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出産手当金をもらうことができる人とは?支給条件から計算方法や金額まで気になる疑問をまとめて解決

出産手当金とは、産前産後休暇中に、勤務先から給料が支払われないことによって、収入を補うことを目的とした制度のことをいいます。

また、これに加えて、産前産後休暇中の生活保障や出産した女性の休養をしっかりと確保するといった目的もあります。

出産手当金は、これから出産をする予定の女性や世帯にとって厚みのある制度である一方、残念ながら、すべての女性が支給されるお金ではありません。

そこで本記事では、出産手当金がもらうことができる人をはじめ、出産手当金の支給条件から計算方法、金額など、多くの方が気になる疑問をまとめて紹介していきます。

出産手当金の支給条件と支給期間

出産手当金の支給条件は、原則として、健康保険の被保険者が出産のために仕事を休み、勤務先から給料の支払いを受けられない場合に支給されます。

なお、ここで言う健康保険の被保険者とは、給料から健康保険料を天引きされている女性を指しています。

また、出産手当金が支給される期間とは、産前産後休暇中の期間で、いわゆる、産前6週(42日)から産後8週(56日)となり、出産予定日が長引いたとしても、その分は含まれます。(長引いた期間とは、以下、イメージ図の「αにある4日分」のことです)

出典 協会けんぽ 出産に関する給付 B 出産手当金より引用

出産手当金は、アルバイトであったとしても支給される

出産手当金が支給されるための条件は、原則として、健康保険の被保険者が出産のために仕事を休み、勤務先から給料の支払いを受けられない場合です。

そのため、正社員や正職員といった待遇は問われていないため、仮に、アルバイトや契約社員であったとしても、健康保険の被保険者(給料から健康保険料が天引きされている女性)であれば、支給対象になります。

職場を退職した場合の出産手当金の取り扱い

妊娠や出産を理由に職場を退職する場合も多くあると思います。

このような場合における出産手当金につきましては、以下、2つの条件を満たしていることによって、引き続き出産手当金の支給を受けることができるとされています。

被保険者の資格を喪失した日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること

資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること

出典 協会けんぽ 出産手当金について Q7より

ポイントをざっくり説明しますと、職場を退職した後も出産手当金の支給を受けるためには、健康保険に被保険者と加入している期間が1年以上なければなりません。

そのため、たとえば、新たに就職して1年経たない内に、妊娠したために産前産後休暇を取得して退職しますといった場合は、出産手当金が支給されないことになります。

また、退職日に出勤した場合は、出産手当金の継続給付を受ける条件を満たさないため、健康保険の資格喪失後(退職日の翌日)以降の出産手当金は支給されなくなってしまう点に注意が必要です。

出産手当金は、扶養されている人に支給されない

出産手当金は、扶養されている人(いわゆる被扶養者)に対して支給されることはありません。

そのため、たとえば、専業主婦の方や扶養されている子供が出産したとしても、出産手当金が支給されることはありませんので注意が必要です。

なお、国民健康保険に加入している場合、そもそも扶養といった考え方はないのに加え、国民健康保険に加入している方が出産したとしても出産手当金が支給されることはありませんので、こちらも押さえておきたいポイントといえます。

出産手当金は、いくら支給されるのか

出産手当金で支給される金額は、いくらなのか気になる方も多いと思います。

実のところ、出産手当金は、支給される金額が決まっているわけではなく、出産する方が加入している健康保険の等級(標準報酬月額)によって、それぞれ異なります。

また、出産手当金を計算する方法も別に設けられているため、まずは、ご自身の健康保険の等級(標準報酬月額)がいくらなのか知るところから始めていかなければなりません。

健康保険の等級(標準報酬月額)の調べ方

健康保険の等級(標準報酬月額)を知るためには、勤務先の担当者に直接尋ねるのが最も手っ取り早い方法です。

ちょっと聞きにくい場合は、給与明細書に記載されている健康保険料の金額から健康保険の等級(標準報酬月額)をご自身で調べることもできます。

以下、一例を紹介します。

保険者:協会けんぽ 秋田支部

年齢:30歳

給料から天引きされている健康保険料:月額12,156円

年齢が30歳であることから、介護保険第2号被保険者(40歳以上)に該当せず、給料から天引きされる健康保険料は労使折半(勤務先と本人が半分ずつ負担)するため、折半額を見ていきます。

給料から天引きされている健康保険料は、月額12,156円ですから、該当箇所から左へスライドし、等級と標準報酬月額を確認します。

これによって、健康保険の等級は19等級で標準報酬月額は、240,000円であることがわかりました。(カッコ内にある16等級は、厚生年金保険の等級となります)

なお、ご自身で調べる際の注意点として、協会けんぽの場合は、都道府県によって保険料率が異なりますので、上記イメージ図の都道府県(赤枠箇所)をしっかりと確認してから活用ください。

また、健康保険組合に加入している場合など、保険者が協会けんぽ以外の場合も金額が異なりますので注意が必要です。

出産手当金の計算方法

出産手当金の計算方法は、以下の通りとなりますが、前項で紹介した標準報酬月額がいくらなのかわからなければ出産手当金を計算することはできませんので注意が必要です。

1日あたりの出産手当金=(標準報酬月額÷30日)×3分の2

前項の例ですと、標準報酬月額が240,000円でしたので、30日で割ることによって、標準報酬日額が8,000円と計算されます。

この標準報酬日額8,000円に3分の2を乗じた5,333円が1日あたりの出産手当金となります。

そのため、仮に、産前6週(42日)から産後8週(56日)までの間に支給される出産手当金の総額は、以下のように計算されます。

5,333円×98日=522,634円

給料が上下変動して標準報酬月額が変わった場合

こちらは参考情報となりますが、給料が上下変動することによって、標準報酬月額が変わる(給料から天引きされる健康保険料が変わる)場合が時にはあると思います。

このような場合、出産手当金の計算は、以下のように少々複雑になります。

出典 協会けんぽ 出産で会社を休んだとき 出産手当金の額より引用

給料が極端に上下変動することによって標準報酬月額が変わった場合は、出産手当金の金額も大きく変わる可能性がありますので、このような場合は、事前に確認されておくことが望ましいでしょう。

出産手当金は、いつ受け取ることができるのか

出産手当金は、通常、出産してからおおむね2ヶ月後くらいに、まとめて指定口座へ振り込まれることが一般的です。

また、出産手当金の申請につきましても、通常、勤務先が代わりに申請手続きを行ってくれるため、ご自身で直接申請手続きをするということは、極めて稀であると思われます。

出産手当金の税法上の取り扱い

出産手当金は、所得税法上、非課税扱いとなっており、受け取った出産手当金に対して税金がかかることはありません。

また、本記事の解説内容と外れますが、産後休暇が終了した後に引き続き育児休業を取得することによって支給される育児休業給付金も出産手当金と同様に非課税扱いです。

そのため、出産する時期や出産した方の収入にもよりますが、出産や育児休業が伴う場合は、配偶者控除または配偶者特別控除のほか、医療費控除などといった税金を軽減することができる各種控除が適用できる場合が多くあります。

おわりに

出産手当金について多くの方が抱えていると思われる疑問についてそれぞれ解説をさせていただきました。

出産手当金の支給について、妊娠から出産、育児休業までの一連の流れを考えた時、出産育児一時金や育児休業給付金といった支給されるお金のほか、配偶者控除や医療費控除など、幅広い分野でお金のことを考えるのはとても大切です。

ちなみに、出産手当金の支給対象となる出産とは、妊娠4ヶ月(85日)以降の出産で死産・流産・早産が問われないことから、この辺は、出産育児一時金と同じ取り扱いになっています。

そのため、出産手当金と出産育児一時金は、セットで考えることはとても大切ともいえます。

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