トップページ > 税金・年金・介護 > 追記 配偶者控除の引き上げと考えられる今後の懸念 平成29年度版
追記 配偶者控除の引き上げと考えられる今後の懸念 平成29年度版
税金・年金・介護

本記事は、平成28年12月9日に執筆させていただいておりますが、2018年(平成30年)1月から配偶者控除の年収上限が現行法上の「103万円」から「150万円」に引き上げられることが、政府・与党の「案」として決定しました。

なお、平成29年8月18日に秋田市役所内センタースで開催された、FPネットワークあきたの勉強会におきまして、税理士の先生が講師の下、平成28年度および平成29年度の税制改正について勉強してきた内容も踏まえまして、加筆および修正を施しております。

平成29年度の税制改正によって、配偶者控除は年収103万円以下で変わりありませんが、配偶者特別控除の範囲が103万円超から150万円以下まで広がったことによって、結果として年収150万円までは、配偶者控除と同じ38万円の所得控除が受けられるようになります

平成29年8月20日追記

これによって、平成30年からは、たとえばパートで働いている主婦の皆さんが1ヶ月の給料「125,000円(150万円÷12ヶ月)」まで稼いだとしても引き続き現在の配偶者控除と変わらない配偶者特別控除の適用が受けられることを意味します。

この点は、プラスの面である一方で「決して揚げ足を取るつもりはない」のですが、やはりその他の制度を幅広く知っておかなければ、結果としてマイナスの影響が大きくなってしまう懸念がどうしても考えられることから、本記事では「追記 配偶者控除の引き上げと考えられる懸念 平成29年度」と題しまして、平成29年8月現在の各種法令を加味して今後考えられる懸念を紹介していきたいと思います。

ぜひ本記事に最後まで目を通していただきまして一緒に考えていけたら幸いです。

平成30年からの配偶者控除の取り扱いについて

0a00eec432508504f2903827620fdd03_s

 

冒頭でも軽くご説明させていただきましたように、平成30年からは、1ヶ月の給料が125,000円以下であれば、年収が150万円以下となりますので、結果として、従来の配偶者控除と変わらない配偶者特別控除の適用が可能になります。

なお、本改正によって世帯主の年収が1,120万円を超える場合は、結果として増税になりますが、本記事におきましては世帯主の年収が1,120万円以下である想定で話を進めていきますので、該当しない方は当事務所も含め専門家である税理士や税務署へ問い合わせるようにしてください。

平成30年からの配偶者特別控除の取り扱いについて

59e371aa5bf06893a981693b2b35fae5_s

 

平成28年12月現在におきまして、仮にパートに出ている妻の給与年収が103万円を超えた場合であったとしても、「配偶者特別控除」といった所得控除があることによって税金の軽減措置が図られております。

そして、この配偶者特別控除の取り扱いも平成30年から変更されることになっており、詳細は以下のとおりです。

国税庁 平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについてより一部抜粋・引用

 

なお、収入が給与のみと推定して紹介しておりますので、1年を通じて他の収入がある場合やあった場合の配偶者特別控除の取り扱いは異なるため、該当する方はFPを含め専門家である税理士や税務署へ必ず確認するようにしてください。

平成30年以降は、私が住んでいる秋田県の多くの共働き世帯では配偶者控除だけに留まらず「配偶者特別控除」を適用できる可能性が極めて高くなると予測されますので、特に平成30年の年末は注意しておかなければなりません。

 

配偶者特別控除の範囲が引き上げられることによる今後の懸念

a6e7493fed777c2106d178344b1779e1_s

 

平成30年から配偶者特別控除の範囲が引き上げられることによる懸念についていくつかご紹介していきますが、あくまでも専門家FPとして筆者個人の主観も入り混じる一般論となりますのでご理解・ご了承をお願い致します。

そもそもいまよりも勤務時間を長くできるとは限らない

現在、配偶者控除の適用範囲内で調整して働いている世帯も多いことと思いますが、配偶者特別控除の範囲が広くなったことによってより多くの収入を得ても大丈夫であったとしても、勤務先の方でそもそも今よりも勤務時間を長くできるとは限らないことがあげられます。

人を雇うということは人手が不足しているからである一方で、パート・アルバイト・契約社員といった非正規労働者と呼ばれる人が増加しているのは、人件費の削減であることは十分予測することができます。

ここでいう人件費には、毎月の給与だけでなく従業員のための社会保険料も含まれているため、会社の経費削減をするためには、人件費をできる限り圧縮することで大きな効果が期待できる現状がどうしても生じます。

このように考えますと、現在働いてくれている人がいくらもっと働きたいと勤務先に言ったとしても、この人件費に大きな影響を与える懸念が生じてしまうことから、勤務先としては、そもそもいまよりも勤務時間を長くすることに対して了承するとは限らないことが考えられます。

結果として配偶者特別控除が引き上げられたところで恩恵が得られない可能性が生じます。

2ヶ所の掛け持ちがさらに厳しくなる可能性が高い

マイナンバー制度が導入されたことによって、個人の収入がより明確に把握できることになったことを踏まえますと、たとえば、勤務先に無断で副業をしていた場合といった、いわゆる「掛け持ち」がさらに厳しくなる可能性があります。

まず、考えられるのは「源泉徴収事務」になりますが、2ヶ所で働いている場合の毎月の源泉徴収事務の取り扱いは異なることから、特に副業として働いている会社の源泉徴収事務に税務署からお達しがくる可能性が否めないでしょう。

要するに、源泉徴収する税金をもっと多く徴収しなければならないでしょ!みたいなお話となり、結果的にいろいろな意味で会社も本人も不利益を被ることになる懸念があると思われます。

労働基準法の問題もさらに厳しくなる可能性が高くなるかも

労働基準法では、原則として「1日8時間を超えて働かせてはならない」といったことが定められているのですが、たとえば、2ヶ所で働いていた場合、この労働基準法の問題に抵触してしまう可能性が高くなり、さらに、時として割増賃金の問題が発生する可能性が高くなります。

ざっくりとした例でお示しすると、その日に2ヶ所の仕事がどちらもあったとし、1ヶ所目では5時間働き、2ヶ所目では4時間働いたとします。

このとき、労働時間を個別に判定するのではなく総合的に判断することになるため、この人は1日9時間働いたことになることから、1日8時間を超えて働いたことになり労働基準法違反といった問題のほか、この超えた1時間については最低でも25%増しの賃金、いわゆる割増賃金を支払わなければならないといった問題も併せて生じる可能性があると思われます。

らに、「1日って何時から何時まで?」といった問題や「割増賃金は誰が払うの?」といった問題も生じますが、あえてこちらの解説は、諸事情により差し控えさせていただきまして社会保険労務士や労働局、労働基準監督署などに尋ねてみることをおすすめ致します。

130万円の壁がどのようになるのか

平成29年8月現在において、いわゆる「130万円の壁」といった社会保険における扶養になる、ならないといった収入上限額が設けられており、この問題を解決しなければ、配偶者特別控除の上限を150万円に引き上げたとしても活かされる可能性が激的に低下すると思われます。

たとえば、1ヶ月125,000円稼いだとして年間で150万円を得た場合、たしかに平成30年からは、配偶者控除の対象となるものの、130万円の壁を見事に超えているため、共働きでどちらも社会保険に加入している人であれば関係がないものの、非正規労働者で社会保険に加入していない場合におきましては、扶養から外れてしまい、国民健康保険(税)や国民年金保険料の別途負担が求められてしまいます。

こちらも極めて重要な問題である一方で難しい問題でもありますので、当事務所を含め専門家である社会保険労務士や日本年金機構、加入している保険者に問い合わせることを強くおすすめ致します。

まとめ

b563878221021b7f461ea5b2d6dd7d4d_s

今回の税制改正によって、今後多くの世帯に影響が生じることが予測されますが、配偶者特別控除の引き上げといった点だけを見て考えるのではなく、さまざまな制度を総合的に勘案して考えることが大事であることがご理解できたと思います。

当事務所の業であるファイナンシャルプランニングもまったく同じで、1つの分野だけで解決することができる程、簡単ではなく、さまざまな分野を総合的に考慮して、お客様の疑問や悩みについて回答させていただくサービスをさせていただいております。

これからの世帯の働き方や家計に大きな影響を与える可能性があることは確かでありますから、本記事がきっかけで今後の家計やファイナンシャルプランニングについて考えていただく機会になっていただければと思っています。


スポンサーリンク
スポンサーリンク