トップページ > 資格取得講座・セミナー講師・その他 > 【きんざい】FP2級実技試験解答・解説(2020年1月試験・個人資産相談業務・贈与・相続)
【きんざい】FP2級実技試験解答・解説(2020年1月試験・個人資産相談業務・贈与・相続)
資格取得講座・セミナー講師・その他

本ページは、2020年1月に一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)が実施したファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)の贈与・相続について、問題・解答・解説を紹介するものになります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
独立系FPの佐藤元宣(さとうもとのぶ)です。
きんざいのFP2級実技試験の内、贈与・相続分野についての解説をしていきます。

解答にあたっての注意事項

1.試験問題については、特に指示のない限り、2019年10月1日現在施行の法令等に基づいて解答してください。なお、東日本大震災の被災者等に対する各種特例については考慮しないものとします。

2.問題は、第1問から第5問までありますが、本ページは、第5問の問13から問15のみの問題・解答・解説となります。

3.各問の問題番号は、通し番号になっており、「問1」から「問15」までとなっておりますが、本ページは、贈与・相続の分野として、問13から問15までの問題・解答・解説となります。

4.解答にあたっては、各設例および各問に記載された条件・指示に従うものとし、それ以外については考慮しないものとします。

5.本解説は、おもに独学者を対象に、当事務所が推奨しているキーワード学習によるシンプルなものとしております。必ず、テキストで再度復習されることをおすすめします。

6.  画像は、クリックまたはタップをすることで拡大して見ることが可能ですが、金財WEBサイトより印刷した試験問題を見ながら読み進めてみる方が、学習効率のアップが見込まれるものと思われます。

スポンサーリンク

第5問

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

【第5問】問13

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

問13の解答および解説

①「4,800万円」、②「3,720万円」、③「16,935万円」が、正しい解答です。

①は、相続税の基礎控除額を計算する問題です。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

設例より、Aさんが死亡した場合における法定相続人(推定相続人)は、配偶者である妻Bさん、子供にあたる長女Cさん、長男Dさんの3人です。

したがって、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が正しい解答となります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
容易に加点することができるサービス問題です。

②は、それぞれの法定相続人に対して課される相続税の計算問題です。

解答までの計算過程は、以下の通りです。

・課税遺産総額:5億4,200万円(5億9,000万円-4,800万円)

・妻Bさんの相続財産:5億4,200万円×1/2=2億7,100万円

・長女Cさんの相続財産:5億4,200万円×1/4=1億3,550万円

・長男Dさんの相続財産:5億4,200万円×1/4=1億3,550万円

課税遺産総額を法定相続分で分けてから、相続税の速算表にあてはめて相続税の計算をします。

・妻Bさんの相続税:2億7,100万円×45%-2,700万円=9,495万円

・長女Cさんの相続税:1億3,550万円×40%-1,700万円=3,720万円

・長男Dさんの相続税:1億3,550万円×40%-1,700万円=3,720万円

②の解答は、上記計算結果の通りです。

相続税の総額:9,495万円+3,720万円+3,720万円=1億6,935万円(16,935万円)

③の解答は、上記計算結果の通りです。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
相続税の計算は、何度も過去問題を解いて計算の流れをマスターするところがポイントです。

法定相続人の数を間違えてしまいますと、ドミノ式で間違えることになるため、代襲相続や養子縁組をしている場合といった特殊な事情もしっかりと計算できるようにしておきましょう。

【第5問】問14

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

問14の解答および解説

①「〇」、②「×」、③「〇」が、正しい解答です。

①は、設問の通りです。

不動産賃貸業を法人化した場合、不動産収入は法人の売上になるものの、Aさんに支払った役員報酬(給与)は、法人の費用として計上することができるため所得の分散を図ることが可能になります。

また、妻Bさんや長女Cさんも法人の役員にして、Aさんと同様に役員報酬を支払った場合、さらに所得の分散が図られます。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
いわゆる法人成りをすることで、合理的な節税を図るための1つの方法です。

②は、誤りです。

法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合で、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められている場合に、これを届け出る手続です。
この届出を行っている場合には、権利金の認定課税は行われないこととなります。
なお、この届出者は、土地所有者が個人である場合であっても、提出することができます。

出典 国税庁[手続名]土地の無償返還に関する届出より引用

佐藤 元宣
佐藤 元宣
権利金の「認定課税」というキーワードから税金に関することだと判断できます。
税金に関する届出を税務署ではなく、法務局にするのはおかしいですよね?

③は、設問の通りです。

譲渡所得を計算する際、不動産を取得した際に発生した取得費を売却金額から差し引くことが可能です。

この時、取得費が少ない場合、当然に譲渡所得の金額が大きくなるため、多額の所得税が課される可能性が生じます。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
譲渡所得の問題は、贈与・相続分野のみならず、税金分野で出題されることもあります。
たとえば、「概算取得費」、「短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い」、「短期譲渡と長期譲渡の税率の違い」などは、過去のFP試験で出題されたこともあります。

【第5問】問15

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

問15の解答および解説

①「ヌ」、②「ル」、③「ハ」、④「ニ」が、正しい解答です。

①は、小規模宅地の特例に関する問題です。

問題文より、妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、当該敷地の全部について小規模宅地の特例を受けた場合とあることから解答までの計算の流れは以下のようになります。

7,000万円×80%=5,600万円(減額される金額)

設例より、妻BさんはAさんの配偶者で、かつ、Aさんと同居していることから、自宅の敷地(240㎡)は、特定居住用宅地等に該当します。

この時、特定居住用宅地等に係る小規模宅地の特例は、330㎡までの敷地に対して減額される割合が80%です。

したがって、妻Bさんが、相続によって取得した自宅の敷地240㎡は、全部が小規模宅地の特例の適用を受けられることになるため、限度面積を超えて按分計算を行う必要はありません。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
特定居住用宅地等:限度面積330㎡
特定事業用宅地等:限度面積400㎡
上記2つは、試験対策上、重要です!

②は、遺留分の金額を計算する問題です。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人のために、法律で保障されている一定割合の相続分のことです。

遺言によって、この遺留分より少ない相続分しか与えられなかった相続人は、遺留分減殺請求をすることにより、遺言の中で遺留分を侵害している部分の効果を覆すことができます。

遺留分の割合は、相続人が直系尊属(父母または祖父母)のみの場合は3分の1、その他の場合は2分の1です。

各相続人の遺留分は、法定相続分にこれらの割合(2分の1または3分の1)を掛けたものになります。

なお、この、その他の場合とは、①子又はその代襲者(子が死亡している場合の孫等)だけが相続人である場合、②配偶者だけが相続人である場合、③配偶者と子又はその代襲者(子が死亡している場合の孫等)が相続人である場合、④配偶者と直系尊属が相続人である場合のことを言います。

出典 茨城司法書士会 よくある質問 遺留分とはなんですか?より引用

上記解説より、今回の問題(財産6億円)の場合、法定相続人は、配偶者と子供になることから、遺留分は、法定相続分に2分の1を乗じた金額となります。

・妻Bさんの相続財産:6億円×1/2=3億円

・長女Cさんの相続財産:6億円×1/4=1億5,000万円

・長男Dさんの相続財産:6億円×1/4=1億5,000万円

上記の相続財産に2分の1を乗じた金額が遺留分です。

・妻Bさんの遺留分:3億円×1/2=1億5,000万円

・長女Cさんの遺留分:1億5,000万円×1/2=7,500万円

・長男Dさんの遺留分:1億5,000万円×1/2=7,500万円

佐藤 元宣
佐藤 元宣
FP試験対策としては、遺留分は、法定相続分の2分の1という部分をしっかりと押さえておきましょう。

③は、相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続に関する問題です。

相続税の申告書の提出期限までに相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が分割されていない場合において、その分割されていない財産を申告書の提出期限から3年以内に分割し、

1.配偶者の相続税の軽減

2.小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例

3.特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例

4.特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例

の適用を受けるために、その旨を届け出る手続きです。

出典 国税庁[手続名]相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続より引用

上記、国税庁の解説より③は、3年以内となります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
直近の過去問題を見るとちょくちょく出題されている問題ですので、要チェック!

④は、相続税の更正の請求に関する問題です。

相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する事由により当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額(当該申告書を提出した後又は当該決定を受けた後修正申告書の提出又は更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額)が過大となつたときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から四月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求(国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求をいう。第三十三条の二において同じ。)をすることができる。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
相続税の更正の請求にかかる問題は、過去にも何度か出題されています。

FP試験対策としては、4ヶ月以内というキーワードを押さえておくことで足ります。

スポンサーリンク

試験内容全体を見ての当事務所の勝手な見解

実のところ、本ページは、2020年9月試験が終了になってから作成したページであり、先に2020年9月の解答解説を投稿しておりました。

2020年1月と2020年9月の解答解説を立て続けに作成して率直に感じたのは、直近(前回)と同じ内容の問題が多く出題される頻度が比較的高いということです。

個人的には、試験問題作成の手抜き感や本当にこれでいいの?って思えるくらいなのですが、受験者にとっては合格しやすい試験問題になっていると言えそうです。

ただ、いずれにしましても、過去3年分の過去問題をしっかりと何度も繰り返し解いておりますと、容易に加点できる試験内容となっているのも確かと言えます。

出題頻度が高い問題でしっかりと加点できるようにすることが、合格への近道となるため、やはり、反復学習と過去問対策をしっかりと行うことが大切です。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
本ページが役に立った人や良かった人は、「いいね」や「SNS」で発信していただけたら励みになります。

スポンサーリンク
スポンサーリンク