トップページ > 貯蓄計画・返済計画 > 【独立系FP解説】投資信託を現金化する方法とは?投資信託は換金したい金額を入力して現金化できません
【独立系FP解説】投資信託を現金化する方法とは?投資信託は換金したい金額を入力して現金化できません

本ページでは、投資信託を現金化する方法について、主に投資信託を積立投資で資産運用している人を対象にポイントを紹介しています。

はじめに、投資信託を活用した資産運用で大切なことの1つに、資産運用を終えた後の投資信託を現金に換金する終わり方をしっかりと知っておくことがあげられます。

実のところ、投資信託は、預金の引き出しのように、現金に変えたい希望の金額を入力して現金化するのではなく、これまで買い付けして保有している投資信託の単位(口数)を入力して現金化します。

そのため、希望の金額を現金に換金するためには、いくらの口数を換金する必要があるのかを知らなくてはなりません。

そこで本記事では、投資信託で資産運用をしている方を対象に、投資信託を現金化する方法から換金後の税金の取り扱いまでポイントを紹介していきます。

スポンサーリンク

投資信託を現金化する方法

投資信託を現金化するためには、現金化したい金額(希望金額)投資信託の基準価額の2つがわかれば、どのくらいの保有口数を売却(解約)すれば良いかがわかります。

以下、具体的な計算例をあげて紹介します。

投資信託を換金するための計算式

(現金化したい金額(希望金額)÷基準価額)×10,000

たとえば、保有している投資信託の内、3,000,000円(300万円)を現金に換金するものとし、現在保有している投資信託の基準価額が1万口あたり15,000円だった場合に必要な解約口数は以下のように計算できます。

(3,000,000÷15,000)×10,000=2,000,000口(200万口)

保有している投資信託の内、2,000,000口(200万口)の解約手続きをすれば、3,000,000円(300万円)を現金に換金できることになります。

投資信託を解約する口数の計算はとても簡単ですが、合わせて注意しておかなければならない点もあるため、そちらも紹介しておきます。

投資信託を換金する際の基準価額は確定した基準価額ではない

実のところ、投資信託の売却(解約)手続きを行って、実際に現金化されるまでには、少なくとも換金の申し込みから4営業日目以降に支払われる特徴があります。

そのため、前項で紹介した計算例では、1万口あたりの基準価額が15,000円でしたが、換金されるまでの時間差が生じることになります。

これによって、実際に現金化された金額が多少なりとも変化することになる点が大きな注意点です。

つまり、保有している投資信託の解約注文を出す時点(先の例でいう基準価額15,000円)が解約時の基準価額になるわけではなく、実際に解約する時の基準価額はわからないため、計算で出した口数は、希望の換金額を得るための概算口数であることに注意が必要です。

したがって、希望金額をより確実に現金化したいのであれば、保有口数を少し多めに解約しておくことが望ましいといえます。

投資信託で得た利益に対して税金がかかる時期

投資信託で得た利益には、原則として20.315%の税率を乗じた金額を税金として納めなければならないルールになっています。

内訳は、所得税および復興特別所得税を合わせて15.315%、住民税が5%です。

ここで問題となるのが、投資信託で得た利益に対して税金がかかる時期です。

この「税金がかかる時期」というのは、その年の12月31日時点で確定した利益に対して税金がかかります。

確定した利益って何?

確定した利益とは、すでに解説しましたように、投資信託を解約(売却)して差益が生じた場合の利益です。

たとえば、投資信託で毎月20,000円ずつ積立投資したものとし、10年後に280万円を現金化して投資信託を解約(売却)したとします。

このとき、投資元金と利益の内訳は以下のように計算できます。

・投資元金:20,000円×12ヶ月×10年=240万円

・現金化した金額:280万円

・確定した利益:40万円(280万円-240万円)

この結果、40万円に対して20.315%の税率を乗じた税金(81,260円)が徴収されることになります。

ポイントは、確定した利益に対して税金がかかるところです。

そのため、現金化しないで生じている含み益(売却した場合に得られる利益)に対して、税金がかかることはありません。

つまり、保有している投資信託を解約(売却)して現金化しなければ、税金がかかることはないということです。

ただし、実務上、投資信託をどの口座で資産運用をしたのかによって、税金がかかる、税金がかからないといった違いもあります。

そのため、まずは、投資信託を資産運用する際に利用できる口座には、どのような口座(種類)があるのか、特徴を知っておくことが大切です。

投資信託を資産運用する際に利用される口座の種類

投資信託を資産運用する際に利用される口座の種類は、以下の通りです。

・一般口座

・特定口座(源泉徴収あり)

・特定口座(源泉徴収なし)

・NISA口座(NISAおよびつみたてNISAの兼用)

上記4つの口座の内、投資信託で得た利益に対して税金がかかる口座は、一般口座と特定口座(源泉徴収あり・源泉徴収なし)の口座です。

NISA口座で投資信託を資産運用した場合で得た利益に対しては、税金がかからず、かつ、いくらの利益が出たとしても確定申告をする必要もありません。

言うまでもなく、投資信託を長期に渡って積立投資をするのであれば、一般口座や特定口座ではなく、NISA口座で資産運用を行い、NISAではなく、つみたてNISAを活用するのが望ましいことをご理解いただけると思います。

投資信託で資産運用する際に利用される4つの口座の特徴まとめ

口座の種類

一般口座

特定口座

源泉徴収あり

特定口座

源泉徴収なし

NISA口座

税金の有無

確定利益に対して税金がかかる

非課税

確定申告の要否

原則としてあり

なし

原則としてあり

なし

損益通算

できる

できない

年間取引

自分で計算

金融機関がまとめて集計

上記は、投資信託で資産運用する際に利用される4つの口座の特徴をざっくりまとめたものになります。

NISA口座で資産運用をするのが得策であることは一目瞭然ですが、NISA口座を開設するためには、一般口座または特定口座のいずれかを開設しなければなりません。

そのため、一般口座と特定口座のどちらを開設するのが良いのか気になると思いますが、年間取引の集計も踏まえると特定口座を開設するべきです。

では、特定口座の源泉徴収ありとなしではどちらを選べば良いのか?といった話になってくると思います。

一般には、会社員や公務員など、確定申告を普段行わない方は、源泉徴収あり、自営業者やフリーランスなどは、源泉徴収なしを選ぶ方が多くなっているようです。

ただし、当事務所と致しましては、口座を開設される1人ひとりが、これからどのように資産運用をする予定なのかによって口座の選び方のアドバイスが異なると考えているため、一概にはっきりと申し上げるのは難しいと思っています。

そのため、上記の情報は、口座開設の参考としてお役立ていただければと考えています。

よく見聞きする「損益通算」って何?

損益通算とは、利益と損失をプラスマイナスして相殺することをいいます。

たとえば、特定口座で得た利益が1年間で10万円、NISA口座では15万円の損失があったとします。

この時、損益通算というのは、10万円と15万円をプラスマイナスして相殺するため、実質的な利益は0円(10万円-15万円=▲5万円(マイナスは0円)となるのですが、NISA口座で生じた損失は損益通算することができません。

つまり、上記例の場合は、特定口座の利益が10万円、NISA口座の損失は0円(損失の場合は0円とする)になるため、10万円の利益に対して税金がかかる点に注意が必要です。

なお、同じ特定口座内で損益通算することは可能ですので、たとえば、特定口座で資産運用をしたAファンドで得た利益が1年間で10万円、Bファンドで生じた損失が1年間で10万円だった場合、これらを損益通算して0円とすることはできます。

ポイントは、NISA口座で損失が発生した場合、当初から損失がなかったものとみなされて0円になるといったところにあります。

NISA口座で投資信託を買い付けする際の注意点

NISAやつみたてNISAで資産運用を行うためには、NISA口座を開設しなければなりませんが、その際、一般口座か特定口座を開設する必要があることがわかりました。

この時、口座を開設する金融機関によって異なるものの、一般口座や特定口座というのは、早くて当日から数日間で口座開設が完了することになります。

ただし、NISA口座の開設には、税務署からの審査があるため、NISA口座が実際に開設完了になるまで2週間から1ヶ月程度の期間がかかることを知っておく必要があります。

そのため、NISA口座が開設していない状態で投資信託を買い付けした場合、買い付けした投資信託は、NISA口座ではなく、すでに開設した一般口座または特定口座での買い付けになる点に注意が必要です。

税金がかからないような資産運用をしたいのであれば、NISA口座が開設完了した後に投資信託を買い付けするのが望ましいでしょう。

スポンサーリンク

おわりに

投資信託を現金化するためには、現金化したい金額(希望金額)と投資信託の基準価額の2つがわかれば、どのくらいの保有口数を解約すれば良いかがわかります。

そのため、長い時間をかけてコツコツ資産運用をした結果、形成されたまとまったお金を現金化するために、現金化の方法を知ることはとても大切なことです。

若年者を中心に、つみたてNISAやiDeCoを活用した積立投資のニーズが高まっている中で、投資信託を活用した初めから終わりまでの資産運用の一連の流れを知ることはとても大切です。

当事務所では、投資信託での資産運用に最低限必要なポイントを本記事も含めて公開しておりますので、これから将来のライフプランを真剣に考えたいと感じている方には、ぜひ、投資信託の基本的なポイントを一通り読んで確認されてみることをおすすめします。

【投資初心者対応】投資信託を活用した資産運用方法と望んでいるライフプランの実現方法について


スポンサーリンク
スポンサーリンク