令和4年6月17日、国税庁のWEBサイトに掲載されている「質疑応答事例」を流し読みしていました。
さまざまな内容を読み進めていくなかで、ふと、住宅ローン控除と住宅ローンの繰り上げ返済にかかる関係性について、さらっとブログへ綴ってみようと思いました。
そこで、今回の1500文字くらいのFPブログでは、国税庁のWEBサイトに掲載されている質疑応答事例を引用しながらポイントをさらっと紹介していきます。
目次
住宅ローンを繰り上げ返済した場合における住宅ローン控除の取り扱い
はじめに、住宅ローンを繰り上げ返済した場合における住宅ローン控除の取り扱い(結論=答え)は、以下の通りです。
住宅ローンを繰り上げ返済した後、残っている住宅ローン債務を引き続き「10年以上」に渡って返済することになる場合、住宅ローン控除をこれまで通り受けることができる
ちなみに、国税庁が公開している「質疑応答事例」は、以下の通り。(「償還=返済」に置き換えて読み進めるとイメージしやすい)
【照会要旨】
来年以後に支払うこととなっていた数年分の割賦償還金を繰り上げて本年支払いました。その結果、償還期間が短くなりましたが、これまでと同様に住宅借入金等特別控除の適用を受けることができますか。
【回答要旨】
繰り上げて支払ったことにより償還期間が短くなったとしても、当初の契約により定められていた最初に償還した月から、その短くなった償還期間の最終の償還月までの期間が10年以上であれば、本年以後も住宅借入金等特別控除を受けることができます。
出典:国税庁 繰上返済等をした場合の償還期間より一部引用
住宅ローンの繰り上げ返済金額は住宅ローン控除と無関係
住宅ローンの繰り上げ返済を行った後、住宅ローン控除の適用を引き続き受けるには、ローン完済までに「10年以上」かかることが要件です。
したがって、実際に行った住宅ローンの繰り上げ返済金額がいくらだったのか?が問われることはありません。
あくまでも、繰り上げ返済後に、完済までの期間がどのくらいなのか?がポイントになるわけです。
住宅ローンの繰り上げ返済後に完済までの期間が「10年未満」の取り扱い
住宅ローン控除の適用を受けている人が、住宅ローンの繰り上げ返済を行った結果、完済までの期間が「10年未満」だった場合を紹介しておきます。
まず、結論から申し上げて、このような場合、以後、住宅ローン控除の適用を受けることはできません。
繰上返済等をした場合の償還期間については、繰上返済等の後の償還期間で判定することとしており、繰り上げて返済したことによって、「償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済することとされているもの」に該当しなくなった場合には、その該当しなくなった年以後については住宅借入金等特別控除を受けることはできないこととされています(租税特別措置法関係通達41-19)。
出典:国税庁 繰上返済等をした場合の償還期間より一部引用
仮に、住宅ローン控除の適用を受けている期間中に住宅ローンを繰り上げ返済する場合は、要注意といえます。
独立系FPだからこそ感じている注意点
住宅ローンの繰り上げ返済をすることによって、支払利息を軽減できる効果が得られます。
これは柔軟に考えますと、完済までの返済元金と支払利息の合計にあたる「総返済金額」を少なくできる効果が得られるともいえます。
ただし、住宅ローンの繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があり、どちらの方法を選ぶのか?によって、その効果は大きく変わります。
なお、こちらは余談となりますが、過去に公開している以下記事に「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違いを紹介したものがあります。
効果の違いや内容を知りたい方は合わせて読み進めてみてもよいでしょう。
また、私個人としては、以下のようなことも気になります。
・住宅ローンの繰り上げ返済を行うことによって、住宅ローン控除の節税効果が今後どのように変化するのか?
・繰り上げ返済後のお金の流れ(キャッシュフロー)はどのように変化するのか?
・そもそも、住宅ローンの繰り上げ返済をすることで、今後どのようになれることを求めているのか?結果として得策なのか?
今回は、住宅ローン控除と住宅ローンにかかる繰り上げ返済の関係性についてさらっとブログへ綴りました。
住宅ローン控除の適用があるにしてもないにしても、住宅ローンの繰り上げ返済を行う前は、事前対策をしっかりと行っておきたいものですね。