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アルバイトやパートをしている人の年末調整における注意点とは?掛け持ちや会社で年末調整しない場合なども合わせて解説

本ページでは、アルバイトやパートをしている人の年末調整における注意点について紹介し、アルバイトやパートを掛け持ちして働いている場合や勤めている会社で年末調整しない場合なども合わせて解説していきます。

はじめに、アルバイトやパートをしている人は、通常、勤務している会社が11月や12月など、年末が近くなると年末調整を行うことで1年間の税金の精算手続きを行います。

ただし、これは、翌年度も引き続いて雇用契約を結んでいる場合など一定の条件の下で行われるものであり、必ず勤務している会社などが年末調整をするものとは限りません。

また、アルバイトやパートを複数掛け持ちしている人もおられることを踏まえますと、あらかじめ知っておくべき注意点があることも確かです。

そこで本ページでは、アルバイトやパートをしている人の年末調整における注意点と掛け持ちや会社で年末調整しない場合などを中心に押さえておきたいポイントを解説していきます。

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アルバイトやパートをしている人で、年末調整の対象となる人とは

本ページの冒頭では、アルバイトやパートをしている人が、翌年度も引き続いて雇用契約を結んでいる場合など一定の条件の下で行われるものであり、必ず勤務している会社などが年末調整をするものとは限らないことをお伝えしました。

これは、アルバイトやパートをしている人には、「年末調整の対象となる人」と「年末調整の対象にならない人」がいると考えることもできるわけですが、以下、国税庁が公開しているWEBサイトの情報を基に、年末調整の対象となる人について解説します。

年末調整は、役員又は使用人に対する毎月の給与等から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額と、その人が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額との差額を精算するものです。
この年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を年末調整を行う日までに提出している一定の人です。
年末調整の対象となる人は、年末調整を12月に行う場合と、年の中途で行う場合とで違います。

出典 国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人より引用

上記、国税庁の解説を読みますと、年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を年末調整を行う日までに勤務先に対して提出している一定の人です。

つまり、会社員や公務員をはじめ、アルバイトやパートといった給与所得者の人で、勤務先に対して「給与所得者の扶養控除等申告書」を年末調整を行う日までに提出しているをしている人は、年末調整の対象となる人であることがわかります。

ただし、勤務先に対して「給与所得者の扶養控除等申告書」を年末調整を行う日までに提出している人であっても、「年末調整を12月に行う場合」と「年の中途で行う場合」があることから、いわば、「年末調整を行う時期」が異なる場合があり、この2つのケースについては、後程、解説を進めていきます。

給与所得者の扶養控除等申告書とは

アルバイトやパートをしている人にとって、「給与所得者の扶養控除等申告書」と解説されても、それって何?といった声が聞こえてきそうですので、以下、給与所得者の扶養控除等申告書とは、どのような書類なのか紹介しておきます。

出典 国税庁 [手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告 [申請書様式・記載要領]令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書より引用

上記書類を見た時、アルバイトやパートをして、年末調整をしたことがある人であれば、「何か見たことがある」ですとか、「ああ、この書類」と感じられる人もおられるのではないでしょうか?

一方、学生などで、初めてアルバイトやパートをした人や生涯で初めて年末調整を行う人であれば、「何がなんだか」といった気持ちになるのかもしれません。

いずれにしましても、給与所得者の扶養控除等申告書は、勤務先から年末調整の時期になりますと、書類が手渡され、必要事項を記入して提出するように言われるのが一般的ですので、わからない場合は、勤務先の総務や人事担当者をはじめ、職場の同僚や先輩に尋ねたり、給与所得者の扶養控除等申告書の裏面に記載されている書き方を参考に記入するとよいでしょう。

出典 国税庁 [手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告 [申請書様式・記載要領]令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例より引用

アルバイトやパートをしている人で、年末調整を12月に行う場合とは

年末調整は、「年末調整を12月に行う場合」と「年の中途で行う場合」があり、いわば、「年末調整を行う時期」が異なる場合があることをすでにお伝えしております。

ここでは、アルバイトやパートをしている人で、年末調整を12月に行う場合とは、どのような場合なのか、以下、国税庁の解説を引用して補足説明を加えていきます。

12月に行う年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人(青色事業専従者も含みます。)です。
ただし、次の二つのいずれかに当てはまる人は除かれます。

 

1.1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人

2.災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

出典 国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人 1 12月に行う年末調整の対象となる人より引用

アルバイトやパートをしている人で、年末調整を12月に行う場合とは、アルバイトやパートとして会社などに1年を通じて勤務している人や年の中途でアルバイトやパートとして就職し年末まで勤務している人です。

なお、ここで言う「1年」とは、1月1日から12月31日までの1年間となります。

また、「年の中途」とは、たとえば、令和元年8月1日からアルバイトまたはパートとして就職した場合、就職をした日である8月1日を指し、「年末」とは12月31日になります。

個人に対して課される所得税の法律上、課税期間(税金の計算期間)は、その年の1月1日から12月31日までの1年間となるため、年末というのは、課税期間の終わりにあたる12月31日となるわけです。

ちなみに、青色事業専従者とは、事業を行っている親族などの仕事を専ら手伝っている人のことを言い、ざっくりしたイメージとなりますが、たとえば、筆者のように事業を営んでいる人の仕事をサポートしている配偶者や子供などで、事業主(筆者)から給与が支払われている人のことです。

そのため、特殊な場合を除いて一般的に考えますと、アルバイトやパートをしている人で、年末調整を12月に行う場合とは、「アルバイトやパートとして会社などに1年を通じて勤務している人」や「年の中途でアルバイトやパートとして就職し年末まで勤務している人」のいずれかと覚えておくことで足りるでしょう。

アルバイトやパートをしている人で、年の中途で行う年末調整の対象になる場合とは

アルバイトやパートをしている人で、年の中途で行う年末調整の対象になる場合とは、以下、5つの項目の内、いずれかにあてはまる人になります。

1.海外支店等に転勤したことにより非居住者となった人

2.死亡によって退職した人

3.著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除きます。)

4.12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人

5.いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます。)

 

したがって、年の中途で退職した人で1~5以外の人は年末調整の対象となりません。

出典 国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人 2 年の中途で行う年末調整の対象となる人より引用

通常、アルバイトやパート待遇で、1のように海外支店等に転勤になることは考えにくいため、こちらは除外して考えて差し支えないでしょう。

2は、アルバイトやパートで働いている状態で、病気による死亡や業務中や通勤中の不慮の事故による死亡などが考えられます。

3は、アルバイトやパートで働いており、たとえば、勤務先での過重労働や人間関係などで精神的に大きな障害を抱えて退職をしたなどがイメージしやすいでしょう。

4は、アルバイトやパートでこれまで働いていたものの、12月の給与の支給をもって退職したなどがわかりやすいでしょう。

5は、年の途中で退職した場合と考えて差し支えなく、一般に、前の勤務先を退職した後は、年末調整が済んでいない源泉徴収票が、退職をした勤務先から交付されるため、それを受け取り、必要に応じて翌年、確定申告をするなどの手続きをご自身で行う必要があります。

実のところ、前述した「必要に応じて」といった部分がとても大切な注意点にもあたるため、こちらについて、次項で詳しく解説を進めていきます。

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アルバイトやパートをしている人の中で、会社で年末調整しない場合における注意点

前項のように、年の途中で勤務先を退職したことによって年末調整が済んでいない源泉徴収票の交付を受ける場合があるほか、アルバイトやパートをしている人で、本来ならば年末調整をする必要があるのにも関わらず、会社で年末調整をしない場合もあります。

本ページは、令和元年10月に作成しているものでありますが、同時期に、どこかの芸人が税金を無申告・未納しているような会社のように「だらしない会社」「事務手続きもまともにできない会社」「担当者が無知な会社」もあるわけであり、このような場合、まずもって、ご自身が、税金の申告に関するルールをしっかりと知っておくことが大切になります。

ちなみに、アルバイトやパートをしていた人が、年の途中で退職し、1月1日から12月31日までの1年間において、103万円以下の収入であった場合、年末調整が済んでいなかったとしても、わざわざ確定申告を行う必要はありません。

この理由は、アルバイトやパートの人で、仮に、1年間の収入が給与のみで103万円以下であった場合、所得税の計算において、納めるべき税金が発生しないためです。

ただし、これまで勤務していた会社の給料から所得税が源泉徴収(天引き)されていた場合、確定申告をすることによって、源泉徴収された所得税の還付が受けられます。

出典 freee株式会社 確定申告の基礎知識 税金の還付は受けられる?パート・アルバイトの確定申告についてより引用

たとえば、年の途中で退職し、その後、他の場所で勤務をすることなく、1年間の収入が上記の源泉徴収票の通りだったとします。

この時、源泉徴収票に記載されている支払金額884,000円が1年間の年収であり、103万円以下でありますから、仮に、確定申告をしなかったとしても税務署から連絡がくることはありません。

ただし、赤枠で記載されている源泉徴収税額10,420円があり、これは1年間で納めた所得税の金額を表しています。

つまり、源泉徴収票にある国税太郎さんは、本来納める必要がない所得税10,420円を国に対して余計に納めていることになります。

そのため、国税太郎さんが確定申告を行った場合、余計に納めすぎていた所得税10,420円の還付が受けられるといった仕組みになっているわけです。

重要なポイントは、アルバイトやパートの人で源泉徴収票にある支払金額が103万円以下で、かつ、源泉徴収税額の欄に金額が記載されているのであれば、確定申告をすることで還付が受けられるというところにあります。

なお、会社で年末調整をしない場合、当然のことながら源泉徴収票が交付されることはありませんが、このような場合、これまで支給を受けた給与の給与明細書をすべて集めて集計することで足ります。

この時のポイントは、総支給額をすべて合算した金額が、源泉徴収票における支払金額となります。(仮に、総支給額に非課税通勤費がある場合は差し引いて計算します)

また、給与から源泉徴収された所得税がある場合、それらも別に集計しておきます。

出典 スモビバ powered by 弥生 パート・アルバイトを雇った場合の税務 〜給与について〜より引用

たとえば、上記給与明細書より青色弥生さんが、4月からアルバイトまたはパートとして就職し、12月まで引き続いて勤務していたものの、勤務先が年末調整せずに源泉徴収票を交付しなかったとします。

この時、4月から12月までの給与明細書が、わかりやすく、すべて同じ内容であるとした場合、青色弥生さんの1年間の給与収入等は、以下のようにまとめられます。

年収(給与年収)=900,000円(基本給100,000円×9ヶ月) 非課税通勤費27,000円(3,000円×9ヶ月)は、年収に含めません

源泉所得税=6,480円(所得税720円×9ヶ月)

青色弥生さんは、給与収入が103万円以下であるため、本来ならば所得税を納める必要がなく、通常、会社が年末調整を行うことで、源泉徴収された6,480円の税金は還付されるはずでした。

しかしながら、会社が年末調整をしないことにより、青色弥生さんは、6,480円の所得税を国に多く納めていることになり、こちらも、青色弥生さんが確定申告を行うことで、6,480円の所得税の還付が受けられるといったイメージになります。

なお、本来ならば、確定申告時に源泉徴収票を添付する必要があるのですが、会社が源泉徴収票を交付しない場合、給与明細書の写しをすべて添付して確定申告をしても問題がありません。

掛け持ちでアルバイトやパートをしている人の年末調整における注意点

たとえば、2ヶ所以上の掛け持ちでアルバイトやパートをしている人の場合、複数の勤務先から給与の支給を受けることになります。

この時、重要な注意点として、年末調整を行った、行っていないといったことに関わらず、複数の勤務先から受けた給与をすべて合算して確定申告を行わなければなりません。

出典 freee株式会社 確定申告の基礎知識 税金の還付は受けられる?パート・アルバイトの確定申告についてより引用

たとえば、国税太郎さんがアルバイトまたはパートを2ヶ所、掛け持ちして、それぞれの勤務先で、上記の源泉徴収票と同じ給与の支給を受けたとしましょう。

この時、それぞれの勤務先で年末調整を行って税金の精算が終了するのではなく、1ヶ所目884,000円と2ヶ所目884,000円を合算した1,768,000円の給与収入として、確定申告を行わなければならないといった意味になります。

そのため、このようなルールを知らないで、そのままほったらかしにした場合、後から税務署よりお尋ね(連絡)が来ることにつながり、修正申告を行う必要があります。

また、無申告加算税などのペナルティの税金も本税のほかに納付しなければならないロスが生じてしまうことになるため、複数の勤務先でアルバイトやパートをしている人は、本当に注意が必要です。

なお、複数の勤務先での給与年収が、合算して103万円以下であれば所得税がかかることはありません。

おわりに

アルバイトやパートを1ヶ所で勤務し、かつ、会社が年末調整を行う場合、特別に大きな問題が発生することは極めて少ないと考えられます。

その一方で、複数の勤務先を掛け持ちしている場合や会社が年末調整を行わないなど特殊な事情がある場合、ご自身が所得税の申告ルールを知っておくことで、無駄な時間や手間を防ぐことができ、かつ、無駄な税金を納めることも少なくなると思われます。

なお、令和2年分以降より、基礎控除の金額が38万円から48万円に引き上げられる一方で、給与所得控除の金額が65万円から55万円へ10万円引き下げることが決まっておりますが、本ページの内容は、今後、アルバイトやパートの立場の人にとってみると、とても大切な内容になります。

消費税が増税され、家計状況が厳しいといった人も増加することが予測される中で、今後、1ヶ所のアルバイトやパートを複数掛け持ちしようと考えている方もおられるかもしれません。

この時、一生懸命、汗水流して働いたのにも関わらず、かえって税負担が重くなってしまうといった最悪な事態は避けたいものでありますから、このような予定がある場合、税理士や当事務所のような独立系ファイナンシャルプランナー(FP)へ尋ねて、新しい働き方をしっかりと模索しておくことが望ましいと言えそうです。


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