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【令和4年度対応】雑損控除とは?自然災害や盗難などで損害を受けたときの節税対策をわかりやすく紹介
税金・年金・介護

本ページでは、自然災害や火災・盗難などで損害を受けたときに節税対策として使える雑損控除について紹介していきます。

なお、本ページは、令和4年度の税法に対応した内容になっています。

一昨日(令和4年6月21日)に、災害減免法にかかる所得税の軽減免除制度についてブログへ綴り公開しております。(ブログの内部リンクは、最後に案内します)

この災害減免法にかかる所得税の軽減免除制度と今回紹介する雑損控除は、関連性が極めて高いものです。

そのため、いずれの内容も合わせて読み進めていただくことが望ましいと思い、内容をわかりやすくまとめました。

今回は、あくまでも雑損控除で知っておきたい節税対策としてのポイントを紹介する内容ですので、あらかじめ留意いただければと思います。

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雑損控除をわかりやすくまとめます

はじめに、雑損控除のポイントをシンプルにわかりやすくまとめます。

1.雑損控除は、自然災害や盗難、横領、火災などによって、所有している資産に損害を受けなければ使えない

2.雑損控除で節税対策をするためには、所得税の確定申告をしなければならない

佐藤 元宣
佐藤 元宣
雑損控除は、上記2つの要件をいずれも満たしていなければ使うことができません。

雑損控除は、偶発的な事象によって損害を受けていなければ使えない特徴があります。

そのため、すべての人が毎年の節税対策として使えるものではありません。

しかしながら、予期せぬ損害を被ったときのために、あらかじめ知っておいて損はないといえるでしょう。

雑損控除の対象となる損害にはどのようなものがあるのか

雑損控除は、自然災害や盗難、横領、火災などによって、所有している資産に損害を受けなければ使えません。

ここでいう、損害の原因は、以下のいずれかの損害となります。

(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害

(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害

(3)害虫などの生物による異常な災害

(4)盗難

(5)横領

なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。

出典:国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 損害の原因より引用

自然災害や火災をはじめ、盗難や横領による損害は、雑損控除の対象となる損害です。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
「フィッシング詐欺」や「オレオレ詐欺」といった詐欺による損害や恐喝による損害は対象外のため要注意です。

【雑損控除を受けるための要件】雑損控除の対象となる人と所有資産について

雑損控除の適用を受けるためには、対象となる人や所有資産に要件が設けられています。

それぞれの要件は、次項の通りです。

雑損控除の対象となる人

雑損控除の対象となる人は、以下のいずれかに該当する人です。

・納税者

・納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)の人

出典:国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 対象者または対象物より引用

納税者は、「本人」と置き換えるとわかりやすいです。

生計を一にするとは、日常生活を共にしているということです。

つまり、本人と日常生活をしている配偶者や子ども、両親などの親族で扶養の範囲内になっている人と考えるとわかりやすいでしょう。

これらの人の所有資産に損害を受けた場合、雑損控除の対象となる人の要件を満たしていることになります。

雑損控除の対象となる所有資産

雑損控除の対象となる所有資産は、以下の通りです。

棚卸資産もしくは事業用固定資産等または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。

(注)「生活に通常必要でない資産」とは、例えば、別荘など趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます。)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個または1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産をいいます。

出典:国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 対象者または対象物より引用

国税庁の解説をわかりやすくまとめますと、「日常生活に必要な資産」が雑損控除の対象となる所有資産です。

たとえば、住宅や日常生活に欠かすことができない自動車といった固定資産、現金をはじめとした金融資産をイメージするとわかりやすいでしょう。

なお、上記解説にもありますように、別荘、貴金属、書画、骨董などの資産にかかる損害は、雑損控除の対象外です。(これらが無くても日常生活に支障が生じないですよね?)

【住宅ローンが残っている人】住宅が災害によって住めなくなった場合の住宅ローン控除の取り扱い

ファイナンシャルプランニングを考えたとき、住宅ローンが残っている状態で災害を被り、住宅に住めなくなってしまうことも考えられます。

このとき、住宅ローン控除の取り扱いはどのようになるのか?気になる人もおられると思います。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
国税庁の解説を基にポイントを簡単に紹介します。

【照会要旨】

住宅借入金等特別控除の適用を受けていた家屋(以下「従前家屋」といいます。)が災害により居住できなくなった場合には、この控除を受ける年の12月31日まで住んでいなかったことから、その年分以降は住宅借入金等特別控除の適用は受けられませんか。

【回答要旨】

平成28年1月1日以後に、従前家屋が災害により居住の用に供することができなくなった場合において、その従前家屋を居住の用に供した日以後10年間(又は15年間)の各年について、その従前家屋に係る住宅借入金等の金額を有するときは、平成29年分以後に住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

出典:国税庁 家屋が災害により居住できなくなった場合より引用

国税庁の解説より、災害によって住宅に住めなくなった場合でも、住宅ローン控除は引き続き受けられることがわかります。

ちなみに、住宅ローン控除を受けるためには、住宅ローン控除を受ける年の12月31日まで「引き続き」住んでいることが必要です。

ただし、災害によって住宅に住めなくなった場合、12月31日までその住宅に住んでいなかったとしても、住んでいるものとみなされます。

従前家屋が災害により居住の用に供することができなくなった日の属する年以後の各年は、それぞれの年の12月31日まで引き続き居住の用に供しているとみなされますので、その各年において、その従前家屋に係る住宅借入金等の金額を有するときは、平成29年分以後の所得税について住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

出典:国税庁 家屋が災害により居住できなくなった場合 回答要旨より引用

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローン控除を受けている人は、要件を満たすことで住宅ローン控除と雑損控除のどちらも受けられることになります。

雑損控除を適用するための手続きについて

雑損控除を適用するためには、所得税の確定申告をする必要があります。

加えて、損害を受けたことを証する書類も確定申告書へ合わせて添付する必要がある点に注意です。

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示してください。

出典:国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 申告等の方法より引用

雑損控除と災害減免法の関係と節税対策について

最後に、冒頭でもお伝えしましたように、今回紹介した雑損控除と災害減免法にかかる所得税の軽減免除制度は、関連性が極めて高いものです。

(注)雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は、災害減免法による所得税の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選べます。

出典:国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 申告等の方法より引用

国税庁の注意喚起を読みますと、雑損控除と災害減免法にかかる所得税の軽減免除制度をいずれも活用できる場合、どちらか得策になる方を選んで活用してもよいことを解説しています。

つまり、節税対策を検討する際、雑損控除と災害減免法にかかる所得税の軽減免除制度のどちらが得策なのか比較検討する必要があります。

ちなみに、雑損控除を適用した場合、翌年以後3年間に渡って繰越控除をすることができる特徴もあります。

なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。)。

出典:国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 申告等の方法より引用

つまり、短期的にどちらが節税効果が高いのか?といったことにとどまらず、少なくとも3年経過を考慮したときどちらが節税効果が高い対策といえるのか?まで、詳細に比較検討することが望ましいといえます。

これらの比較検討には、専門的な知識と専門的な計算をすることがどうしても必要になります。

そのため、確実な節税対策という意味では、やはり税理士をはじめとした専門家へ相談することが望ましいでしょう。

以下、当事務所で公開している災害減免法にかかる所得税の軽減免除制度についてのブログ(内部リンク)です。

本記事では紹介しなかった「合理的な損害額の計算」も合わせて記載しておりますので、合わせて読み進めていただくことをおすすめします。

関連記事:佐藤元宣FP事務所 自然災害やその他の災害を受けたときの所得税の取り扱いについて

 


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