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【きんざい】FP2級実技試験解答・解説(2020年1月試験・個人資産相談業務・タックス)

本ページは、2020年1月に一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)が実施したFP技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)の税金について、問題・解答・解説を紹介するものになります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
独立系FPの佐藤元宣(さとうもとのぶ)です。
きんざいのFP2級実技試験の内、税金分野についての解説をしていきます。

解答にあたっての注意事項

1.試験問題については、特に指示のない限り、2019年10月1日現在施行の法令等に基づいて解答してください。なお、東日本大震災の被災者等に対する各種特例については考慮しないものとします。

2.問題は、第1問から第5問までありますが、本ページは、第3問の問7から問9のみの問題・解答・解説となります。

3.各問の問題番号は、通し番号になっており、「問1」から「問15」までとなっておりますが、本ページは、税金の分野として、問7から問9までの問題・解答・解説となります。

4.解答にあたっては、各設例および各問に記載された条件・指示に従うものとし、それ以外については考慮しないものとします。

5.本解説は、おもに独学者を対象に、当事務所が推奨しているキーワード学習によるシンプルなものとしております。必ず、テキストで再度復習されることをおすすめします。

6.  画像は、クリックまたはタップをすることで拡大して見ることが可能ですが、金財WEBサイトより印刷した試験問題を見ながら読み進めてみる方が、学習効率のアップが見込まれるものと思われます。

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第3問

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

【第3問】問7

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

問7の解答および解説

①「ハ」、②「イ」、③「チ」が、正しい解答です。

問7は、いわゆる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の基本的な部分が出題されています。

①は、設例の留意点より住宅の取得が「特別特定取得」に該当していることが確認できるため、住宅ローン控除の取り扱いは、以下のようになります。

[住宅の取得等が特別特定取得に該当する場合]においては、通常10年である控除期間が13年に延長される特例が措置されていますが、新型コロナウイルス感染症等の影響により、控除の対象となる住宅の取得等をした後、その住宅への入居が入居の期限(令和2年12月31日)までにできなかった場合でも、その特例の適用を受けることができます(新型コロナ税特法6条、新型コロナ税特令4条)

出典 国税庁 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法より一部抜粋引用

なお、「特別特定取得」とは、以下の通りです。

住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。

出典 国税庁 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法より一部抜粋引用

簡単に解説しますと、消費税が10%の時に住宅を購入した場合、特別特定取得になるといった意味です。

②および③の解説について、設例より、特別特定取得に該当するほか、購入した住宅は、新築のマンションで認定長期優良住宅に該当しています。

そのため、住宅ローン控除の取り扱いは、以下のようになります。

出典 国税庁 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)4 認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例より一部抜粋引用

設例の相談者が購入した住宅は、特別特定取得に該当するほか、新築のマンションで認定長期優良住宅に該当しているため、住宅ローン控除の適用期間は13年間です。

住宅ローン控除の適用期間が10年を経過し、11年目から13年目までの住宅ローン控除は、上記画像で確認できますように適用される金額が異なります。

また、年末残高の上限は、最大5,000万円となります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローン控除の適用期間は、原則として10年間であったため、駆け込みで住宅購入される人も多かった!
ただし、今回の出題問題は、あくまでも時限措置の特例にあたるため、今後、法改正などが行われない限り、出題される可能性は低いと思われます。

第3問 問8

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

問8の解答および解説

①「〇」、②「〇」、③「×」が、正しい解答です。

①は、直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度にかかる問題です。

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下、「非課税の特例」といいます。)。

出典 国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 1 制度のあらましより引用

設例よりAさんは、2019年10月、新築マンション(省エネ等住宅)を購入するために父親から2,000万円の贈与を受けたことがわかります。

先に紹介した国税庁の解説と照らし合わせますと、Aさんは一定の要件を満たすことによって贈与税が非課税となります。

この時、直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合に非課税となる金額には上限があり、具体的には以下の通りです。

出典 国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 2 非課税限度額より引用

設例より、「住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日」は、2019年11月(令和元年11月)です。

また、購入した新築マンションは、設例より省エネ等住宅に該当することから、3,000万円までの住宅取得資金は非課税となります。

Aさんが父親から住宅取得資金の贈与を受けた金額は、設例より2,000万円であることから、この金額に対して贈与税が発生することはなく、①は適切(○)となります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
直系尊属からの住宅取得資金の非課税制度を活用する場合、贈与税がかからないとしても、贈与税の申告をしなければならないため、試験対策として合わせて押さえておきましょう。

②は、設問の通りです。

平成21年度税制改正において、住宅ローン減税制度について、所得税から控除しきれなかった額を個人住民税で税額控除することとされました。

出典 総務省 新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合がありますより引用

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローン控除における住民税の控除上限は、136,500円です!

③は、誤りです。

家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その住宅の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。

出典 国税庁 No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等 2 転勤等により居住の用に供することができない場合で、住宅借入金等特別控除等の適用を受けることができるとき(適用要件)(1)単身赴任等の場合より引用

佐藤 元宣
佐藤 元宣
住宅ローン控除の適用を受けている期間中、転勤などで、その家に住んでいなくても、他の家族が住んでいる場合、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

第3問 問9

出典 一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験(個人資産相談業務)

平成31年3月許諾番号1903K000001

問9の解答および解説

①「7,080,000円」、②「380,000円」、③「1,010,000円」、④「298,000円」が、正しい解答です。

①は、Aさんの総所得金額を計算する問題です。

設例より、Aさんは会社員で給与収入のみであることが確認できるため、総所得金額は、給与所得を計算することで足ります。

・Aさんの給与所得控除額:920万円×10%+120万円=212万円(資料の給与所得控除額にあてはめて計算)

・Aさんの給与所得:920万円-212万円=708万円

・総所得金額=708万円

佐藤 元宣
佐藤 元宣
総所得金額を計算する問題は、毎回出題されるため、必ず解けるようにしておくことが、合格するための必須事項!

②は、配偶者控除を計算する問題です。

設例より、妻Bさんはパートタイマーとして給与収入80万円を得ていることが確認できます。

この時、年間の給与収入が103万円以下であるため、妻Bさんの所得金額は0円となることから、Aさんが適用できる配偶者控除の対象です。

・居住者の合計所得金額(Aさんの合計所得金額):708万円

・妻Bさんの年齢が43歳:一般の控除対象配偶者に該当

上記2つの要件を与えられている資料(配偶者控除の金額)にあてはめますと、配偶者控除の金額は38万円となります。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
老人控除対象配偶者の年齢は、70歳以上です。
FP実務でも当たり前に使う知識のため、必ず覚えましょう!

③は、扶養控除を計算する問題です。

設例より、長女Cさんは19歳で無収入、二女Dさんは17歳で無収入のため、いずれもAさんが適用できる扶養控除の対象です。

ただし、Cさんは、年齢が19歳であることから特定扶養親族に該当し、扶養控除の金額は63万円です。

・「控除対象扶養親族」とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。

・特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。

出典 国税庁 No.1180 扶養控除 4 扶養控除額の金額より引用

一般の扶養控除は38万円、特定扶養親族の場合は63万円となるため、これらの金額を合算します。

38万円+63万円=101万円

佐藤 元宣
佐藤 元宣
扶養控除がいくらなのかも毎回出題されている問題!
特定扶養親族のほか、老人扶養親族の違いも必ず確認しておきましょう。

④は、住宅ローン控除の計算をする問題です。

住宅ローン控除として適用することができる住宅ローン控除の金額は、住宅ローンの年末残高(12月末残高)の1%です。

設例より、2019年12月末の住宅ローンの借入残高は2,980万円であるため、この1%が住宅ローン控除の金額です。

2,980万円×1%=29.8万円

佐藤 元宣
佐藤 元宣
FP試験対策上、住宅ローン控除は年末の借入金残高の1%を乗じた金額になることをしっかりと押さえましょう。
なお、FP実務を行う上において、この知識だけでは全く不十分であることもあえて申し上げておきます。
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試験内容を全体的に見た当事務所の勝手な見解

今回の試験問題は、住宅ローン控除に偏った問題という印象を受けました。

しかしながら、住宅ローン控除の特例によって、これまで住宅ローン控除が適用される期間が10年間から13年間まで延長されたことは、FPも当然に知っておかなければならないことです。

そのため、基本部分を中心に出題した意図は、FP実務に精通する筆者としてもよくわかります。

その一方で、税金を計算する問題は、給与所得以外の所得がなかったため、非常にやさしい問題でした。

毎回、当然に出題される問題をいかにしっかりと加点できるように試験対策をしているのかどうかが合否を大きく分ける分岐点になったとも言えそうです。

佐藤 元宣
佐藤 元宣
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