、1から4のいずれかに該当する場合

1.配偶者である夫と死別した女性で、合計所得金額が500万円以下の人

2.配偶者である夫の生死が明らかではない女性で、合計所得金額が500万円以下の人

3.配偶者である夫と死別した女性で、扶養している親族や日常生活を共にしている子がいる人(扶養親族や子は低所得者または無収入である必要がある)

4.配偶者である夫と離婚した女性で、扶養している親族や日常生活を共にしている子がいる人(扶養親族や子は低所得者または無収入である必要がある)

一般の寡婦に該当する人が次の要件の全てを満たすときは、特別の寡婦に該当します。

1.夫と死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人

2.扶養親族である子がいる人

3.合計所得金額が500万円以下であること

以下、3つの条件をすべて満たしている場合

1.合計所得金額が500万円以下であること。

2.妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。

3.生計を一にする子がいること。(この場合の子は、総所得金額等が38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます)

所得控除額 27万円 35万円 27万円

寡婦控除および寡夫控除の適用をする上で押さえておきたいポイント

寡婦控除や寡夫控除は、年の途中で配偶者と死別や離婚をした場合において、適用条件を満たしていることで受けられる所得控除ですが、いずれも年末調整または確定申告をすることによって適用されます。

ただし、ご自身が寡婦または寡夫であり、年末調整や確定申告で寡婦控除または寡夫控除の申告をしなければ適用されることはありませんので、この点には細心の注意が必要です。

年末調整で寡婦控除または寡夫控除の適用を受けるための書類の書き方とは

年末調整で寡婦控除または寡夫控除の適用を受けるためには、年末調整の際、勤務先から渡される給与所得者の扶養控除等(異動)申告書にある上記赤枠箇所に必要事項を記入します。

寡婦、特別の寡婦、寡夫の内、あてはまるところに「レ点」を入れ、配偶者と死別や離婚をした年月日を赤枠箇所へ記入することで適用が受けられます。

12月に離婚した場合や年末調整後に離婚した場合の対応方法

12月に離婚した場合や年末に離婚した場合などで、すでに勤務先が行う年末調整が終わった後の場合、まずは、勤務先の担当者に連絡して再度年末調整を行う再年調ができないかどうかを確認します。

仮に、勤務先が再年調に応じることができる場合、前項で解説した書類の書き方の通りに対応することで、寡婦控除または寡夫控除の適用が受けられます。

なお、再年調に応じてもらえなかった場合は、翌年の2月16日から3月15日までの確定申告期間中に確定申告を行うことで、これらの適用を受けることも可能です。

少々、手間や時間がかかるものの、所得税の還付が受けられる可能性が高く、給料から天引きされている住民税の金額にも直接影響を与えることになるため、適用対象になる場合は、確定申告をされることが望ましいでしょう。

離婚調停中で年末調整に間に合わない場合

離婚調停中である場合、離婚をする結果となることは十分予測されるものの、正式な離婚に至っていないと考えることができます。

寡婦控除や寡夫控除は、その年の12月31日の現況で寡婦または寡夫であることが適用の対象でありますから、離婚が正式に確定してから確定申告を行う必要があると考えられます。

また、過去5年間に遡って還付申告をする「更正の請求」といった手続きもありますので、時期やタイミングの問題があるものの、いずれかの方法で納めるべき税金を少なくさせられることができるものと考えられます。

おわりに

年末調整で配偶者と離婚や死別した人が適用できる所得控除には、寡婦控除や寡夫控除があることがわかりました。

これらの所得控除は、年末調整または確定申告で適用をすることができますが、男女間による違いや適用条件、ポイントもご理解いただけたと思います。

私たちが生きていく上で、時として、大きなライフイベントが発生することによって生活環境が劇的に変わることもあり、配偶者との死別や離婚もその内の1つにあたります。

本ページでは、寡婦控除や寡夫控除について解説を進めましたが、1月1日から12月31日までの1年間を通じて大きなライフイベントが発生した時は、何かしらの所得控除が適用になる可能性が高くなります。

そのため、年末調整や確定申告で、税金の精算手続きを行う前に、特殊な事情がなかったかどうか、大きなライフイベントが発生しなかったか、などを再度振り返って、正しく、賢い税金の申告を心がけておきたいものです。


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