住宅ローンの考え方や相談について、大分県在住のお客様と東京都在住のお客様に対して通信販売におけるFP相談をさせていただいたのですが、これらの相談対応の中で改めてこれから住宅ローンを検討されている方に気を付けていただきたいことがありますので紹介しておきます。
それは、「私は、いくらくらいお金を借りれますか?」という相談です。
住宅ローンを考える上で、「借入可能額」と「返済可能額」といったものがあるのですが、「借入可能額」は、住宅ローンを取り扱っている多くの金融機関のWEBサイトにおいて、無料でシミュレーションをすることが可能となっているのですが、このシミュレーションから算出された金額というものは、住宅ローンを無理なく返済していく上でまったくあてにならない金額です。
こちらの理由につきましては、具体的なシミュレーション結果を紹介しながら、後程、紹介させていただきますが、住宅ローンを考える上で大切なのは、借入可能額ではなく「返済可能額」です。
はっきり言ってしまえば、ご自身が無理なく返済できる金額でなければ住宅ローンは申し込まない方が良いと当事務所では考えており、併せて、金融機関が提供している借入可能額で算出された金額で住宅ローンへ申し込んだとしても、住宅ローンの審査に通る保証も当然にありません。
借入可能額でフルに住宅ローンを申し込んだイメージ
参考までに、フラット35のWEBサイト上で試算が可能な借入可能額をシミュレーションした結果を紹介しておきます。
参考 フラット35 年収から借入可能額を計算よりシミュレーション
年収400万円の方が、これから申し込みをする住宅ローン以外の借り入れがないものとしてシミュレーションした結果が上記の通りですが、借入可能額は「3,639万円」という試算結果になっていることがわかります。
仮に、きりよく3,600万円の借り入れを申し込んだ場合、1ヶ月の返済金額は「115,411円(ボーナス払いなし)」となりますが、はたして、この金額を35年という長きに渡って返済していくことができるのでしょうか?
額面金額(年収)400万円の方が、この返済を毎月継続するのは、言うまでもなく厳しいものがあるのと同時に、返済負担率にも相当な懸念が生じることになります。
住宅ローンの審査で確認される返済負担率とは
返済負担率とは、1年間の年収に占める借入金などの返済負担割合を数値にしたものであり、前述したシミュレーション例ですと、約34.62%と激高です。
この割合が意味する答えは2つあり、「住宅ローンの毎月の返済がかなりよいでないこと」「住宅ローンの申し込みを受けた金融機関が融資を懸念すること」といったどちらも大きなデメリットにあたります。
このようなことから、借入可能額で試算された金額というのはあてにしてはならないわけであり、あくまでも、ご自身が毎月無理なく返済できる金額(返済可能額)を知ることがとても大切です。
なお、返済可能額というものは、個々の状況をはじめ、住宅ローンの借入条件などによって大きく変わることになりますので、一概にいくらといった金額を出すことは通常できません。(当事務所の見解です)
住宅ローンの申し込み前にライフプランと返済計画を立てておこう
住宅ローンは、審査に通過するよりも完済する方が難しいと言われることもありますが、正にその通りであると当事務所では考えています。
なぜならば、住宅ローンの返済を長い期間行いながらも、ご自身や家族の将来も考えなければならないからです。
このような理由から、住宅ローンの申し込み前に将来のライフプランと住宅ローンの返済計画をしっかりと立てておくことをおすすめしますが、そんな面倒なことはしなくても良いといった方もおられると思いますし、そのような考え方の人に対して当事務所では無理強いすることでもないと思っています。
自分の人生なんだから好きにさせてくれって言い分もよくわかります。
この辺をお伝えしますと、営業しているみたいで嫌なので、気になる方や心配な方はライフプランや住宅ローンの返済計画をしっかり立ててから行動に移されてみて下さい。
おわりに
住宅ローンの相談において、かなりの高確率で「私は、いくらくらいお金を借りれますか?」と聞かれます。
確かに、自分はいくら住宅ローンを借りられるのか気になるのも非常によくわかるのですが、住宅ローンを借りられる金額を知ったところで、そのお金を毎月継続して返済していけなければ何も意味がないですよね?
住宅ローンは、返済が長期間滞ることによって、所有している住宅は競売にかけられ、結果として住宅を失い借金だけが残るという最悪の結末をむかえます。
人生が大きく一変するわけでありますから、このようなこともよく理解した上で、無理のない住宅ローンの申込を行っていただきたいものと思います。