本ページでは、秋田県高校生等奨学給付金制度とはどのような制度なのかについて、秋田県の独立系FPがポイントをわかりやすく解説していきます。
(本ページは、2017年11月10日に初回投稿した記事を2020年9月1日に大幅に加筆修正しております)
地元秋田県の独立系FPがポイントを解説していきます。
はじめに、秋田県高校生等奨学給付金制度とは、授業料以外の教育費負担を軽減するため、平成26年度以降、高校などに入学した生徒のうち、一定の要件にあてはまる世帯に対して秋田県がお金を給付する制度です。
秋田県高校生等奨学給付金は、その名前の通り「給付金」であることから、秋田県に対して返還をする必要がなく、一言で「秋田県からもらえるお金」と考えて差し支えありません。
ただし、秋田県高校生等奨学給付金の支給を受けるためには、秋田県が定めている支給要件にあてはまっているほか、秋田県に対して申請をする必要があります。
このようなことを踏まえまして本ページでは、秋田県高校生等奨学給付金制度の概要からポイントまで、わかりやすく解説を進めていきます。
目次
秋田県高校生等奨学給付金制度とは
まずは、改めて秋田県高校生等奨学給付金制度とはどのような制度なのかについて、秋田県のWEBサイトから引用してポイントの解説をします。
秋田県では、授業料以外の教育費負担を軽減するため、平成26年度以降に高等学校等(専攻科含む。)に入学した生徒のうち、以下の要件に該当する世帯に対し、「奨学のための給付金」を支給します。
この給付金は返還の必要はありません。
※私立の高等学校等については、教育庁総務課(電話 018-860-5111)にお問い合わせください。
※県内の国公立高等学校等については、各学校が手続きの窓口となります。
出典 秋田県 秋田県高校生等(専攻科生含む。)奨学給付金制度について(令和2年度)より引用
上記の解説を読み進めますと、高校などへ入学した生徒が私立なのか秋田県内の国公立なのかによって、手続きの窓口が異なっています。
仮に、お問い合わせ先を誤ったとしても、秋田県高校生等奨学給付金に直接影響を与えるものではないため、特段の心配はありません。
秋田県高校生等奨学給付金の支給要件
秋田県高校生等奨学給付金の支給を受けるためには、以下、すべての要件にあてはまっている必要があります。
基準日(令和2年7月1日)現在、次のすべてに該当する世帯。
ただし、新入生に対する前倒し給付の申請及び家計急変による申請の場合は基準日等が異なります。
詳しくはそれぞれの説明書(「提出書類の様式等」欄に掲載)でご確認ください。
- 保護者(親権者)等が、秋田県内に住所を有すること。
- 保護者等全員の道府県民税所得割及び市町村民税所得割(令和2年度)が非課税であること。
※生徒が県外の高等学校等に在籍していても対象となります。
出典 秋田県 秋田県高校生等(専攻科生含む。)奨学給付金制度について(令和2年度)制度の概要より引用
保護者(親権者)等が、秋田県内に住所を有すること
秋田県高校生等奨学給付金の支給を受けるための1つ目の要件は、保護者(親権者)等が、秋田県内に住所を有する必要があります。
こちらは、基準日(令和2年7月1日)現在において、生徒の保護者などが、秋田県内に住んでいれば支給要件を満たしていることになります。
保護者等全員の道府県民税所得割及び市町村民税所得割(令和2年度)が非課税であること
秋田県高校生等奨学給付金の支給を受けるための2つ目の要件は、保護者等全員の道府県民税所得割及び市町村民税所得割(令和2年度)が非課税である必要があります。
こちらは、基準日(令和2年7月1日)現在において、生徒の保護者など全員が道府県民税所得割と市町村民税所得割(令和2年度)が非課税でなければなりません。
ちなみに、道府県民税所得割と市町村民税所得割(令和2年度)が非課税なのかを確認する書類は、以下の通りです。
・課税証明書(お住いの市町村で発行可能。手数料負担あり)
・非課税証明書(お住いの市町村で発行可能。手数料負担あり)
・市町村民税・道府県民税等特別徴収税額等の決定(変更)通知書
(一般的に毎年6月頃、会社員などの場合は勤務先へ送付され、事業主などの場合、自宅などへ送付される)
【重要】道府県民税所得割と市町村民税所得割のポイント
道府県民税所得割と市町村民税所得割は、計算方法の仕組上、すべての世帯によって金額が異なります。
ここで重要となるポイントは、道府県民税所得割と市町村民税所得割が算出されるための課税標準額は、所得金額と所得控除額が大きく影響しているところにあります。
わかりやすく解説しますと、勤務先などが行う年末調整や確定申告で行う1年間の税金精算が、正確に、かつ、所得控除にもれの無いように行えるかどうかが課税標準額に直接大きな影響を与えることになるわけです。
つまり、無駄に多くの税金を納めているということ。
仮に、夫婦共働きの場合であったとしても、正しい税金の申告や有利な節税対策が、結果として、秋田県高校生等奨学給付金の支給を受けるための要件を満たす可能性がある点に留意したいものです。
秋田県高校生等奨学給付金の支給金額
秋田県高校生等奨学給付金は、前項で解説した2つの支給要件を満たす必要があります。
これら2つの支給要件を満たし、後述する申請を行った場合に支給される金額は以下の通りです。
なお、以下の金額は、生徒一人あたりの給付額(国公立の場合)となります。
世帯区分 | 対象 | 給付額 |
1 生活保護(生業扶助)受給世帯 | - | 一人あたり年額 32,300円 |
2 保護者全員の道府県民税所得割及び市町村民税所得割が非課税の世帯 | ア 通信制以外の高校等に通う高校生等 | 一人あたり年額 84,000円 |
イ 通信制の高校等に通う高校生等 | 一人あたり年額 36,500円 | |
ウ 2人目以降の通信制以外の高校等に通う高校生等 | 一人あたり年額 129,700円 | |
エ 当該高校生等以外に15歳以上23歳未満の扶養されている兄弟姉妹がいる世帯の高校生等(通信制は除く) | ||
オ 高等学校及び中等教育学校の後期課程の専攻科に通う生徒 | 一人あたり年額 36,500円 |
出典 秋田県 秋田県高校生等(専攻科生含む。)奨学給付金制度について(令和2年度)生徒一人あたりの給付額(国公立の場合)より引用
秋田県高校生等奨学給付金の申請方法・申請期間・申請書類について
秋田県高校生等奨学給付金を申請するには、以下、3つの申請のいずれかによって行います。
・通常期の申請
・家計急変による申請
・新入生への前倒し給付の申請
上記3つの申請方法によって、それぞれ申請方法や申請期間、申請書類が異なります。
通常期の申請の場合
対象となる世帯:令和2年7月1日現在、次のすべてに該当する世帯
(1)保護者等が秋田県内に住所を有していること。
(2)生活保護(生業扶助)受給世帯又は道府県民税所得割額及び市町村民税所得割額が非課税の世帯であること。
(3)生徒が高等学校等に在学していること(平成26年4月1日以降に入学した者に限る。)申請書類
・奨学給付金受給申請書
・(1)生活保護受給世帯 生業扶助受給証明書(様式11)又は福祉事務所が発行した生活保護受給証明書
・(2)生活保護受給世帯以外の世帯 保護者等全員の「令和2年度課税証明書」等
・令和2年7月1日現在、15歳以上(中学生を除く)23歳未満の兄弟姉妹がいる場合(生活保護受給世帯は不要です。)は、扶養申立書(様式)および扶養親族の人数・年齢を確認するための書類
・振込口座届(様式10)
・通帳の写し
・在学証明書(様式2又は学校所定の様式)
申請期間:令和2年8月31日(月)(必着)
次項の家計急変による申請ができるかご確認下さい。
家計急変による申請の場合
対象となる世帯:令和2年7月1日現在、次のすべてに該当する世帯
(1)保護者等が秋田県内に住所を有していること。
(2)道府県民税所得割額及び市町村民税所得割額が非課税相当の世帯であること。
(3)生活保護(生業扶助)を受給していないこと。
(4)生徒が高等学校等に在学していること(平成26年4月1日以降に入学した者に限る。)申請書類
・奨学給付金受給申請書(様式1-3)
・家計急変の発生事由が分かる書類
・家計急変前と家計急変後の収入がわかる書類
・令和2年7月1日現在、15歳以上(中学生を除く)23歳未満の兄弟姉妹がいる場合は、扶養申立書(様式)および扶養親族の人数・年齢を確認するための書類
・振込口座届(様式10)
・通帳の写し
・在学証明書(様式2又は学校所定の様式)
提出期限:令和2年8月31日(月)(必着)
ただし、提出期限後に家計が急変したことにより申請を希望する場合には、担当係(秋田県教育庁高校教育課 調整・企画班 TEL 018-860-5161)まで電話連絡の上、手続き方法などをご確認ください。
なお、その場合の奨学給付金については、最終の提出締切日を令和2年12月28日(月)(必着)とします。
家計急変は、様々な事情が考えられることから、特殊な事情がある場合は、秋田県の担当部署に尋ねるのが望ましい。
新入生への前倒し給付の申請の場合
新入生への前倒し給付の申請の場合、すでに解説した内容と重複するところも多々あるため、以下、秋田県のWEBサイトのリンクからご確認下さい。
参考 奨学給付金の申請手続きについて(新入生への前倒し給付の申請)
秋田県高校生等奨学給付金の申請先
秋田県高校生等奨学給付金の申請先は、以下の通りです。
なお、解説が重複致しますが、秋田県高校生等奨学給付金の申請期間後は、原則として受け付けしてもらえない点に注意が必要です。
【参考情報】秋田県高校生等奨学給付金に税金はかかる?
本ページの最後に、参考情報として秋田県高校生等奨学給付金の支給を受けた場合における税金の取り扱いについて触れておきます。
まず結論から申し上げて、秋田県高校生等奨学給付金の支給を受けた場合、そのお金に対して税金がかかることはありません。
この理由は、所得税法第9条第1項第15号(非課税所得)において、学資に充てるため給付される金品は、給与その他対価の性質を有する一定のものを除き、非課税と規定されているためです。
なお、上記内容は、本ページを加筆修正し公開している2020年9月1日現在の法律に基づいているものとしている点にご留意下さい。
おわりに
本ページでは、秋田県高校生等奨学給付金制度とはどのような制度なのかについて、秋田県の独立系FPがポイントをわかりやすく解説させていただきました。
一般的に、秋田県高校生等奨学給付金は、世帯の収入が低くなければ支給要件にあてはまらない可能性が高いと考えられます。
ただし、前述したように一辺倒な考え方は望ましいとは言えず、それぞれの世帯収入と所得控除の関係を確実に精査することが大切です。
すでに本文中で解説しましたように、特に所得控除の適用忘れは、秋田県高校生等奨学給付金の支給要件の可否に大きな影響を直接与えます。
改めて、自分たちの世帯はどうなのか、本ページを1つのきっかけとして再確認されてみることをおすすめします。
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