本ページでは、FX初心者が知っておきたいナンピンとナンピン手法について紹介していきます。
なお、本ページは2020年7月8日に初めて公開したものを2022年9月11日に加筆・追記しております。
はじめに、巷では「ナンピン」をするFXトレードについて「ナンピン悪」といった情報が多く出回っています。
そのため、FX初心者からしますと「ナンピンは悪(ダメ)」だから絶対にやってはならないと思う人も多いでしょう。
しかし、ナンピンとナンピン手法を知るとナンピンが必ずしもダメなものではないことに気がつけます。
そこで今回は、ナンピンとナンピン手法について知っておきたいポイントをわかりやすく紹介していきます。
FXにおけるナンピンとは
FXにおけるナンピンとは、現在保有している通貨ペアのポジションを追加でエントリーすることによって保有ポジションをさらに増加させることをいいます。
買い下がりのこと。下がって買い足すことで平均コストを引き下げる効果があります。
出典:フィリップ証券 ナンピン(難平)FX用語集より引用
上記解説では、買い下がりがナンピンであると解説しています。
つまり「買いポジション」を持った状態で、為替レートが下がった際、再度、買いポジションを買い足すことが「ナンピン」です。
逆に「売りポジション」を持った状態で、為替レートが上がった際、再度、売りポジションを追加で持つことも「ナンピン」にあたります。
では、ナンピンをすることによる効果はどのようなところにあるのか?

【攻めと守りのトレード】FXのナンピン手法とポイントについて
FXにおけるナンピン手法には、攻めと守りを同時に行える特徴があります。
これが具体的にどのようなことなのか?以下、簡単な例で紹介します。

1.今後、ドル円の為替レートが「上がる」と予想し、レート145.000で「買いポジション」を10,000通貨保有した
2.為替レートが予想と逆行し、レート144.000まで下落した
3.為替レート144.000で「買いポジション」を10,000通貨、再度買い足しした
4.その後、為替レートが上昇し、現在の為替レートが144.750となっている
上記の前提条件(レートの流れ)を金額に表すと以下のようになります。
1.含み損益:0円(スプレッド分は考慮しません)
2.含み損:▲10,000円(-100pips)
3.含み損:▲10,000円(-100pips)→保有平均ポジションレート144.500
4.含み益:5,000円(+25pips)

まず、ナンピンのポイントは「3」の買い足しにあります。
同じ通貨量を買い足ししたことによって、平均ポジションレートが144.500となりました。
・1つ目の保有ポジションレート:145.000
・2つ目の保有ポジションレート:144.000
・2つの保有平均ポジションレート:(145.000+144.000)÷2=144.500
「4」については、金額に置き換えるとわかりやすくなります。
現在の為替レート144.750円時点におけるポジション損益
・1つ目の保有ポジション損益:-2,500円(-25pips)
・2つ目の保有ポジション損益:+7,500円(+75pips)
・2つの保有ポジション損益合計(-2,500円+7,500円)=5,000円(含み益)
当初10,000円の含み損が結果として5,000円の含み益に転じています。
これは、ナンピンをした効果が表れており、攻めのナンピンをした結果といえます。

仮に、為替レート144.500で、ポジション決済した場合、ポジション損益は0円(チャラ)です。
為替レート144.500時点におけるポジション損益
・1つ目の保有ポジション損益:-5,000円(-50pips)
・2つ目の保有ポジション損益:+5,000円(+50pips)
・2つの保有ポジション損益合計(-5,000円+5,000円)=0円
当初10,000円の含み損が結果として0円(チャラ)に転じています。
これは、ナンピンをした効果が表れており、守りのナンピンをした結果といえます。

ただし、ナンピンには大きなデメリットがあることもあらかじめ知っておかなくてはなりません。
【含み損が大きく増加するリスク】FX初心者がナンピンをする際の注意点とは
ナンピンは、為替レートが予想と反して逆行したときにポジションを買い足しすることでした。
そのため、ナンピンした後も引き続き為替レートが予想と反して逆行した場合、含み損が大きく増加することになります。

1.今後、ドル円の為替レートが「上がる」と予想し、レート145.000で「買いポジション」を10,000通貨保有した
2.為替レートが予想と逆行し、レート144.000まで下落した
3.為替レート144.000で「買いポジション」を10,000通貨、再度買い足しした
4.その後、為替レートがさらに下降し、現在の為替レートが143.000となっている
上記の前提条件(レートの流れ)を金額に表すと以下のようになります。
1.含み損益:0円(スプレッド分は考慮しません)
2.含み損:▲10,000円(-100pips)
3.含み損:▲10,000円(-100pips)→保有平均ポジションレート144.500
4.含み損:▲30,000円(1つ目のポジション損益=▲20,000円、2つ目のポジション損益=▲10,000円)
ナンピンをしたことによって、当初10,000円の含み損が30,000円に膨れ上がっていることが確認できます。
これがナンピンの大きな注意点であり、リスクにあたります。

【損切り?ナンピン?】根拠のあるナンピンをすることが重要
ナンピンの良い点・悪い点をいずれも確認することができました。
これらからいえることは「根拠のあるナンピン」をすることが重要です。
つまり、含み損を抱えている状態で損切りをせずにナンピンする場合、根拠がなければさらに大きな含み損を抱えることになってしまいます。
一方、根拠をもって戦略的な手法としてナンピンをした場合、損失を減らしたり、利益を得られたりする効果が得られます。

【根拠のあるナンピン】マルチタイムフレーム分析を使ったナンピンで有利なポジションを追加
先の紹介で「根拠のあるナンピン」って何?と思われた人もいるのではないでしょうか?
あくまでも私個人の考えなのですが、根拠のあるナンピンとは、マルチタイムフレーム分析を使ったナンピンです。
普段私は、スイングトレードを中心のFXトレードを行っており、逆張りからのトレンドフォローをするトレードをしています。
そのため、損切りをせずにナンピンをすることが極めて多いです。
このとき、ナンピンをする際、適当にポジションを追加することはありません。
必ずマルチタイムフレーム分析を行って、より有利なポジションを追加するように心がけています。
マルチタイムフレーム分析がどのようなものなのか?
根拠のあるナンピンに興味がある人は、ぜひ、上記関連記事も合わせて読み進めていただくことをおすすめします。
【スイングトレード・ポジショントレード】FXでナンピンが効果的なトレード手法
ナンピンは、為替レートが予想と反して逆行したときにポジションを追加する手法です。
そのため、FXのトレード手法を考えたとき、長い時間をかけて行う「スイングトレード」や「ポジショントレード」は効果的な手法になるといえます。
なぜならば、ポジションを追加したことによって保有ポジションの平均レートを下げる効果が得られるからです。
そして、保有ポジションの平均レートを下げた後、長い時間をかけることによって、攻めや守りのナンピン効果が期待できます。
逆に、スキャルピングやデイトレードなど、短い時間で決済するトレードは、ナンピンをするよりも損切りをする方が望ましいでしょう。
これによって、少ない損失で再度、トレードをすることができます。

【ナンピン手法の有効活用】高金利通貨のスワップポイント狙い
メキシコペソ・南アフリカランド、トルコリラをはじめとした高金利通貨でスワップポイントを狙っている人も多いと思います。
このとき、資金管理を徹底し、強制ロスカットや逆指値にあたって損切りにならないようなトレードを心掛けることでナンピンは有効活用できます。
ナンピンすることによって、ポジションが追加されるということは、ポジションに対して付与されるスワップポイントも増加します。
つまり、長い時間をかけてポジションを保有することによって、スワップポイントがより多くもらえます。
また、攻めのナンピンを考えますと、多くのスワップポイントと為替差益(キャピタルゲイン)をもらえるのは高金利通貨をナンピンする魅力です。
一方、守りのナンピンを考えますと、為替損益がチャラになったとしても、付与されたスワップポイント分、結果としてプラスになる可能性も高いでしょう。
高金利通貨は、経済が不安定な新興国であるからこそ、為替の暴落リスクが伴います。
しかしながら、資金管理を徹底し、強制ロスカットや逆指値にあたって損切りにならないようなナンピン手法は有効戦略の1つといえるでしょう。

【おわりに】ナンピンの特徴とトレード手法を考慮して上手に使いましょう
ナンピンは、使い方1つで攻めと守りのトレードを実現することができます。
そのため、ナンピンが必ずしも悪いものではなく、使い方しだいで行うことがとても大切なことをご理解いただけたのではないでしょうか?
私自身、ナンピンをしないという選択肢はありません。
なぜならば、自分のトレード手法にナンピンが有効活用できると思っているからです。
もちろん、リスクも承知の上でナンピンを行っています。
そのため、思いがけない逆行によって大きな損失を被ることも確かにあります。
しかし、自分で根拠を持ってナンピンをしているからこそ、納得できていることも確かです。
常に勝ちトレードを継続できる人はおそらくいないと思います。
勝ちトレードと負けトレードを繰り返して、結果としてトータルでプラスになればよいはずです。
このとき、ナンピンの特徴を知り、ナンピン手法を有効活用することで根拠や納得できるトレードをすることが大切になるのではないでしょうか?

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