本ページでは、老後資金対策にiDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめできる理由を紹介します。
なお、本ページは、2019年9月28日に初めて公開したものを2022年8月10日に大幅に加筆・修正しており、令和4年度の法改正に準じています。
はじめに、将来の老後資金に何かしらの不安を抱えている人は多いと思います。
これには、老後生活に欠かせない年金が少ない心配や退職金が十分ではないなど、人によって不安を抱える理由はさまざまです。
そこで本ページでは、老後資金に対する不安を解消するための方法として、iDeCoがおすすめできる理由をわかりやすく紹介していきます。
目次
【まずは結論】老後資金対策にiDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめできる理由
老後資金対策にiDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめできる理由は、節税をしながら長い時間をかけてまとまった老後資金を準備できるからです。
この理由に加え、自分が無理なくお金を支出できる範囲内で老後資金を準備できる点もiDeCoがおすすめできる理由といえます。
【簡単な概要】iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)について、厚生労働省では以下のように解説しています。
iDeCoとは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の一つです。公的年金と異なり、加入は任意となります。
加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用の全てをご自身で行い、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。
出典:厚生労働省 iDeCoの概要 1.iDeCo(個人型確定拠出年金)とはより引用
上記、厚生労働省の解説を簡単にまとめます。
・iDeCoは、自分の老後資金を自分で準備するための年金制度
・iDeCoの加入は、強制加入の国民年金とは異なり任意加入(加入しても加入しなくてもよい)
・iDeCoの加入申し込みから支出するお金(積立金)の運用は、すべて自分で行う
・iDeCoで支出した掛金(積立金)と運用で得た運用益は、将来の老後資金として合わせて受け取ることができる
なお、iDeCoで積立したお金を受け取るイメージは、以下の通りです。
出典:iDeCo公式サイト iDeCoってなに?iDeCo(イデコ)の概要より引用
上記画像では、60歳からiDeCoで積立したお金(掛金)と運用益を受け取っていることがわかります。
なお、iDeCoで積立したお金と運用益は、早くて60歳から受け取ることができ、75歳になるまでの間に自分で選んで受け取ることができます。
【3つの節税メリット】iDeCoで得られる節税の仕組み
iDeCoは、節税をしながら長い時間をかけてまとまった老後資金を準備できる年金制度です。
ここだけを見ますと、どのような節税メリットが得られるのか?気になる人も多いと思います。
そこで以下、3つの節税メリットについて、個別に紹介していきます。
【1つ目の節税メリット】iDeCoの年間掛金が全額所得控除の対象になる
iDeCoの1つ目の節税メリットは、年間掛金が全額所得控除の対象になるところにあります。
ちなみに、iDeCo公式サイトでは、このメリットについて以下のように解説しています。
掛金全額が所得控除の対象となり、仮に毎月の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2.4万円、税金が軽減されます。
出典:iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)のイイコト 1.掛金が全額所得控除!より引用
上記解説を見ますと、よく意味がわからないと感じる人も多いはずです。
また、自分はどのくらいの節税効果が得られるのか?概算ではなく、もっと正確に知りたいと感じる人もいるでしょう。
このように感じた人は、以下、当事務所が公開している関連記事を合わせて読み進めていただくことを強くおすすめします。
【2つ目の節税メリット】積立期間中の運用益に税金がかからない
iDeCoの2つ目の節税メリットは、積立期間中の運用益に税金がかからないところにあります。
出典:iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)のイイコト iDeCo(イデコ)の3つの税制メリットより引用
上記画像を見ますと、定期預金の受取利息(オレンジ部分)や一般の投資信託の運用益(オレンジ部分)には、税金がかかることを確認できます。
この税金は、受取利息や運用益に対して20.315%の税率を掛けた金額です。
しかし、iDeCoで運用した利益には、この税金がかかりません。
つまり、税負担のロスを避けられ、運用益が目減りしない節税メリットを得られます。
【3つ目の節税メリット】iDeCoのお金を受け取ったときの税金計算が得になることも
iDeCoの3つ目の節税メリットは、iDeCoのお金を受け取ったときの税金計算が得になることもあります。
ちなみに、iDeCo公式サイトでは、このメリットについて以下のように解説しています。
「iDeCo」は年金か一時金で、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。 年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
出典:iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)のイイコト 3.受け取る時も大きな控除!より引用
iDeCoで積立したお金と運用益は、60歳以降に分割(年金)で受け取ることも、まとめて(一時金)受け取ることもできます。
また、年金と一時金を併用してお金を受け取ることもでき、自分の老後生活に合わせて自由に選択できる特長があります。
このとき、iDeCoで受け取ったお金は、所得税や住民税の課税対象となり、具体的には、以下のように分類されます。
・年金(分割)で受け取った場合:雑所得(公的年金扱い)
・一時金(まとめて)受け取った場合:退職所得(退職金扱い)
iDeCo公式サイトでは、公的年金等控除や退職所得控除が受けられることを節税メリットであると解説しています。
しかし、iDeCoのお金を受け取った年齢や金額をはじめ、その人がほかに収入がなかったかどうか?などによっては、所得税や住民税の課税負担が生じてしまう可能性があります。
一例として、当事務所では、この懸念事項を紹介した関連記事を公開しています。
【いくらになるの?】iDeCoで老後資金対策をした場合の金額
ここまでの内容で、iDeCoで節税をしながら老後資金対策ができることがわかりました。
とはいえ、実際にiDeCoを始めるとどのくらいのお金を準備できるのか?気になる人も多いはずです。
そこで、ここでは、iDeCoの最低掛金5,000円を30年間に渡って積立した場合の「控えめな」シミュレーション結果を紹介します。
参考:金融庁 資産運用シミュレーションより当事務所でシミュレーション
以下、シミュレーション結果を簡単にまとめます。
1.積立元金:180万円(5,000円×12ヶ月×30年)
2.概算運用益:約111万円(1,113,684円)
3.概算資産形成金額(1+2):約291万円(30年後に受け取る金額:2,913,684円)
iDeCoを使わない場合、「2」にある約111万円の概算運用益に対して20.315%の税金がかかります。
金額が大きくなりますと、先に紹介した税負担のロスを避けられ、運用益が目減りしない節税メリットは効果が大きいことを理解できると思います。
なお、このシミュレーションは、iDeCoの最低掛金5,000円を30年間に渡って積立した場合の「控えめな」シミュレーション結果です。
つまり、掛金が多くなればなるほど、節税効果や将来の老後資金を多く準備できることになります。
ご自身の公的年金がいくらになるのか?を試算し、自分が求めている老後資金を準備するためにはいくら積立したらよいのか?シミュレーションして対策をすることが大切です。
自分の公的年金が将来いくらもらえるのか?は、上記関連記事で確認することができます。
【ここは意識してほしい!】iDeCoで老後資金対策を成功させるためのポイント
ここまでの紹介で、老後資金対策にiDeCoを始めてみようかな?と感じた人もおられると思います。
iDeCoを始めるには、金融機関を通じてiDeCoの申し込みをする必要があります。
ただし、どの金融機関でも良いといったわけではありません。
そこで、以下、iDeCoで老後資金対策を成功させるために意識しておくべきポイントを簡単に紹介します。
1.iDeCoで運用できる商品ラインナップが豊富な金融機関を選ぶ
2.iDeCoで運用する際に生じる手数料が安い金融機関を選ぶ
3.iDeCoで運用し始めた当初は、投資信託で資産運用をする
4.50代後半など、iDeCoの運用が終わりに近づいたらスイッチング(投資信託から預金・保険への切替)してこれまでの利益を確保する
インターネット証券会社は、iDeCoの商品ラインナップが豊富で手数料が安いところが多い特徴があります。
ちなみに、iDeCoの手数料を意識することは本当に大切で、長い期間に渡って無駄なお金を支出してしまう大きな原因にもなります。
また、iDeCoは、長い時間をかけて積立する資産運用ですから、投資信託を積立投資することによって、大きな資産形成をしやすくなるメリットがあります。
そのため、iDeCoを始めた当初から預金や保険といった元本確保型の商品を使った運用は、将来の資産を大きくするためのチャンスを逃すきっかけになります。
そして、iDeCoの運用が終わりに近づいたら、投資信託で得た大きな利益を確定させ、利益ができる限り減らないようにキープするわけです。
【iDeCoに加入できるか確認】iDeCoに申し込みすることができない人
iDeCoは、ほとんどの人が申し込みできる特徴があります。
ただし、以下にあてはまる人は、残念ながらiDeCoへ申し込みすることはできないため注意が必要です。
・年齢が20歳未満の人
・年齢が60歳以上の人(法改正あり。後述します)
・国民年金の第1号被保険者の人で、国民年金の未納や免除の年金履歴がある人
・農業者年金に加入している人
・海外に住んでいる人(法改正あり。後述します)
・勤務先の企業型確定拠出年金に加入し、規約によってiDeCoの加入を認めていない場合(法改正あり。後述します)
特に、20歳以上60歳未満の自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者の人で国民年金の未納や免除の年金履歴がある人は注意が必要です。
【2022年法改正】iDeCoの改正ポイントを簡単に紹介
2022年(令和4年度)より、法改正によってiDeCoの制度が変わります。
すでに改正されている内容も含めて簡単に紹介します。
iDeCoの受給開始時期が拡大
iDeCoの老齢給付金の受給開始時期を60歳(加入者資格喪失 後)から75歳までの間で、自分で選択することができるようになりました。
iDeCoに加入できる人が拡大
これまでiDeCoに加入することができなかった以下の人が、iDeCoへ加入することができるようになりました。
・会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満※の方
(※公的年金の加入期間が120月に満たない等、国民年金第2号被保険者であれば65歳以上も加入可能)
・国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の方
・国民年金に任意加入している海外居住の方
出典:iDeCo公式サイト 2022年の制度改正の概要 改正の概要 <2022年5月1日から>より引用
企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者もiDeCoの加入が可能に(2022年10月1日より)
企業型年金規約によって、これまでiDeCoに加入できなかった企業型確定拠出年金の加入者もiDeCoへ加入できるようになります。
【おわりに】iDeCoを使った老後資金対策とファイナンシャルプランニングを考える
老後資金対策にiDeCoがおすすめできる理由を紹介しました。
毎年節税しながら老後のお金を準備できる特長があるiDeCoだからこそ、多くの人にとって魅力のある制度といえます。
iDeCoは、長い時間をかけて少しずつ積立することで、まとまった大きなお金を準備することができます。
だからこそ、できる限り早い内から老後資金対策として始めることが望ましいことは確かです。
また、iDeCoは、資産運用する金融商品が「預金・保険・投資信託」のいずれかから選んで運用します。
株式投資やFX、暗号資産(仮想通貨)と異なり、専門的な知識が必要であったり、お金を一度に失ってしまうリスクもありません。
つまり、老後資金対策をしたいと考えている投資初心者であっても取り組みやすいわけです。
毎月、継続して積立をすることで、時間がお金を成長させてくれるわけですから、老後資金が心配な人には、ぜひ取り組んでいただきたいものと思います。
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