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ライフプランから考える公的年金の役割

平成28年12月に2016.AKITAライフセミナーの下半期が秋田県出身の学生を対象に秋田、仙台、東京で開催されます。

私は、「将来に差が付くライフプランの考え方」というタイトルでお話させていただく予定なのですが、持ち時間の中で伝えたいことをすべて伝えることはやはり難しいと感じております。

さらに、専門家FPとして現場で相談者様の懐具合を見たり、さまざまな相談に応じたりしているからこそ、これから社会人として働く学生の皆さんには、「ここはぜひ知っておいてもらいたい」といったことが山ほどあるのですが、大人の事情で話せないもどかしさが実はあります。

このようなことから本記事では、「ライフプランから考える公的年金の役割」と題して、これから社会人として働きながら年金保険料を納めていく学生さんを対象に公的年金についてライフプランやライフイベントを交えながらその役割について紹介していきます。

一般の読者の皆さまにとっても、これからのライフプランを改めて考えていただけるきっかけになれば幸いです。

なお、本記事の内容は平成28年11月現在の各種法令に基づいております。

公的年金の3つの役割

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公的年金とは、おもに国民年金や厚生年金保険のことを指し、私たちが納める国民年金は、20歳から60歳まで40年間という長期に渡って納めなければならない「義務」となっています。

読者の皆さまからすると、のっけから「義務」とか重い表現をされては読む気も失せてしまうと思われますが、ここはちょっとだけがまんしていただいて、早速、公的年金の3つの役割を見ていきましょう。

 

老後の生活資金としての役割 老齢年金

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公的年金の最もメジャーな役割といえば、何と言っても「老後の生活資金」だと思います。

原則として65歳から支給される「老齢年金」は、死亡するまで支給され続ける特徴があり、長生きすればする程、多くの年金がもらえることになります。

現実問題として老後生活を考えてみますと、歳を重ねて体力が衰えてくると、アルバイトや日雇いでの軽作業をすることも非常に困難になってくるだけでなく、そもそも働かせてもらえる環境が激減してしまうわけですから、どうしても毎日の老後生活をしっかりと過ごしていける程の受け皿(対策)が必要になってきます。

国民年金は20歳から60歳まで納めなければならない「義務」という表現をされると嫌悪感を抱く方もおられると思いますが、そのように考える前に、公的年金は自分の老後生活をサポートしてくれる社会保障であることに改めて着目した方が良いと思います。

さらに付け加えて申し上げるとすれば、仮に老後資金対策を取ってこないことが原因で自分たちの老後生活ができないということは、結果として子どもや孫に迷惑や負担をかけてしまう可能性が極めて高くなることも決して忘れてはならないでしょう。

「年金がもらえないかもしれない」「年金が少ない」という気持ちは、私個人としても痛い程、感じているところではありますが、やはり公的年金は、老後生活資金を確保するための最も重要な社会保障であることに変わりはなく、「年金がもらえるかわからないから納めない」などといった考え方は、木を見て森を見ない発想であることに気付いていただくのと同時に、後述する障害年金や遺族年金の説明を読んでから改めて考えていただければと感じます。

 

障害を負った場合の生活保障としての役割 障害年金

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公的年金の2つ目の役割は、障害年金です。

たとえば、日常の生活において、いつ、どのようなことが起こってしまうのか誰もわかりませんが、不慮の事故や突然の病気などで体に一生の障害を患ってしまう場合もあると思います。

そのような時に社会保障としてサポートしてくれるのが障害年金です。

一生涯の重度の障害が残ってしまったことによって、たとえば家族の介護が常時必要になってきますと、世帯の収入は激減してしまうだけでなく介護費用や医療費は大きくかさんでしまうことが一般的です。

このような時に、障害年金が支給されることは、世帯にとってありがたい社会保障制度であるといえます。

昨今、書店では障害年金に関する書籍が多く出版され、その注目をようやくあびてきたという印象を受けておりますが、残念ながらまだまだ障害年金の認知度が低く、さらに障害年金が支給されるまでのハードルが高いといった現実問題もあります。

障害を患うことによってすべての人が障害年金の支給を受けられるわけではありませんが、まずは予備知識として「障害を抱えてしまったら、障害年金がもらえるかもしれない」といったことを頭の片隅にいれておくだけでだいぶ違ってくるのではと私は感じております。

こちらは余談ですが、障害年金は「請求年金」といわれ、日本年金機構に障害年金の支給申請手続きをしなければ絶対に支給されない年金ですので、障害年金について気になった方は、専門家である社会保険労務士へ相談してみることを強くおすすめ致します。

 

死亡した場合の遺族補償としての役割 遺族年金

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公的年金の3つ目の役割は、遺族年金です。

遺族年金とは、その名前のとおり、仮に公的年金に加入している人が死亡した場合に遺された遺族に対して、これからの生活を少しでもサポートするための社会保障制度のことをいいます。

たとえば、結婚して子育てしている皆さんが、突然亡くなってしまったとしたら、遺された家族の毎日の生活が脅かされてしまうだけでなく、子どもの教育や将来にも大きな悪影響を与えてしまいかねないと思いませんか?

仮に夫婦共働き世帯であったとしたら、1人の収入で家族を養っていかなくてはならなくなりますが、相当、窮屈な生活を強いられてしまうと考えられますが、読者の皆さまはいかがでしょうか?

このような事態を避け、社会全体で助ける仕組みが遺族年金です。

現在の年金制度では、遺族年金の支給を受けるために「子どもがいなければNG」な場合や「若い女性で子どもがいなければ遺族年金の支給年数が限られている場合」など、さまざまな縛りも実はあります。

とはいえ、遺族年金の全体像を見ますと、子育て世帯の社会保障のための制度といっても過言ではなく、一般に高校を卒業する18歳まではそれなりの保障が受けられることは確かです。

 

公的年金の3つの役割を受けるために必要なこと

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ここまで紹介した公的年金の3つの役割を受けるためには、ざっくり言ってしまえば「国民年金保険料を納めている」必要があります。

就職をすることで、厚生年金保険料を給料から天引きされている場合は、国民年金を納めていることになりますので問題はありませんが、仮に会社を退職してフリーになった場合は、国民年金保険料を毎月自分で納めなければなりません。

1ヶ月の国民年金保険料は、なかなかに高い(平成28年度は1ヶ月あたり16,260円)ため、フリーの状態で納付するのは、困難な場合もあるでしょう。

このようになった時は、「国民年金保険料の免除申請」をして、いったん再就職するまでの間、納付の猶予をしてもらうことが大切です。

これは、老齢年金、障害年金、遺族年金の支給を受けるための条件に「国民年金保険料を納付している期間や免除期間」が大きく関係しているためです。

要は、国民年金保険料を納めていない、いわゆる「未納期間」が多くないことが大前提になってくるため、免除申請をすることで未納期間の増加を防げるといった寸法なわけです。

これは、これから社会人として働く学生さんだけでなく、私たちにも共通していえることであります。

決して厚生労働省の回し者ではありませんが、やはり年金制度をいろいろと学び、ライフプランニングなどの設計に活用していることを踏まえますと、専門家FPと致しましては、やはり公的年金制度は私たちの生活に無くてはならない重要な社会保障だと改めて感じます。

 

まとめ

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この執筆を通じて、私はライフプランから考える公的年金の役割は重要だと改めて感じることができましたが、読者の皆さまはどのように感じられましたでしょうか?

本記事は、これから社会に出て働く学生さんを対象にざっくりと紹介させていただきましたが、就職、結婚、出産、子育て、老後生活といったライフイベントを迎えていく中で、公的年金の3つの役割がどこで必要になるかは人それぞれです。

しかし、どの段階で必要になったとしてもその保障を受けられるか、受けられないかにつきましては、その後のライフプランに雲泥の差が生じることはご理解できると思います。

このように考えることができたとしたら、きっと「年金なんかもらえるかわからない」といった気持ちにならないのではないかと私は感じておりますが、何はともあれ、こんな時代だからこそ、さまざまな制度をフルに活用し「自助努力」で生活資金対策をしていかなければならなくなってきていることを強く感じていただければ幸いです。


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